パチンコ店のタバコ事情
パチンコのユルイ雑学 2021/3/9
2020年4月に改正健康増進法が施行され、1年が経とうとしています。
この法律は「多数の人が利用する施設においては原則屋内禁煙」が盛り込まれており、パチンコ店も例外ではなく、店内では原則喫煙は禁止となりました。単純にいうと、プレイ中の喫煙は不可(加熱式タバコは条件付きで可)になったということです。
パチンコ店でタバコを吸うには専用室などが必要で、喫煙室が設置されているケースが多くなりました。
また、紙巻たばこは喫煙室のみですが、「加熱式タバコ」はエリアの設置が認められているので、プレイ中の喫煙も「加熱式タバコ専用フロア」であれば可能です。
現在、習慣的に喫煙している人は、厚生労働省のデータでは17.8%(男性 29.0%、女性 8.1%)となっていますが、喫煙人口が約2割になった令和の時代でも、パチンコ店における喫煙者の割合は約5割ともいわれ、喫煙者にとっては「最後の楽園」となっています。
そこで昔からある(あるいはあった)パチンコ店のタバコに関する風景を、いくつかご紹介しましょう。
○共同ライター
紙巻たばこを喫煙するには火をつける必要がありますが、代表的なツールがライターです。
東海精器(現:東海)が1975年に発売した100円ライター「チルチルミチル」の大ヒットで、それまで主流だったマッチが日常生活から一気に駆逐されました。
当時の成人男性喫煙率は76.2%もあったのですから、大ヒットは必然だったといえるでしょう。日常のどこにでも出現するようになる一方で、置き忘れなども多発するようになったようです。
そして、パチンコ店でよく目にするようになったのが、紙幣両替機の上にいくつか置かれた共同で使えるライター。来店客の「置き忘れライター」が流用され、ライターを忘れたお客さんはそれを使ってタバコに火をつけていました。
「100円なら買えば良いのに」と思われるかもしれませんが、パチンコを打つ喫煙者はその100円に敏感だったりするから不思議です。
ご丁寧に紐でぶら下げているパチンコ店も多く、さらにそれが各島の端にぶら下げてあるという風景も珍しいことではありませんでした。
○嫌煙権
80年代にはいると「嫌煙権」という言葉が生まれました。
弁護士12名が1980年に起こした「嫌煙権訴訟」が注目され、それまで我慢してきた非喫煙者が声を上げ始めたのです。
それ以降、パチンコ店では強力換気のエアコンや分煙板が普及していくわけですが、非喫煙客と喫煙客のトラブルもみられるようになりました。
○タバコの交換は1カートンまで
タバコの原価率が90%を超えることが多く、交換されても利益が薄い景品です。それゆえ交換は1カートンまでの制限が多いのです。
「じゃあ、タバコを置かなければ良いいのでは」となりそうですが、喫煙者が集まるパチンコ店で、タバコを景品として置いてなかったら来店動機に影響を及ぼす可能性がありました。実際、改正健康増進法が施行された2020年4月以降、すばやく喫煙室などを儲けたホールの方が、お客さんの入りは良かったそうです。
しかし「改正健康増進法」では、喫煙室や加熱式タバコ専用エリアの設置は「経過措置」となっています。つまり、将来的には「完全禁煙の可能性もある」ということです。
ハード面はもちろんですが、非喫煙者が気軽に来店できる仕掛けや魅力付けが重要になってきそうです。