キャリア形成の手段
転職雑記 2023/9/5
これまで主流だった「終身雇用」での「キャリア形成」は、終身雇用制の崩壊や働き方に対する価値観の多様化、さらには新型コロナウイルス感染症の流行に代表される予測不能な社会の変化などによって、変更を余儀なくされています。
不確実な明日に向かう中、自身が描くキャリアをつかむには、主体的な「キャリア形成」に取り組む必要があります。
1.新たなキャリア形成のステップ
厚生労働省の「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」(2002年7月)では既に、従来からの終身雇用制を背景にしたキャリア形成から、『経済社会環境が急激に変化し続け、予測のつかない不透明な時代となり、労働者、個人は一回限りの職業人生を、他人まかせ、組織まかせにして、大過なく過ごせる状況ではなくなってきた。
すなわち、自分の職業人生を、どう構想し実行していくか、また、現在の変化にどう対応すべきか、各人自ら答えを出さなければならない状況となってきている。』
とし、そのうえで『個人主体のキャリア形成の動きを積極的に位置づけ、企業や社会の活性化を図る方向に向けていくことが重要である。』としています。
この報告書は2008年の「リーマン・ショック」や2019年の「新型コロナウィルス感染症」以前のリポートで、21世紀に入って既に日本式の雇用体制の崩壊を認識し、新たなるキャリア形成を促す内容となっています。
2.キャリア形成のメリット
キャリア形成の目的はいくつかありますが、例えば次のステージへスムーズに移行する、または希望通りの職種に転職することも含まれます。
また、突然会社が倒産したとしても、キャリアをしっかり形成しておけば、次の転職先はスムーズに決まる可能性が高いでしょう。
キャリア形成をしておくことは、未来の自分への投資でもあるのです。
3.国のキャリア支援
国もキャリア形成の重要性を提唱し、キャリアアップするための支援体制を整え始めています。
・文部科学省 キャリアの推進
文部科学省による、学生に向けたキャリア教育です。
文部科学省は「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」という定義を基に、小学校から高等学校まで成長に合わせたキャリア教育推進のプログラムを提示しています。
・厚生労働省 キャリア形成サポートセンター、支援制度
厚生労働省でも“労働者のキャリア形成促進”を目的とした、「キャリア形成サポートセンター」や、「キャリア形成支援」制度を設けています。
○キャリア形成サポートセンター
現在働いている人に“ジョブカード”を作成してもらい、それを基にキャリアコンサルティングを無料で受けられるようサポートする窓口です。相談は対面、オンラインどちらも可能です。
○キャリア形成支援
個人支援として「キャリアコンサルティングの育成」があり、修了すると、かかった費用の20%(上限10万円)を補助してくれるシステムです。
また、企業に対しても現在の仕事にプラスになる技能や知識を習得するための制度を導入すると、経費や賃金の一部を助成します。
4.キャリア形成の注意点
キャリア形成にはポイントを押さえた取組が必要です。ポイントを押さえ、自身にとって理想的なキャリア形成を目指していきましょう。
①ロールモデルを見つける
目指すキャリアの人をロールモデルに設定しましょう。
身近な人にモデルが見つからない場合は、業界の著名人など視野を広げて手本になる人を探すのが有効です。
②キャリアプランは定期的に見直す
現代は仕事の価値観や働く環境はどんどん変化しています。
そのためキャリアプランは最初に立てたものから変更することも大いにあり得ることです。
変化に応じてキャリアプランを見直すという選択肢も視野に入れておくことが重要です。
③会社の教育研修、職業訓練
会社の教育研修、職業訓練に積極的に参加してスキルアップを目指すのも1つの方法です。
④セミナーや本で独学
プライベートな時間にセミナーに参加したり、キャリア形成の本を読んだりして、キャリア形成のベースを作っておきましょう。
キャリア形成に悩んだらプロに相談するのも手です。
多くの人のキャリア形成をサポートしてきた転職エージェントやサービスなら、自身に合ったキャリア形成について、様々な角度から選択肢やプランなどをアドバイスいただけるはずなので、活用してみてはいかがでしょうか。