雇用保険と手続き
転職雑記 2022/11/17
「雇用保険」は、転職中の生活はもちろん転職活動のための費用にもかかわる重要な給付です。
給付を受けるには条件を満たして手続きを行う必要があります。
今回は、転職活動に伴う手続きで最も重要度が高い「雇用保険」の詳細や手続きについて確認したいと思います。
1.雇用保険とは
「雇用保険」と聞くと「?」と思う人がいるかもしれませんが、「失業保険」や「失業手当」と聞くとピンと来る人が多いのではないでしょうか。
雇用保険 = 「失業保険」「失業手当」「失業給付金」→ 基本手当
一般的に「失業保険」や「失業手当」「失業給付金」などと呼ばれていますが、正確には「雇用保険」といい、給与明細にも記載されています。
雇用保険の内容は「労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。
また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二事業を行っています」(厚生労働省HP)としています。
分かりやすく言うと、「失業状態になった時にハローワークで手続きするとお金(給付)がもらえる制度」ですね。
失業給付だけでなく「教育訓練給付金」や「その他の給付金」もあります。
勤めていた時に給料から天引きされている、「雇用保険」の費用で賄われている制度です。
なお、雇用保険は“保険”ですので給付を受けるには条件があり、加入状況に応じて給付されます。
2.雇用保険の受給条件
給付を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
①失業状態である
条件の一つである「失業状態」は、“単なる失業”では要件を満たしません。
失業していて、かつ「就職しようとする積極的な意思やいつでも就職できる能力があり、求職の申し込みを実際に行っているにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就けない状態」を指します。
そのため雇用保険の加入者であっても、次のようなケースは「失業」と認められないのです。
・次の就職先が決まっており、転職活動をする予定がない
・自営業を始めた
・会社や団体などの役員に就任した(予定や名義だけの場合も含む)
・家業に専念する/家業や家事の手伝っている
なお、以下の場合は、ハローワークに失業給付金の受給期間延長手続きを行えば、働ける環境が整ったあとで給付を受けられます。
・定年退職して、しばらく働かない場合
・病気、ケガ、妊娠、出産、育児などのためすぐに働けない
・介護などのためにすぐに働けない
②退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12カ月以上ある
賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1カ月として数えます。
③退職日以前の1年間に雇用保険に加入していた月が通算して6カ月以上
「特定受給資格者(※1)」や「特定理由離職者(※2)は、退職日以前の1年間に、雇用保険に加入していた月が通算して6カ月以上あれば失業保険が受給可能です。
※1.特定受給資格者:倒産・リストラ・解雇などの理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職せざるを得なかった人
※2.特定理由離職者:特定受給資格者以外の人で、契約更新を希望したのに更新されずに期間満了となった人や、病気・出産・配偶者の転勤などの理由で失業した人
③ハローワークに求職の申し込みをしている
ハローワークで渡される「受付票」に氏名・住所・経歴および就職の希望条件などを記入して提出し求職の申し込みをしている人。
こうした条件を満たして、はじめて雇用保険受給の手続きをすることができるのです。
3.雇用保険の受給手続き
雇用保険の給付を受けるには、現地ハローワークでの手続きが必要です。
受付票や離職票の提出などの手続きはオンラインや郵送ではできません。
なお、ハローワークならばどこでも良いわけではなく、現住所がある市区町村を管轄するハローワークで手続きを行う必要があります。
【雇用保険を受給するまでの流れ】
1.ハローワークで求職の申し込みを行う
2.7日間(土曜日・日曜日・祝日含む)の待期期間
3.雇用保険説明会に出席
4.待期期間満了の翌日から2カ月間は給付制限があるため給付なし
5.毎月(4週間に一度)の失業認定日に出向き、その後約1週間で給付
4.退職理由による受給開始時期の違い
雇用保険を受給する際に注意しておきたいのは、退職理由によって失業給付金の受給開始時期が異なる点です。
①会社都合による退職:7日間の待期期間満了後から給付
②自己都合による退職:上記待期期間+2カ月間の給付制限期間を経て給付
自己都合での退職の場合、給付開始は手続きから約2カ月後となります。
失業等給付の制度改正が2020年10月1日に実施され、給付制限期間が3カ月から2カ月へ短縮されました。
ただし、2020年9月30日以前に自己都合で退職している場合は、制度改正前の3カ月間の給付制限となります。
また、過去5年間で2回以上、自己都合による退職をしていると、3回目以降は給付制限期間が3カ月間に戻ります。
給付を受けるためには条件を満たして行う必要があります。給付を受けられる条件や必要な準備、手続きの流れなどを確認しておきましょう。