リカレント教育とは
転職雑記 2024/7/23
近年、日本でも社会人が仕事を中断して大学院に通ったり、スキルアップのための研修を受けたりする「リカレント教育」が注目され始めています。
コロナ禍によって産業構造が大きく変わる中、新たな知識やスキルを身につけようとする社会人の学び直しは、今後ますます盛んになってくることが予想されます。
今回は、転職にも大いに役立つ「リカレント教育」について確認してみたいと思います。
1.リカレント教育とは
「リカレント教育」とは、「社会人の学び直し」のことを言います。
英語の「リカレント(recurrent)」は「循環」や「繰り返し」「反復」といった意味の言葉ですが、社会人になった後でも必要なタイミングで再び教育を受けることがリカレント教育の趣旨です。
特にコロナ後の産業構造の変化やDXに象徴される新技術の登場は、社会人として働く人々に新たな知識やスキルの習得だけでなく、実務で得た経験を新たな学問や知識で整理し、高度なノウハウとして身に着けるよう促しています。
2.リカレント教育が注目される理由
日本でも国がリカレント教育を後押ししており、厚生労働省では、経済産業省・文部科学省等と連携して、学び直しのきっかけともなるキャリア相談や学びにかかる費用の支援などに取り組んでいます。
また、経済産業省では「巣ごもりDXステップ講座情報ナビ」、文部科学省では「マナパス」(社会人の大学等での学びの応援)を開設しています。
このように注目されるリカレント教育ですが、その大きな理由は3つあります。
・新しい知識やスキルの獲得
現在の社会では、DXによる技術革新が急速に進んでいます。
そうした状況の中で仕事を進めていくには、スキルのアップデートや新しい知識の習得が必要不可欠です。
そして、その実現の手段としてリカレント教育が注目されています。
・人生100年時代の到来
今や寿命を100歳と考え、人生設計を立てなければならない時代が近づいています。
国もそうした意識を捉えており、厚生労働省では「人生100年時代構想会議」を行っていたり、自民党でも「人生100年時代戦略本部」を開設したりするなど、人生100年時代を見据えた経済社会システムを創り上げるための会議を開催しています。
人生が長くなるという事実は必然的に働く期間も長くなるため、時代の変化に対応しながら働くにはリカレント教育が欠かせないと言えるかもしれません。
・労働者不足
企業で人手不足が深刻化する中、労働者不足を補うため、今まで雇用の対象にはなりにくかった人たちも雇わなければならなくなっています。
そうした人たちを戦力とする点でもリカレント教育は注目されています。
新知識やスキルアップを身につけてもらえば、新たなキャリアプランとして雇用の創出を計ることが可能となります。
3.リカレント教育のメリット
リカレント教育の充実は企業にも従業員にも多くのメリットが生まれます。
ここでは従業員側から見た主なメリットを挙げてみたいと思います。
・年収アップ
文部科学省によると、リカレント教育を受けた人たちの年収は、学習開始から1年後には有意な差はみられないものの、2年後では約10万円、3年後では約16万円でそれぞれ有意な差がみられ、長期的には大きな成果となって現れることが分かっています。
・就業確率の上昇
就業確率を高める効果をみると、非就業者が自己啓発を実施すると就職できる確率が10~14%ポイント程度増加することが示唆されています。
年収の場合と異なり1年後から有意な関係がみられることから、現在労働市場に参加していない人は、自己啓発を行うことで就職できる確率をすぐにでも高めることができると考えられます。
同様に転職を考えている人にとっても、リカレント教育によって転職成功の確率が上がることが予想されます。
・スキルや知識の習得
コロナ禍以降、DX化が進んで様々な市場で大きな変化が表れています。
こうした状況の中、従業員は今まで通りの手法では仕事が進まなくなり、常に新しい知識やスキルを吸収することが求められるようになっています。
リカレント教育は、そうした需要に最適な内容を提供する場と言えるでしょう。
4.リカレント教育の課題
リカレント教には多くのメリットがある一方、受ける上で生じる課題もあります。
・本業に支障をきたす
必要性が高まっているリカレント教育ですが、大学での学び直しや新知識の研修など、本業以外に多くの時間が割かれるため、導入に消極的な企業がまだまだ多く存在します。
欧米に比べリカレント教育が遅れているのは、こうしたことが関係していると言われています。
・リカレント教育の環境作りが遅れている
欧米などと比べると、仕事とリカレント教育を両立できるような環境作りも遅れています。
欧米では多くの大学講座やビジネススクールなどでリカレント教育の受講ができますが、日本ではその環境作りが始まったばかりです。
現在の日本社会におけるリカレント教育は現職者の再教育が中心ですが、転職を有利に進めるための選択肢としても重要になっています。
転職活動中の人も現職の人も、リカレント教育に積極的に取り組むことが必要な時代になってきたといえるかもしれませんね。