法定労働時間と所定労働時間の違いとは
転職雑記 2026/8/11

転職活動で求人票を見ていると、「所定労働時間8時間」「実働7時間30分」「法定労働時間内」など、労働時間に関するさまざまな表記を目にします。
なかでも「法定労働時間」と「所定労働時間」は似た言葉ですが、意味が異なります。
この違いは残業や割増賃金にも関係するため、転職先を選ぶ際には理解しておきたいポイントです。
本記事では、法定労働時間と所定労働時間の違いや残業との関係、求人票を見る際のチェックポイントなどを解説します。
1.法定労働時間と所定労働時間の違い
簡単に説明すると、「法定労働時間」は法律によって定められた労働時間の原則的な上限、「所定労働時間」は会社が就業規則や労働契約などによって定めた労働時間です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■法定労働時間
法定労働時間とは、労働基準法によって定められた労働時間の上限です。
原則として、
1日8時間
1週40時間
を超えて労働させてはならないとされています。
例えば、月曜日から金曜日まで毎日8時間働く場合は、1週間で40時間となるため、原則的な法定労働時間の範囲内です。
使用者が法定労働時間を超えて労働者に時間外労働をさせる場合には、原則として労使で「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」を締結し、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
また、法定時間外労働には上限が設けられており、36協定を締結すれば無制限に残業させられるわけではありません。
なお、事業場や労働時間制度によっては、特例措置対象事業場や変形労働時間制などの例外があります。
■所定労働時間
所定労働時間とは、会社が就業規則や労働契約などによって定めている労働時間です。
例えば、
「9時~18時、休憩1時間」
という勤務条件なら、所定労働時間は1日8時間です。
一方、
「9時~17時30分、休憩1時間」
なら、所定労働時間は1日7時間30分となります。
所定労働時間は、原則として法定労働時間の範囲内で会社が設定します。
この違いを理解しておくことで、求人票や労働条件通知書などに記載された勤務時間を把握しやすくなります。
2.時間外労働・残業との関係
法定労働時間と所定労働時間の違いを理解するうえで重要なのが、「所定外労働」と「法定時間外労働」の違いです。
例えば、所定労働時間が1日7時間30分の会社では、7時間30分を超えて働けば会社が定めた所定労働時間を超えることになります。
ただし、1日8時間を超えていなければ、原則として法律上の「法定時間外労働」にはなりません。
つまり、
所定労働時間を超えた時間=所定外労働
法定労働時間を超えた時間=法定時間外労働
と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、「9時~17時30分、休憩1時間」で所定労働時間が7時間30分の会社において、休憩を追加で取らず19時まで働いたとします。
この場合、
17時30分~18時30分:所定外労働(法定労働時間内)
18時30分~19時:法定時間外労働
となります。
所定外労働のうち法定労働時間内に収まる部分については、労働基準法上、25%以上の割増賃金を支払う義務が生じるわけではありません。
ただし、就業規則や労働契約などによって割増賃金を支給することが定められている場合もあるため、会社の規定を確認する必要があります。
一方、法定労働時間を超える時間外労働については、原則として通常の賃金に対して25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
また、1か月60時間を超える法定時間外労働については、50%以上の割増率が適用されます。
3.36協定があれば何時間でも残業できるわけではない
法定労働時間を超えて労働させるためには、原則として36協定の締結・届出が必要です。
ただし、36協定を締結していれば何時間でも残業できるわけではありません。
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。
臨時的な特別の事情があり、労使が合意して特別条項を設ける場合にも上限が定められています。
転職先の働き方を確認するときは、「36協定があるか」だけでなく、実際にどの程度の時間外労働が発生しているのかを確認することが大切です。
4.求人票で確認したいポイント
転職活動では、求人票に記載されている勤務時間をよく確認しましょう。
例えば、「実働7時間30分」と記載されている会社は、「実働8時間」の会社より1日の所定労働時間が短いことになります。
ただし、所定労働時間が短いからといって、必ずしも実際の勤務時間も短いとは限りません。
残業の発生状況によって実際の働き方は異なります。
そのため、求人情報を見る際は、
●所定労働時間・実働時間
●始業・終業時刻
●休憩時間
●月平均の残業時間
●固定残業代(みなし残業代)の有無と対象時間数
●フレックスタイム制度の有無
●変形労働時間制の有無
●テレワークや時差出勤制度の有無
などを確認すると、入社後の働き方をイメージしやすくなります。
特に固定残業代が設定されている求人では、「基本給とは別にいくら支給されるのか」「何時間分の時間外労働に相当するのか」なども確認しておきましょう。
5.法定労働時間と所定労働時間の違いを理解して求人を確認しよう
法定労働時間と所定労働時間は、どちらも働く時間に関する重要な用語ですが、その意味は異なります。
法定労働時間は、法律で定められた労働時間の原則的な上限です。
一方、所定労働時間は、会社が就業規則や労働契約などで定めた通常の労働時間です。
さらに、所定労働時間を超えたからといって、その時間がすべて法律上の時間外労働となり、25%以上の割増賃金が発生するわけではありません。
法定労働時間を超えた「法定時間外労働」なのか、法定労働時間内の「所定外労働」なのかを区別することが重要です。
転職では、給与や仕事内容だけでなく、所定労働時間や実際の残業時間、固定残業代、休日・休暇なども確認しましょう。
労働時間の仕組みを正しく理解したうえで、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った職場を選ぶことが、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。
※労働時間については、変形労働時間制、フレックスタイム制、特例措置対象事業場など、通常とは異なるルールが適用される場合があります。個別の労働条件について疑問がある場合は、労働基準監督署などの公的機関へご確認ください。












