近年の数値、過去の歴史から見るパチンコ業界
パチンコ市場規模・動向 2016/8/9
かつて、パチンコ業界は「30兆円産業」と言われていた時代がありました。しかし2015年の市場規模は、約18兆円まで縮小しています。平成のはじめには約3000万人だった遊技人口も減少が続き、今ではその半分以下。2015年には約1070万人まで激減しました。
近年、市場規模と遊技人口は共に微増傾向にあるとはいえ、最盛期と比べて著しく縮小したパチンコ業界の現状について、「店舗数」と「遊技人口」から紐解いていきたいと思います。
1.減少する店舗数と遊技人口の因果関係
パチンコホールは、1995年には全国で18000軒を超える店舗がありましたが、その後は年々減り続けており、2015年には約11000軒まで減少。その要因としては様々なことが考えられますが、「遊技台価格の高騰によるホール側の負担増」もその一つと言っていいでしょう。
タイアップ台の場合、版権料がかかるのに加え、派手な役モノやサブ液晶の搭載などによって部材の費用がかさみ、開発費は年々高騰。それが遊技台の販売価格に転嫁されています。
また、昔と比べて新台を入れ替えるサイクルが短くなっており、ホール側の負担は増すばかりです。 遊技者の方に目を向けてみれば、遊技台の射幸性が高くなったことに加え、ホールが高交換率営業へシフトしたことによって客単価が上昇し、おこづかいの範疇で気軽に遊べなくなったユーザーのパチンコ離れが起きました。
それによって、ホールは利益を確保するため、少なくなったお客様に負担を強いる営業をせざるをえなくなり、ヘビーユーザー以外のさらなるパチンコ離れを呼ぶという悪循環につながったのです。
2.スロットの例に見る業界の縮小
店舗数の減少に関して思い出される近年の出来事としては、スロットの5号機問題が挙げられます。射幸性が著しく高まり、人気が過熱した4号機に規制が入り、出玉率を抑えた5号機へとシフトしたことでスロットの人気が一時的に低下。スロット専門店の相次ぐ閉店が全国で起こり、衝撃を受けた方も多かったことでしょう。
業界縮小の原因を「メーカー」「パチンコホール」「ユーザー」のうちのどれか一者だけに押し付けるわけにはいきません。ユーザーが楽しめる遊技台をメーカーが作り、気軽に遊べる環境をパチンコホールが提供し、ユーザーは足繁くパチンコホールに通う。そんな流れができてこそ、業界の再興が見えてきます。
パチンコ業界の歴史は、「射幸性の高まりを受けての規制」と「規則の拡大解釈による射幸性の高まり」の繰り返しです。パチンコ業界の最盛期と比べてみれば店舗数と遊技人口は大きく減少していますが、それでも毎年のようにパチンコホールを出店している企業があるのも事実。パチンコ業界の未来は、決して暗いわけではありません。
3.余暇市場の3分の1を占めるパチンコ業界
2014年の余暇市場は約73兆円。その中でパチンコ市場は約24兆5000億円。業界規模が縮小しているとはいえ、依然として大きな市場であることには変わりありません。日本の余暇市場の中で、パチンコ業界が3分の1を占めているのを見れば、今でも多くの人がパチンコを余暇として楽しんでいることが分かるでしょう。
また、「ゲーム」「ギャンブル」「飲食」「カラオケボックス」「麻雀」「ゲームセンター」などで構成される娯楽部門において、パチンコ業界のシェアは約49%。「競馬」「競艇」「競輪」「オートレース」といったギャンブルの市場規模が約5兆5000億円であることを考えれば、パチンコ業界がいかに巨大産業であるかは一目瞭然。余暇市場におけるパチンコ業界の存在感は突出しているのです。
4.まとめ
2016年、パチンコ業界は大きな変革の時を迎えました。高射幸性のパチンコ台の撤去、違法釘の問題により、ホールに導入されているパチンコ台の大部分が入れ替えの必要性に迫られています。
そんな中、射幸性を大きく下げた、手軽に遊べる「ちょいパチ」を業界を挙げて一大ジャンルとして定着させるべく、複数メーカーが台をリリースしています。この「ちょいパチ」は、ちょっとした時間でパチンコの醍醐味である大当りをたくさん楽しめるため、新規ユーザーの獲得にも期待が持てます。
また、大当り確率の下限を上げた新内規は初期投資を抑えることにつながるので、パチンコを打ちたい気持ちはありながらもMAX機は敬遠しがちだったライトユーザーを呼び込むことができるはず。 このように様々な取り組みが進められているパチンコ業界は今、V字回復に向けて歩み出したのです。