自ら首を絞めるパチンコ店「禁止とする広告宣伝」
パチンコ市場規模・動向 2023/5/23
2023年、パチンコ店の広告宣伝に関するルールが10年振りに更新されましたが、ホール関係4団体ではその具体的な内容について「広告宣伝ガイドライン」を作成して周知してきました。
しかし、一部で不適切な事例が発生していることを踏まえ、同年4月に「禁止とする広告宣伝」が新たに発表されました。
ようやく見直された広告ルールが一部のルール違反で再び自粛となれば、コロナ自粛の解禁やスマスロの登場など業績回復に追い風が吹いてきた業界にとって大きな逆風となってしまいます。
今回は、新たに公表された「禁止とする広告宣伝」について確認したいと思います。
1.新たに認められた6つの広告宣伝
まず、2023年初めに実施を認められたパチンコ店の具体的な広告宣伝を振り返ってみましょう。
以下の6項目が可能となった宣伝内容です。
①国民的行事、地域の行事及び創業記念に関する広告及び宣伝
②遊技機に関する広告及び宣伝
③遊技機性能に関する広告及び宣伝
④遊技結果に関する広告及び宣伝
⑤営業時間に関する広告及び宣伝
⑥駐車場における行事に関する
この中で、特に注目されたのが④の遊技結果に関する広告宣伝です。
これは「出玉数」の掲示などが可能になったもので、以前であれば射幸性を煽るとしてほとんど認められなかった「出玉ランキング」などがOKとなり、パチンコ店にとってはお客への大きなアピール効果が期待できるものとでした。
しかし、やはりというか早くも一部で行き過ぎた宣伝広告が見られるようになったため、新たに「禁止とする広告宣伝」として早々にブレーキをかける形となりました。
2.新たに禁止とする広告宣伝
禁止となる広告宣伝の具体的な内容は以下の通りです。
①「おすすめ」機種を日替わりで表示すること
②遊技結果(出玉ランキング、大当たり回数など)を営業所以外の単位(全社単位、都道府県単位など)で表示すること、一定期間(週間、月間など)の遊技結果を合算して表示すること、複数の遊技機の遊技結果を合算して表示すること
①は、「おすすめ機種」を掲示すること自体は問題ありませんが、「〇月○日のおすすめ」などおすすめ機種の「日替わり表示」は、警察庁が示す広告宣伝規制違反となる“入賞を容易にした遊技機の設置をうかがわせる表示”“大当り確率の設定変更が可能な遊技機について設定状況等をうかがわせる表示”に該当する恐れがあるため禁止となります。
②については、1日単位以外の遊技結果の表示は、遊技機本来の性能に比べより多くの出玉獲得が容易であると誤認させる恐れがあり、①と同様に警察庁が示す規制違反に該当する恐れがあることから禁止としたのです。
先の6項目は、ホール関係4団体の質疑書への回答として警察庁が「広告宣伝規制に違反するものではない」としたものですが、その中で「遊技結果」の具体例はホールの設置してある個別の遊技機の「一日単位の遊技結果」であるので、一定期間(週間、月間など)の合算や複数の遊技機の遊技結果表示は違反となります。
3.「広告宣伝ガイドライン」を遵守
ホール関係4団体では、今後も禁止すべき広告宣伝の事例が見られる場合には、「禁止とする広告宣伝」を追加していくとしています。
2023年のはじめに発表された新たな広告宣伝のルールは、従来の広告規制を“緩和”したわけではありません。
射幸心を煽るような内容はこれまで通り規制対象になります。ようやく更新された「広告宣伝規制」ですが、一部のルール違反で6項目が形骸化すれば、広告宣伝規制が以前に戻るか、さらに規制が増える可能性も大です。
今後も新ルールを遵守して告知・宣伝を行っていくことが重要であることは改めて認識できるのではないでしょうか。