フレーミング効果｜マーケティングに役立つ行動心理学｜パチンコキャリア転職ニュース

 

とある床屋の主人が、店で働く青年に給料を渡すシーン。

「この給料の2割を貯金するように」と言うと、青年は「無理だ」と答えます。

そこで主人は、「この給料の8割で暮らしてごらん」と言い変えると、青年は「やってみる」と答えました。

 

これは、2006年頃に放映されたある大手証券会社のCMなのですが、まさに「フレーミング効果」の典型的な事例を表しています（Youtubeで見ることができます）。

 

CMには米コーネル大学の心理学教授で、当時ベストセラーになった「人間 この信じやすきもの」の著者、トーマス・ギロビッチ博士が案内役で登場しており、シーンの最後に、

“Preconceptions take away our ability to view things objectively”

（人は思い込みにより事実を正確に捉えていないことがある）

と著書の言葉で締めくくっています。

 

フレーミング効果はまさにこの言葉通り「人の思い込み」を利用する方法であり、同じモノでも「見せたい部分のフレーム（枠）を変える」=「表現や紹介方法を変える」ことで、選択する人の意思決定をコントロールすることが出来る手法なのです。

人は意志決定をする時、対象の物事について絶対的評価（そのモノの評価）で判断するのではなく、そのときの心理や状況などによって相対的評価（他と比較した評価）で意思決定します。

これが、博士が伝える「フレーミング効果=思い込み理論」です。

このCM、ラストではギロビッチ博士がスケボーを持ってヘルメットをかぶった子供に出くわし、「Hello Young man!」と挨拶するのですが、その子供が「I’m a girl!!」と言いながらヘルメットを取ると長い髪の女の子でした……というオチも付いていています。

 

人は誰でも、「思い込み」で物事を判断してしまうことが多いのです。

なので仕掛ける側からすると、相手の心理にバイアス（認知バイアス=偏り。CMでは女の子が持つスケボーやヘルメットなど）をかけることが出来れば、自在に相手を誘導することが可能になります。

なお、フレーミング効果はこのギロビッチ博士が発見したものではなく、1981年に行動経済学者のダニエル・カーネマンと心理学者のエイモス・トヴェルスキーの共同研究で提唱されたものです。

このフレーミング効果には２つの側面があります。

それは「ネガティブフレーム」と「ポジティブフレーム」です。

人は選択を迫られた時、心理的にポジティブな方（自分にとって都合がいい）を選ぶという傾向があります。

例えば、有名な某栄養ドリンクのキャッチコピーでは、「タウリン1000mg配合！」と謳われていますが、

 

A：タウリン1000mg配合！

B：タウリン1g配合！

 

と表現された場合、皆さんはどちらを選ぶでしょうか？

多くの人はAの1000mgを選ぶのではないでしょうか。「1」より「1000」の方が多いですからね！

これが「ポジティブフレーム」なのです。

ここでは「1」より「1000」という都合の良い方（多い方）を選ぶ心理なわけですが、冷静に考えれば分かるように、

1g　=　1000mg

分量は同じです。

この他にも、オレンジジュースの表示で「果汁20%」と「果汁以外80%」だった場合には、果汁が20%ある前者を選ぶ消費者が多くなります。

このように「フレーミング効果」をマーケティングに応用する場合、多くはこの「ポジティブフレーム」を利用して誘導します。販売促進などではポジティブな表現が効果があるのです。

しかし、その一方で「ネガティブ」に誘導した方が良い場合もあります。

特に悪い事を防ぐパターンではネガティブな方が効果があります。

この場合は人の「恐怖心」に訴えかけるのです。

ある病気の予防を訴える事例で、

 

A：早期に発見できれば、治療の幅が広がります

B：早期に発見しないと、治療の幅が狭まります

 

と表現した場合、後者のBの方が反響があるのです。

ネガティブな言い方をした方が恐怖心を煽ることができるので、悪い物事に関しては「ネガティブフレーム」を利用する方が良いという例です。

このようにフレーミング効果では、その「フレーム」（心理的な枠）をどこに設定するかで、同じ内容でも違う結果を得ることが可能になります。

パチンコ店のフレーミング効果はどうか？というと、秋葉原の某店で「パチスロ魔法少女まどか☆マギカ」の主人公の誕生日に、多くのファンがホールに並んだ前例がすでにあります。

これはフレーミング効果のパチンコ、パチスロ事例と言えるでしょう。

なぜなら、特にイベントを開催しておらず、該当機種に「高設定」を入れるような示唆をしているわけでもないのにファンが店に殺到したのです。まさにファンの「思い込み」がSNSやバイラルなどで憶測を呼んだ結果です。

この他にも、パチスロ「Re:ゼロから始める異世界生活」のキャラクター「エミリア」の誕生日などでもファンが集まっています。

アニメ版権全盛の現在、こうした集客方法はぜひ活用したいものです。

ただし、こうしたPR手法を行う場合は「相応の営業」をしないと期待を裏切り信用・信頼を損ねる恐れがあるのでご注意ください・・・。