退職願、退職届、辞表の違い
転職雑記 2022/11/1
転職する際、転職活動と同様に重要なことに退職の手続きがあります。
つい転職活動が優先して退職の手続きは後回しになりがちですが、社員と会社は雇用関係にあるので、雇用関係を終了するには正式な手続きが必要になります。その第一歩となるのが、会社に提出する「退職願」や「退職届」です。
最近は、この退職願と退職届の扱いが曖昧になってきているようです。しかし、本来この2つは大きく性質が異なります。
1.就業規則の確認
退職の手続きというと「辞表」を提出するイメージが浮かびますが、会社員の場合は辞表ではなく「退職願」や「退職届」を提出します。
そして、提出の前に確認しておきたいのが現職企業の「就業規則」です。
通常、就業規則には退職手続きに関する項目がありますので、その記載内容を確認しましょう。
特に退職願・退職届の提出日は重要になりますので、よく確認しておくことをオススメします。
退職願・退職届の提出日は一般的には「1カ月前」と言われていますが、民法上では第627条第1項で「退職の意思表示は2週間前まで」にする必要があると定められています。
つまり、辞める日の14日前までに意思表明をしていれば辞めることができることになっています。
しかし、就業規則によっては違う期間を設定している場合もあるので、その時には記載内容に従わなければなりません。
提出日を間違えて退職交渉が難航しないよう、提出の期間はあらかじめチェックしておくとよいでしょう。
2.直属の上司に退職の意思を伝える
転職先が決まる、あるいは転職を決意したら、退職手続きとして、まず現職の上司へ退職の意志を伝えます。
そして上司以外の同僚や先輩、後輩、外部の取引先などへは、上司と相談して退職日が正式に決まった後に行います。
なぜ上司に伝える必要があるのかというと、退職する人の仕事の責任者は直属の上司だからです。
その部署のマネジメント全般を管理しているので、直属の上司に退職の意思を伝えることはとても重要になります。
また、退職に関連する不確定な情報が広まることを防ぐ意味もあります。
退職を表明したとしても、その後の展開次第では現職に留まったり、退職日が変わったりする可能性もありますので、直属の上司との退職交渉が成立するまでは、退職の件は口外しない方が良いでしょう。
3.退職願、退職届、辞表の違い
では、ここで「退職願」「退職届」「辞表」に違いについて解説してみましょう。
①退職願
退職願は「退職の意思表明」
退職願の場合は、あくまで本人が「退職の意思を表明した」というだけで、実際の退職手続きは、その後になります。そのため、この時点では退職できるかどうかは決まっていません。
また、その時の意思が「退職」だったとしても、その後の展開で退職を撤回する可能性もあります。
そうした場合、退職願の提出であれば、再び現職に戻ることが可能になります。
②退職届
退職届は「退職決定」
退職願が受理され、正式に退職日が確定した後に提出するのが「退職届」です。
退職届は、退職することが会社で受理され退職日が確定したのち、「退職」を会社に対して届け出るための書類です。
退職に関する決定事項を明確にし、事務手続きが円滑に進むよう提出します。
会社規定の書面があればそれを使用します。また。会社によっては書類や提出先が異なる場合もあるので、提出先は予め確認しておきましょう。
なお退職届の場合は、その後に退職の意思がなくなったとしても撤回はできず、現職に復帰することは基本できなくなります。
この点が退職願とは大きく異なりますので、提出前に再度自身の意思を確認する必要があります。
③辞表
辞表は「役員」「公務員」
役員や公務員の場合に提出するのが「辞表」です。
社長や取締役など雇用関係のない立場の人が役を辞することを届け出る書類であり、公務員の場合は「辞表」が「退職届」に当たるため、これを提出します。
4.原則は「手書き」「縦書き」
退職願・退職届共に手書きで作成することが基本になりますが、最近ではパソコンでの作成も増えています、なお、会社側からパソコンでの作成指示やフォームの指定がある場合は、それに従いましょう。
そして書式も縦書きで書きましょう。一般的にB5サイズの白の便箋(罫線の有無は問わない)に黒のボールペンか万年筆で書きます。
A4サイズでも問題はありません。
近年、その使い方が曖昧になりがちな「退職願」と「退職届」ですが、明確な違いがあります。
まだ気持ちが定まらないうちに退職届を出してしまったり、逆に気持ちは決まっているのに退職願を提出して退職手続きに時間がかかってしまったりするなど、提出を間違えて転職活動に大きな影響を与える場合がありますので、「辞表」も含め、その使い方についてしっかり確認して準備を進めましょう。