正社員登用制度とは?
転職雑記 2024/5/7
正社員になる方法といえば、正社員募集の求人に応募するのが一般的ですが、それだけではありません。
それ以外にもパートやアルバイトなどから正社員に転換する『正社員登用制度』があります。
しかし、『正社員登用制度』は運用や実態が会社によって様々で、詳細が分かりにくい場合も多いようです。
今回は、あまり知られていない『正社員登用制度』の詳細をお伝えします。
1.『正社員登用制度』の基本
『正社員登用制度』のイメージは、パートやアルバイト、契約社員といった非正規雇用の人が正社員になるのが一般的です。
この制度によって正社員になった事例は数多くあります。
しかし、『正社員登用制度』は法律で定められおらず、各企業が独自に定めているものなのです。
間違いやすいのが、「パートタイム・有期雇用労働法」(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)によって「正社員登用制度」が義務化されていると認識してしまうことです。
この法律は、あくまで非正規労働者を正規労働に転換することを積極的に推進することを義務付けるもので、『正社員登用制度』そのものについての法律ではありません。
そのため、正社員登用制度の運用方法は企業によって様々で、一定の雇用期間を経た希望者について、ほぼ全員が登用される企業もあれば、小論文やSPI、企業のオリジナル問題で選考するなど、様々なパターンがあります。
また、求人情報に「正社員登用制度あり」と掲載されていても登用自体がめったにない企業もあれば、記載されていなくても正社員登用の実績がある企業もあるなど、制度の状況は企業ごとに違いがあるのです。
2.正社員登用制度と無期契約社員
注意したいのが、『正社員登用制度』と『無期契約社員』の混同です。実際、「無期契約社員」を「正社員」と位置付ける企業や、そのように捉える求職者も少なくありません。
『無期契約社員』が登場したのは、2012年の労働契約法改正で「無期転換権」が新設されたことによります。
このルールでは、契約社員などの有期労働契約者の契約が通算5年を超える場合に、会社は希望者に対し無期の労働契約に切り替えなければならないと定めています。
もし「無期契約社員=正社員」であれば、企業は契約5年超える従業員で希望する人すべてを正社員にしなければなりません。
2012年の法改正以降、契約5年直前で契約を終了する『雇止め』という企業事案がクローズアップされ、社会問題になったことも。いまだに訴訟になっている事案も少なくありませんが、現在は沈静化しつつあります。
この沈静化の背景にあるのが、無期契約社員の存在です。
ひと昔前なら「有期(期限あり)」の労働契約を結ぶ人は「契約社員」、無期雇用と言えば正社員のことを指す言葉でした。
しかし、「無期契約社員」は無期の労働契約を前提とするという意味では「正社員」ですが、労働時間や職務内容、待遇などの「労働契約」は有期契約時と変わらないので、実際の正社員とは待遇に差があると言えます。
労働契約法の改正によって定められているのは、「正社員にしなければならない」ではなく、あくまでも「有期だった契約を無期の契約にしなければならない」ということ。
労働時間や職務内容、待遇などの「労働契約の内容」はそのままでも構わないのです。
現在も訴訟になっている事案はありますが、多くの企業では、『雇止め』から『無期契約社員』に切り替えたというのが実情といえるでしょう。
3.正社員登用の状況
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和4年2月)の概況」によれば、正社員以外の労働者から正社員への登用制度がある企業は、全体の75%となっています。
しかし、実際に過去1年で正社員への契約変更を行った企業は44%にとどまっており、登用制度の割合に対して多いとは言えない状況です。
なお、登用実績が最も高かった産業は「医療・福祉(55%)」で、続いて「製造業(47%)」「不動産業・物品賃貸業(47%)」です。「生活関連サービス業、娯楽業」は40%でした。
4.「正社員登用制度あり」の求人で注意すべきこと
アルバイト求人などで正社員登用制度がある事を記載しているケースは増えています。
しかし、条件や基準は企業ごとに違うので、正社員登用制度の利用を考えている場合は、面接時に詳細を聞いてみることをオススメ致します。