パチンコ業界と防犯協会
パチンコのユルイ雑学 2021/7/8
皆さんは町で「青パト」を見かけたことがあるでしょうか。
住宅街などを青いパトライトを付けて走っている警察車両風の車です。
これは「青色防犯パトロール」(あおいろぼうはんパトロール)というもので、青色の回転灯を装備した自動車を用いて行われる防犯パトロールです。
青色防犯パトロールは、警察から認可を受けた各地の様々な防犯団体(市町村や町内会・自治会など)で行われていますが、こうした運動の中心になっているのが、全国防犯協会連合会(全防連)という組織です。
主な活動は「青少年の健全育成」「薬物の乱用防止」「暴力団排除活動」を中心に市民への防犯知識の普及、各地の防犯協会や防犯ボランティアへの支援活動を行っています。
特に活動の中で知られているのは、「全国暴力追放運動推進センター」ではないでしょうか。
また、全防連は国家公安委員会から「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に定める「全国風俗環境浄化協会」の指定を受けた団体として、風俗環境の健全性保持、少年の健全な育成を目指して活動しており、パチンコ業界はこの取り組みに日々協力しています。
このように、パチンコ業界とはとても縁が深いわけです。
意外なところではパチンコ、パチスロ遊技機メーカーが機種を組み立てる「工場の認可」です。
遊技機メーカーが新機種を発売するには、その機種が「保通協」(一般社団法人 保安通信協会)で実施する検定に合格しなければなりません。
パチンコ業界関係者やコアなファンの中には、毎月発表される検定の通過状況(適合状況)をチェックしている人も多いでしょう。
発表される内容は、検定に適合した機種名が並んでいるだけですが、今後発売される(パチンコ店に登場する)可能性の高い(合格しても遊技機メーカーの販売戦略などで発売しない機種もある)機種の情報だけに関心度は非常に高いものがあります。
検定は市場に新機種を発売するための認定作業で、時間による出玉率など一定のレギュレーションに沿って新機種をチェックします。
全国47都道府県それぞれに検定は実査され、都道府県下のパチンコ店へ遊技機を設置してもよい旨の許可を得ることになります。
ちなみに保通協は警察(公安委員会)の指定試験機関です。
そして、一般にはあまり知られていないことですが、遊技機メーカーは「検定」以前に重要な証明事項があります。
それは、「適合を受ける機械と同一の機械を製造できる施設がある」という裏付けです。
このチェック機関こそが全防連なのです。
簡単に言うと全防連の認可を受けた工場が無いと「機械を製造できない」ということです。
もし認可工場がなければ機械を組み立てることはできませんから、そもそも保通協に申請する新機種も作ることが出来ないことになります。
全防連に提出する書類には、工場の間取りや遊技機の製造方法、保管方法などの内容から、製造に使用する機器の配置までもが記載されているといいます。
ファンから挙がる疑問の中には「なぜ大手家電メーカーや製造メーカーはパチンコ業界に参入しないのか?」というものがあります。
最大の理由はパチンコ、パチスロを技術的には作れても「部品やゲーム性が特許の塊」で昨日今日に手が出せる分野では無い、というものですが「認定工場が無い」というのも理由のひとつです。
実際、新規参入メーカーの多くは何らかパチンコ業界に関係する企業であり、機種の製造は既存メーカーの製造ラインを借りて新機種を制作していることが多いのです。
まるで「OEM」ですが、新機種がヒットすれば良いものの、上手くいかなければ開発費はもとより工場認定取得のプロセスや維持費までが全て無駄になります。
おいそれとは製造出来ない現実があり、簡単には参入できない状況なのです。
さて、この全防連をよく調べてみると「賛助会員」という制度があり、会の活動に賛同する団体・企業が名を連ねています。
2021年6月現在で賛助会員は29の企業・団体がありますが、そのうち6社はパチンコ業界の団体です。また「特別会員」には業界ではお馴染みの保通協もしっかり入っています。
・特別会員
一般財団法人保安通信協会
公益財団法人日本防災通信協会
公益社団法人日本防犯設備協会
一般社団法人日本二輪車普及安全協会
全国ハイヤー・タクシー防犯協力団体連合会
一般社団法人全国警備業協会
全国質屋防犯協力会連合会
・賛助会員
☆日本遊技機工業組合
☆日本電動式遊技機工業協同組合
☆全日本遊技事業防犯協力会連合会
☆株式会社バンダイナムコアミューズメント
☆日本パチスロ特許株式会社
☆セガサミーホールディングス株式会社
株式会社たいよう共済
一般社団法人日本アミューズメント産業協会
三菱地所株式会社
綜合警備保障株式会社
セコム株式会社
株式会社日本ロックサービス
美和ロック株式会社
株式会社全日警
東京法令出版株式会社
一般社団法人全国美術商連合会
株式会社日立ビルシステム
株式会社東横イン
セキュリオン・24株式会社
日本ロックセキュリティ協同組合
日本ロック工業会
株式会社ユーシン・ショウワ
株式会社セノン
一般社団法人日本カラオケボックス協会連合会
株式会社ネオガイアホールディングス
セントラル警備保障株式会社
株式会社紀尾井共済
全国読売防犯協力会
株式会社香取宝飾
(☆はパチンコ業界関連企業・団体)
会員をよく見ると、パチンコやアミューズメント団体はもちろん警備、防犯、セキュリティなど、警察方面の関係先が多数という印象を受けます。
遊技機メーカーにとっては機械製造工場の認可、パチンコ店にとっては警察とともに風俗環境の管理者として指導を受けており、このようなことからも「パチンコ業界がいかに規制に縛られた産業であるか」ということを改めて確認できますね。