面接書類作成は「黒または青の筆記具」
転職雑記 2022/9/27
転職活動で書類を作る時、記入する文字の色について「黒または青の筆記具」という解説が一般的です。
しかし、黒色はともかく全てを青色の文字で書くと違和感があります。実際、応募書類のほとんどは黒で記入されており、青色で書かれたものは無いようです。
ではなぜ、「黒または青の筆記具」という表記があるのでしょうか?
1.青の筆記具と「ブルーブラック」
ここで言う「青の筆記具」の青色とは、真っ青な色ではなく黒に近い「ブルーブラック」のことです。
このインクは筆記当初はブルーですが、年月の経過と共に染料の青い色の部分が退色し、鉄の黒い部分のみが紙面に固着して長期に渡り黒く残ります。
当初はブルーでも年月経過後にブラックに変化するというわけです。
ブルーブラックの歴史は古く、なんと2世紀にまで遡ることができるインクで、長期保存に優れたものなのです。
その製法は酸化鉄を使っており、黒色沈殿作用を利用しています。
ただ酸化鉄自体は無色透明なため、これに染料や酸を加えて書きやすくしたのです。
とくに青い染料を加えたものが使用されたことから「ブルーブラック」と言われるようになりました。
2.日本以外は青色も人気
日本以外では、実は青色は黒色と同様に使われています。
特に欧米では手書きの署名、いわゆる「サイン」が日本の印鑑と同様の意味を持つことはよく知られていますが、契約書など大切な書類にサインをする時などは、本物とコピーをしたものとを区別しやすくするため青インクを使用します。
青インクで書かれたものは一目でオリジナルの原稿と判断でき、コピーと容易に区別できるためです。
なおヨーロッパの慣習では、契約書を書くときにカーボン紙を使って複写し、そのカーボン紙が黒色なので、正式書類はペンの青色、写しがカーボンの黒色とする文化があります。
また、中華圏では紙や封筒の白地に黒の文字は葬儀を連想させるため拒否感が強く、青色の文字が好まれるそうです。
このように日本以外では、青色の文字も使用頻度が高く黒ペンと同様に青ペンもよく使用されています。
3.記入は黒色が無難
ではなぜ、現在の日本では書類や公式文書の文字は黒色がほとんどなのに、履歴書や職務経歴書などの記入に「黒または青の筆記具」でも良いとされているのでしょうか?
それは、日本でも以前はブルーブラックのインクを使用した万年筆が手書きの主流だったからです。
そのため、「黒または青の筆記具」という表記が生まれたのです。
しかし、現代においてはインクの質も向上し、わざわざボールペンより高価な万年筆を用意する必要はなくなりました。
一般的な黒のボールペンで十分実用に足るようになっています。
こうした背景から、履歴書などの作成は普通の黒色のボールペンなどを使用すれば十分ですから、わざわざ万年筆などのブルーブラックで書くのはリスクになるといえます。
ブルーブラックは文字が黒色に定着するには時間がかかります。
そのため作成後に短期間で提出した書類の場合、文字色は青みがかってしまいますから、「青色文字で常識が無い」と思われる可能性が。
青色の文字でも書類選考を通過する可能性はありますが、採用担当社がブルーブラックについて知っている確率は低いですから、わざわざリスクを取る必要は無いといえるでしょう。
転職活動で作成する書類は、たとえ「黒または青の筆記具」という解説や表記があったとしても、黒色で記入するのがベターです。