株主総会とは?目的や決議事項、定時・臨時株主総会の違いについて
転職雑記 2026/10/6

企業に関するニュースやIR情報などで、「株主総会」という言葉を目にすることがあります。
株主総会は、株式会社の株主によって構成され、会社法や定款で定められた事項について決議する重要な機関です。
上場会社の株主総会では、経営方針や事業の状況などについて説明されることもあり、企業について理解するための情報源の一つにもなります。
転職活動で上場企業について調べる場合も、株主総会の招集通知や事業報告、決議結果などを企業研究の参考にできるでしょう。
本記事では、株主総会の基本的な仕組みや目的、主な決議事項、近年の動向について解説します。
1.株主総会とは?
株主総会とは、株式会社の株主によって構成され、会社法や定款で定められた事項について決議する機関です。
株式会社には、株主総会を設置することが会社法で定められています。
ただし、株主総会が決議できる事項の範囲は、会社の機関設計によって異なります。
取締役会を設置していない会社では、株主総会は会社法で定められた事項だけでなく、会社の組織・運営・管理その他株式会社に関する一切の事項について決議できます。
一方、取締役会設置会社では、株主総会が決議できるのは、原則として会社法に規定する事項と定款で定めた事項です。
そのため、株式会社におけるすべての経営判断を株主総会で行うわけではありません。
日常的な業務執行や経営判断については、会社の機関設計に応じて取締役や取締役会などが担います。
2.定時株主総会と臨時株主総会
株主総会には、大きく「定時株主総会」と、それ以外の必要に応じて開催される株主総会があります。
■定時株主総会
定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集される株主総会です。
会社法第296条第1項では、定時株主総会を毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと定めています。
定時株主総会では、会社の事業内容や業績などについて報告されるほか、会社によっては取締役・監査役などの選任、剰余金の配当、役員報酬などの議案が審議されます。
ただし、具体的にどの事項を決議するかは、会社の機関設計や定款などによって異なります。
■臨時株主総会
会社法第296条第2項では、株主総会は必要がある場合にはいつでも招集できるとされています。
定時株主総会とは別に、必要に応じて開催されるものは一般に「臨時株主総会」と呼ばれます。
例えば、事業再編や役員の選任など、定時株主総会を待たずに株主の決議が必要となる場合に開催されることがあります。
審議される内容は、株主総会を開催する目的によって異なります。
3.株主総会はなぜ6月に多い?
日本では、6月に上場会社の株主総会が多く開催されます。
その背景の一つが、3月期決算の会社が多いことです。
定時株主総会は毎事業年度終了後の一定の時期に開催されるため、3月期決算の会社では6月に開催するケースが多く見られます。
実際に東京証券取引所では、毎年、3月期決算会社の定時株主総会の開催予定日を集計しています。
ただし、すべての会社が3月決算・6月開催というわけではありません。決算期などによって株主総会の開催時期は異なります。
また、かつては特定の日に多くの会社の株主総会が集中する傾向が強く見られましたが、近年は開催日の分散も進んでいます。
4.株主総会では何をする?
株主総会には、株主が会社の重要事項について議決権を行使するという重要な役割があります。
また、定時株主総会では事業報告などが行われるほか、株主から経営陣へ質問が行われることもあります。
■会社の状況を報告する
定時株主総会では、事業報告などを通じて会社の事業活動や経営状況について株主へ説明します。
上場会社では、売上高や利益といった財務情報だけでなく、中長期的な経営戦略、人的資本、サステナビリティなどについて情報を発信している場合もあります。
なお、すべての情報が株主総会の場だけで開示されるわけではありません。
上場会社の場合は、決算短信、有価証券報告書、統合報告書、適時開示資料なども企業を理解するうえで重要な情報源です。
■重要事項を決議する
株主総会では、会社法や定款によって株主総会の権限とされている事項について決議します。
株主は保有する株式に応じた議決権などを行使し、議案に対して賛成・反対の意思を示します。
ただし、議決権の有無や数については株式の種類などによって異なる場合があります。
■株主と経営陣がコミュニケーションを取る
株主総会には、株主と経営陣が直接コミュニケーションを取る機会としての側面もあります。
株主は一定の範囲で、経営戦略や業績などについて経営陣へ説明を求めることができます。
経営陣にとっても、株主の関心事項を把握する機会の一つになります。
5.株主総会で扱われる主な議案
