労働条件通知書の重要性
転職雑記 2024/9/10
転職活動で内定が決定したら企業と採用者は雇用契約を結びます。
その際に必要となるのが『労働条件通知書』で、明示することが義務付けられています。
どのような条件で働くのか内容が示されることで、安心して入社できるはずです。
1.労働条件通知書の概要
労働条件通知書は、労働基準法第15条の「労働条件の明示」や、労働契約法第4条などで定められている「労働契約の内容の理解の促進」を行うための書類です。
企業は採用者に労働条件として、契約期間や勤務時間帯、賃金、休日、解雇や退職に関する内容を文書で示します。
2.労働条件通知書の対象者は?
労働契約法第4条には「期間の定めのある労働契約に関する事項を含む」とあり、労働条件通知書は、常用労働者だけを対象にするのではなく、以下のようなすべての労働者が対象となります。
・有期契約労働者
有期限契約労働者は雇用契約期間が定められており、契約期間が満了すると労働契約も終了する労働者です。
・短時間労働者
短時間労働者は、同じ会社の常用労働者よりも一週間の所定労働時間が短い労働者を言います。
・派遣労働者
人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の指揮命令によって働くのが派遣労働者です。派遣労働者の場合、労働条件通知書は派遣元が作成します。
3.2024年4月の労働条件通知書の追加記載事項
2024年4月1日に改正労働基準法施行規則が施行され、新たに以下の事項が労働条件通知書の記載事項として追加されました。
<全労働者共通>
・就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲
(変更後)「就業の場所および従業すべき業務に関する事項」として、業務をする場所・業務の変更範囲の記載義務が明記されました。
<有期雇用労働者のみ>
・有期労働契約の通算契約期間、または更新回数の上限
(変更後)「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」として、通算契約期間または更新回数の上限を定める場合は、その旨記載する必要があります。
・無期転換の申し込みに関する事項および無期転換後の労働条件
無期転換ルール(労働契約法第18条)が適用される有期労働契約については、無期転換の申し込みに関する事項、および無期転換後の労働条件の記載が新たに義務付けられました。
※無期転換ルール
有期労働契約の期間が通算5年を超えた場合、労働者が使用者に対して無期労働契約への転換を申し込めば、有期労働契約の終了日の翌日から無期労働契約へ転換されます。
4.労働条件通知書を交付しなかった場合
労働者に対して労働条件通知書を交付しないと、労働基準監督署による行政指導や刑事罰の対象とります。
①労働基準監督署による行政指導
是正勧告を受けた企業は、速やかに労働基準法違反の状態を是正し、その経過を労働基準監督署へ報告しなければなりません。
②刑事罰
労働条件通知書の不交付を含む労働条件明示義務違反は、刑事罰の対象とされています。法定刑は「30万円以下の罰金」です( 労働基準法第120条第1号、121条)。
労働条件通知書とは、企業が労働条件を労働者に明示し、労働者が労働契約の内容を理解するための書類です。
すべての労働者が対象となっており、必ず書面に記載して明示しなければならないのです。