警察庁と警視庁の違い
転職雑記 2022/12/8
日本にある様々な業種は、主管する行政の指導や規制を受けていますが、パチンコ業界も主管する警察庁の指導や風営法で規制を受けています。
そのためパチンコ業界に勤めていると「警察庁」や「警視庁」、「所轄」という言葉を耳にするケースはかなり多いのではないでしょうか。
いずれも警察組織ですが、その違いは把握しておきたいところです。
1.警察庁とは
警察庁は警察行政の中心機関です。1954年(昭和29年)に警察法が改正(通称「新警察法」)されると同時に発足しました。
警察庁は警察制度の企画立案や公安警察の運営、警察行政に関する調整などを行います。
さらに都道府県にある警視庁や県警本部などを管理しています。
この他、警察の上級幹部を養成する「警察大学校」や“科捜研”で知られる「科学警察研究所」、皇族や皇居などを警備する「皇宮警察本部」などの付属機関もあり、これらは一般的にもよく知られている組織です。
2.警視庁とは
警視庁も警察庁も「警察法」を根拠として設置されていますが、発足の経緯は違い、警視庁は明治時代に発足した「東京警視庁」を前身としています。
警視庁は1874年(明治7年)、首都警保のために内務省管轄の東京警視庁が設置されました。
警視庁創立周年はこの日を起点にしています。
その後、1948年(昭和23年)の警察法(通称「旧警察法」)に基づいて、東京都区部(東京23区)のみを管轄とする自治体警察としての警視庁 (旧警察法)が発足。
さらに1954年(昭和29年)に警察法が改正され(通称「新警察法」)、これを根拠として「警察庁」と各道府県警察が創設されました。
このとき警視庁も東京都を管轄する現行の組織へ再編されたのです。歴史的には警視庁の方が古いということになります。
3.都道府県には警察本部
各都道府県には警察本部が置かれています。
例えば、神奈川県警察本部(神奈川県警)や大阪府警察本部(大阪府警)というような警察機関が47都道府県に置かれています。
ただし東京都だけは呼び方が違い、「警視庁」と呼ばれています。東京は他の都道府県と区別するために警視庁となったそうです。
4.所轄署や管区警察局も
さらに、都道府県の各自治体には「警察署」があり、地域の警察行政を担当しています。いわゆる「所轄(署)」(しょかつ)は、各自治体にある警察署を指す言葉です。
また、あまり知られていませんが、警察行政には「管区警察局」という組織もあり、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州の6つがあります。
北海道と東京都には管区警察は置かれておらず、北海道は北海道警察が、東京都は関東管区に属さず警視庁が担当しています。
さらに北海道警察は地域が広大なため、下部組織として独自に「方面本部」(札幌・函館・旭川・釧路・北見)が設置されています。
5.警察庁を管理する組織
警察庁は警察行政のトップですが、実はさらに警察庁を管理する組織が存在します。
それが「国家公安員会」です。この組織は国務大臣が務める委員長1人と5人の委員によって構成されています。
その上は内閣総理大臣になります。
公安委員会制度は、強い執行力を持つ警察行政についてその政治的中立性を確保し、かつ運営の独善化を防ぐという重要な役割があります。
6.警察庁と警視庁は同格?
警察組織のトップには「警察庁長官」が、警視庁のトップには「警視総監」がいます。
どちらも有名な役職ですが、警察組織全体では警察庁長官がトップで、警視総監は第2位の地位になっています。
ちなみに、どちらも定年は62歳ですが、70歳以降の春秋叙勲で警察庁長官も警視総監も「瑞宝重光章」(旧:勲二等瑞宝章 瑞宝章は旭日章に次ぐ勲章で、重光章は瑞宝章の第二位。
天皇臨席のもと内閣総理大臣によって受章者に手交される)を授与されることが慣例となっています。
叙勲の内容から見ると、警察庁と警視庁は並ぶ存在であると言えるようです。