株主総会で決議される可能性のある代表的な事項を見ていきましょう。
■定款の変更
「定款」は、会社の目的や商号、本店所在地など、会社の基本的なルールを定めたものです。
定款を変更する場合は、原則として株主総会の決議が必要です。
定款変更には、原則として通常の普通決議より厳しい要件となる「特別決議」が必要になります。
■取締役・監査役などの選任・解任
取締役や監査役などの役員の選任は、株主総会の重要な決議事項の一つです。
株主が役員の選任について議決権を行使することは、会社の経営を監督する仕組みにおいて重要な意味を持ちます。
なお、役員の種類や必要な機関は会社の機関設計によって異なります。
■役員報酬
取締役の報酬等について、定款に金額などが定められていない場合は、株主総会の決議によって定めることが会社法で規定されています。
ただし、役員報酬の具体的な決定方法は、会社の機関設計や報酬制度などによって異なるため、すべてを株主総会で個別に決定するとは限りません。
■剰余金の配当
剰余金の配当も、株主にとって関心の高い事項です。
原則として株主総会の決議によって配当を決定しますが、一定の要件を満たす会社では、定款の定めにより取締役会が剰余金の配当等を決定できる場合があります。
そのため、「配当は必ず株主総会で決める」とは限りません。
■組織再編・事業譲渡など
合併や会社分割、株式交換、一定の事業譲渡など、会社の組織や事業に大きな影響を与える事項について、株主総会の承認が必要となる場合があります。
ただし、簡易手続や略式手続など、一定の要件を満たせば株主総会の承認を必要としないケースもあります。
6.バーチャル株主総会とは?
近年は、インターネットを活用した株主総会も行われています。
代表的な方法として、「ハイブリッド型バーチャル株主総会」と「バーチャルオンリー株主総会」があります。
■ハイブリッド型バーチャル株主総会
物理的な会場を設けながら、株主がオンラインでも参加・出席できる形式です。
ハイブリッド型には、オンラインで株主総会の様子を確認・傍聴する「参加型」と、オンライン参加者も会社法上の株主総会への出席として扱われ、質問や議決権行使などができる「出席型」があります。
■バーチャルオンリー株主総会
物理的な会場を設けず、株主や取締役などがインターネット等を通じて参加する株主総会です。
2026年9月現在、日本では産業競争力強化法における会社法の特例によって、一定の要件を満たす上場会社について開催することが可能となっています。
開催するためには、経済産業大臣・法務大臣の確認を受けるなど所定の要件を満たす必要があります。
そのため、すべての株式会社が自由にバーチャルオンリー株主総会を開催できるわけではありません。
7.近年の株主総会の変化
近年の上場会社では、コーポレートガバナンスや中長期的な企業価値向上に対する株主・投資家の関心が高まっています。
取締役会の構成、資本政策、株主還元、サステナビリティ、人的資本など、企業に対して幅広いテーマの説明が求められるようになっています。
また、株主総会のデジタル化も進んでいます。
ハイブリッド型株主総会や、一定の要件を満たした上場会社によるバーチャルオンリー株主総会など、株主が物理的な会場へ行かなくても参加できる仕組みが活用されています。
一方、株主総会は会社法上の正式な機関であるため、デジタル化に際しても株主の議決権や質問の機会など、株主の権利を適切に確保することが重要です。
8.転職活動でも株主総会の情報を企業研究に活用できる
上場企業への転職を検討している場合は、株主総会に関連する公開資料も企業研究に役立ちます。
例えば、
・株主総会招集通知
・事業報告
・株主総会の決議結果
・経営陣からの説明
・株主提案の内容
・取締役候補者の経歴
などから、会社の経営方針やガバナンス体制を確認できます。
ただし、転職活動の企業研究では株主総会関連資料だけを見るのではなく、有価証券報告書、決算資料、中期経営計画、企業の採用情報などもあわせて確認することが大切です。
9.株主総会は株式会社の重要事項を決議する機関
株主総会は、株式会社の株主によって構成され、会社法や定款によって定められた事項を決議する重要な機関です。
定款変更や役員選任、組織再編など、会社の重要事項について株主が議決権を行使する機会となります。
一方、株主総会が決議できる事項は会社の機関設計によって異なり、株式会社に関するすべての経営判断を株主総会で決定するわけではありません。
また、近年では株主総会のデジタル化も進み、オンラインを活用したさまざまな開催方法が利用されています。
上場企業への転職を考えている場合には、株主総会の招集通知や決議結果なども企業研究の一つとして確認してみるとよいでしょう。
※本記事は株主総会制度の一般的な解説です。実際の株主総会の権限や必要な決議は、会社の機関設計、定款、議案の内容などによって異なります。












