「フリーランス新法」について
転職雑記 2024/10/29

2024年11月1日に施行される「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」についてご存じでしょうか。
現在、ビジネスの現場ではフリーランスや個人事業主と取引するケースが増加しています。
本記事では、フリーランス新法の基本内容と実務上の注意点について解説します。
1.フリーランス新法とは
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。
多様な働き方の広がりとともに、フリーランスと発注側企業との間で、報酬の未払い・不当な返品・ハラスメントなどの問題が顕在化しています。
こうしたトラブルを防ぐため、取引条件の明示や報酬支払のルール整備を義務付けたのがこの法律です。
2.「フリーランス」の定義(特定受託事業者)
この法律では、以下のいずれかに該当する者を「特定受託事業者」と定義しています。
・従業員を雇用していない個人事業主
・従業員・役員のいない一人法人
※従業員とは「週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある者」を指し、同居親族のみの使用は該当しません。
3.法律の構成と主要ポイント
フリーランス新法は、大きく次の3つの柱で構成されています
【1】取引の適正化(2つの義務)
取引条件の明示義務:発注者は契約時に、報酬額・支払日・受領日など9項目を、書面または電磁的方法で明示する必要があります(口頭は不可)。
報酬支払の期限設定義務:物品等の受領日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに支払わなければなりません(再委託の場合は例外あり)。
【2】発注者の禁止行為(7つ)
①正当な理由なく成果物の受領を拒否
②合意済みの報酬を一方的に減額
③受領済みの物品を不当返品
④市価より著しく低い報酬設定(買いたたき)
⑤指定商品の強制購入やサービスの強制利用
⑥不当な経済上の利益提供要請
⑦無償での内容変更・やり直しの強制
※1か月以上の継続業務委託がある場合に適用されます。
【3】就業環境整備(4つの義務)
募集情報の的確表示:虚偽や誤解を招く表示は禁止。常に正確・最新の情報に更新が必要。
育児・介護との両立配慮:6か月以上の業務委託がある場合、申出があれば配慮義務あり。
例:業務時間の調整、オンライン対応。
ハラスメント防止体制の整備:研修の実施、相談窓口の設置、外部委託、事実確認などが求められます。
中途解除時の事前予告と理由開示:6か月以上の委託契約を解除・非更新する場合、30日前までに書面等で予告。本人の求めに応じ理由も開示義務あり。
4.実務上のポイント
フリーランスに業務を発注している企業は、契約書や発注書の見直しが必須。
特に「報酬支払期日」と「明示事項の記録」が不十分なままだと違反となる可能性があります。
ハラスメント対策も「社内規定がない」だけでは済まされなくなります。
5.まとめ
フリーランス新法の施行により、発注者には取引の透明性確保と就業環境の整備が求められます。
ビジネスパートナーとしてフリーランスと円滑な関係を築くためにも、制度の理解と準備が不可欠です。












