パチンコ業界の大きな課題「ギャンブル依存症」対策
転職雑記 2019/2/12
2019年02月01日、パチンコホール大手5社が、パチンコ依存対策への共同声明を発表しました。
これは、2018年に成立、施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」を受けたもので、業界の大きな動きとして一般報道され注目を集めました。
「ギャンブル等依存症対策基本法」の定義では、パチンコの名称も入っています。
【ギャンブル等依存症とは】
ギャンブル等(法律の定めるところによる公営競技(※)、ぱちんこ屋に係る遊技その他の射幸行為)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態。
※ケイリン、競馬、オートなどの公営ギャンブル
すでにパチンコ業界では、警察庁による出玉規制強化をはじめとする各種依存対策が実施されているほか、業界団体の自主的な取り組みとして、リカバリーサポート・ネットワークを通じた相談体制などが作られていますが、2020年の東京オリンピックを控える中、対策法の施行は「パチンコ依存症」対策について、本格的に取り組まなければならない課題として業界に突き付けられているのです。しかしながら、対策には業界団体や企業間で温度差があるのが実情です。
そもそも依存症について、「自己責任」として個人に起因するものとする認識は根強いものがあります。
しかし「ギャンブル依存症」は、医学的には「ギャンブル障害 Gambling Disorder」とする精神疾患の一つとされており、行動をコントロールができなくなり、日常生活や社会生活に支障が生じる病気と定義されています。
個人に責任を押し付けるだけでは改善しないことは明白なのです。この病を放置すれば、多重債務や貧困といった経済的問題に加え、家庭内の不和などの家庭問題、虐待、自殺、犯罪などの社会的問題を生じる可能性が大きく、その対策は急務といえるでしょう。
国も依存症対策に本気の姿勢です。対策法に基づき設置された「ギャンブル等依存症対策推進本部」の下、各省庁が連携して推進しており、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)は、同本部の副本部長に特定されています。
政府には、依存症対策を推進するための基本計画策定を義務づける一方、事業者に対しては、「国及び地方公共団体が実施する対策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たって、依存症の予防等に配慮するよう努めなければならない」と規定しています。
また参議院では、「ギャンブル等依存症対策基本法」を内閣委員会で可決した際、「政府は基本計画策定に際して、広告宣伝や入場管理のあり方、本人・家族の申告に基づく利用制限などのあり方を検討する」「政府は依存症対策を着実に進めるための予算の確保に努める」「政府は関係者会議の運営に当たり、依存症者や家族の意見を十分聴取する」「警察は、違法なギャンブル等の取り締まりを一層強化する」など、全11項目の附帯決議も行っています。
業界でも、1月の業界団体全国理事会で行われた警察庁保安課長の行政講話で、依存防止対策について店舗の管理者に対し、「リカバリーサポート・ネットワークの営業所内外における周知」「自己申告・家族申告プログラムの導入」「過度な遊技を行わないよう客に対する注意喚起の実施」「18歳未満の者の営業所立入禁止の徹底」などの確実な実施を要請しています。
依存症対策はパチンコ業界での、一つの大きな課題と言えます。パチンコホール企業はそれぞれの立ち位置で具体的な対策を行う段階に来ていると言えるのではないでしょうか。