ブラック企業を辞められない理由
転職雑記 2022/1/20
自分の勤め先が「ブラック企業」だと思っていても、やめられない人が多くいます。
しかしブラック企業に勤め続けることは、いずれ肉体・精神共に大きなダメージを受けることになりますから、自分がブラック企業に勤めていると分かった場合は早々に転職するのが一番です。
ブラック企業をなかなか辞められない理由はいくつかありますが、「辞められない理由」の1位は、「転職活動が不安」という結果が出ています。
これは労働問題などに取り組む日本労働調査組合が行った「ブラック企業に関するアンケート」で明らかになったものです。
ブラック企業で働いている人は、いつしかその環境が当たり前のようになってしまい、自ら考えることもできなくなっている場合が多いのです。
そんな環境から早く転職するためにも、なぜ「やめられないのか?」を確認して、転職について考えてみることも大切です。
1.ブラック企業を辞められない理由
日本労働調査組合は20~49歳で自身の勤務先が「ブラック企業だと思う」と回答した会社員552名を対象にインターネットを通じた調査を行い、その結果を公表しました。
「ブラック企業」と認識した会社を辞めるかどうか検討しているかを聞いたところ、 「はい」が68.7%、 「いいえ」が31.3%という回答結果となりました。
2021年4月に実施した会社員を対象とした調査では35.8%が退職を検討していると回答しており、 同調査と比べると32.9ポイント多いことになります
年代別にみると「20代」の77.8%、「30代」の66.8%、「40代」の61.2%が退職を検討しているといい、年代が上がるほど退職意向は低くなる傾向がみられます。
これは年代が上がるほど家庭環境や年齢的に会社の選択肢が減るなど、転職への不安要素が増えるためです。
辞められない理由については「会社を辞めていない、辞められない理由を教えてください」という質問に、
「転職活動が不安」(41.7%)
「生活が困窮する」(38.9%)
「家族を不安にさせる」(19.9%)
「同僚や関係者に迷惑が掛かる」(17.6%)
「辞めると言い出すのが怖い」(16.8%)
という結果が出ており、先行きの不安から転職に踏み出せない心理状態が伺える結果となりました。
同組合は「20代では約8割が退職を検討していると回答しており、仮に検討者が退職をした場合、5人中4人、10人中2人しか会社に残らない計算になり、労働環境の改善がない限り人材の流出は免れないと考えられます」と説明しています。
会社を辞めたい理由については、 第1位が「給料が安い」(37.7%)で、これに 「従業員を大切にしない」(30.6%)、 「仕事量が多い」(28.2%)、 「不当な人事評価」(24.3%)と続いています。
カテゴリ別にみると、「人間関係:ハラスメント」(24.9%)、「労働時間」(21.7%)、「給与待遇」(17.3%)といった内容が上位となりました。
2021年6月に実施したブラック企業の定義を問う質問では「サービス残業」がダントツの1位でしたが、 会社をブラック企業と認識している会社員の退職検討理由において、サービス残業は第7位にとどまっており、給与が労働に見合っていないという意識が強く表れる結果となっています。
ブラック企業では劣悪な労働環境とともに給与も安く労働搾取のような状態であることが分かる結果です。
2.ブラック企業のガイドライン
厚生労働省では長時間労働の是正に向けた取組を進めるため、毎年「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果について公開しています。
この調査では、主に労働時間や賃金不払残業などについて重点的に確認・調査を実施し、確認した結果法令違反があると認められる場合は、是正指導が行われています。
・時間外・休日労働に関する協定届の範囲内であるかについての確認
・賃金不払残業がないかについての確認
・不適切な労働時間管理についての確認
・長時間労働者に対する医師による面接指導等、健康確保措置の確認
こうしたガイドラインに抵触する企業は、「ブラック企業」であることが十分予想されます。
3.まとめ
ブラック企業については明確な定義はありません。
受け止める人によって色々な要素があり、低賃金やサービス残業など過酷な労働時間や環境、セクハラ・パワハラなどハラスメントの蔓延、社員の心身の健康への無関心などが挙げられます。
今回の調査結果を受けて同組合は「転職活動不安、生活困窮懸念により退職が出来ないと考えている人は非常に多く、不安から無理な労働環境を継続せざるを得ない場合、心身に影響が出て、今後安定した労働が出来なくなる可能性があります」と懸念を表明しています。
もし現職の会社が上記のような労働条件のガイドラインを守っていなようであれば、心身に変調を来す前に転職活動することも視野に入れるべきかもしれません。