同業他社へ転職するときに気を付けること
パチンコ市場規模・動向 2023/6/13
パチンコ業界では「同業他社」への転職は珍しくありません。培ったキャリアやスキルを最も活かせる転職先として同業他社への転職は自然なことと言えます。
しかし、「同業他社への転職は良いのだろうか?」「コンプライアンス違反かも?」などと不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、同業他社の転職について確認してみましょう。
1.同業他社への転職は問題ないのか
「今までの経験やスキル、知識などを活かしステップアップしたい」と考え、同業他社を検討することはよくあることです。
しかし、新しい職場が前職の企業と商圏が重なっていたりすると、同僚や会社幹部の心情が気になるのは正直なところではないでしょうか。
一方で、『同業他社に転職するのは問題ないのか?』という点については、憲法により「職業選択の自由」が定められているので、「転職すること自体」は基本的に問題ありません。
ただし、社内規定に「競業避止義務」がある場合は注意が必要です。
【職業選択の自由】
日本国憲法第22条第1項
「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」
これは、日本国民が職業を自由に選択できることを保障しているものです。
日本人には誰にも「職業選択の自由」があるため、自分の好きな仕事に就くことができます。
■競業避止義務(競業禁止規定)
ただし、社内規定に「競業避止義務」という項目があった場合、あるいは入社時に競業避止義務規定に関する誓約書にサインしていた時には注意が必要です。
「競業避止義務」とは、「労働法」においては、
①在職中に使用者の不利益になる競業行為(兼職など)を行なうことを禁止すること
②一般の企業において、従業員の退職後に競業他社への就職を禁ずることを定めた、
就業規則や個々の誓約書等に含まれる特約(競業禁止特約ともいう)
となっており、企業が自社の技術や研究、顧客情報などの流出を防止するため、就業規則や誓約書などで不利益になる競業行為(兼職など)や競合他社への就業を制限するものとなっています。特に②ついての内容が盛り込まれているかは要チェックです。
もし違反したことが裁判で認められた場合、
「退職金の減額もしくは不支給」
「損害賠償請求」
「競合行為の差し止め」
などの措置を受ける可能性があります。
労働法以外にも「商法」「会社法」でも使用されており、「職業選択の自由」が法律で保障されているとしても、
この規約に同意していた場合は転職で制約を受ける場合もあります。
2.転職活動で注意すること
①転職活動中
現在勤めている会社に競業他社への転職を禁止する規則があるか否かを確認しておくのがよいでしょう。
就業規則や雇用契約書、入社時の誓約書などに記載されているはずです。
なお、在籍中の転職活動において、面接での質疑応答の際に『在籍企業の機密データ、ノウハウやナレッジ』をあまりにも具体的に述べると、誓約を結んでいた場合には競業避止義務規定(機密保持)に反する恐れがあるので注意しましょう。
②転職先が決まった時
退職することを会社側に伝えた時、次の職場について聞かれる可能性があります。
しかし、転職先が決まっていたとしても伝える義務はなく「退職してから決める」と答えても問題ありません。
なお、競業避止義務については退職時に誓約書や退職合意書を求められるケースもあります。ただし、誓約を必ず結ばなければならないという決まりはないため拒否することも可能です。
③転職後
競業避止義務違反かどうかを判定するのは『商圏、期間、営業秘密』などから考慮されます。
パチンコ店からパチンコ店への転職において、よく聞くのは“商圏における誓約”で、例えば、勤めていた店舗と同商圏内の同業他社への就業に対して制約を受けるケースがあげられます。
一方で【同業内での転職自体が競業避止義務違反か】といえばそれは疑問で、同業他社への転職を一般的・抽象的に禁止するだけでは合理性が認められないケースが多いようです。
競業避止義務が厳しすぎれば業界内での人材の流動性は下がり、業界外流出が加速、ますます人手不足に陥るわけですから、そのあたりはホール各企業も考慮されている印象があります。
3.まとめ
即戦力を期待する採用の場合、当然のことながら『ホール業界での勤務経験者』を求めるわけですが、
自社と求職者の出身企業との関係性なども踏まえ選考を検討するなど「後のトラブルに発展しない配慮やお互いの不利益とならない配慮」がなされるケースも多く、この点は狭い業界ならではの特徴ともいえるかもしれません。