ジョブ型雇用について
転職雑記 2024/11/26
近年、コロナ禍以降の急激な社会情勢の変化や、「働き方改革」など労働に対する価値観の多様化を背景に、『ジョブ型雇用』への関心が高まっています。
従来型の『メンバーシップ型雇用』と呼ばれる雇用方法から、ジョブ型雇用への切り替えを行う企業は増えつつあるようです。
今回は、転職にも直接影響がある『ジョブ型雇用』について、その概要やメリット・デメリット、メンバーシップ型雇用との違いなどを確認したいと思います。
1.ジョブ型雇用が増えた背景
『ジョブ型雇用』とは、企業にとって必要な職務内容に応じて、職務を実行に必要なるスキル、経験、資格などを持つ人材を採用する雇用方法です。
近年、日本でジョブ型雇用が普及しはじめたきっかけとなったのが、2020年の経団連の提言です。
経団連は従来の日本型雇用システムを『メンバーシップ型雇用』と捉え、そのメリットを活かしながらも、適宜ジョブ型雇用を取り入れていくべきだと提言しています。
この提言が、雇用形態の見直しの機運を高めたと考えられますが、このほかにも働き方改革やコロナ禍による急激なテレワークの普及、ITやDXなどのデジタル人材の不足、グローバル化への対応なども背景になっています。
2.欧米では『ジョブ型雇用』が主流
ジョブ型雇用は、元々、欧米では主流の雇用形態でした。
日本でも注目されるようになり、最近では複数の大手企業がジョブ型雇用を導入するなど、従来の雇用制度の在り方を見直す動きが顕著です。
従業員側も、日本の賃金水準が長く低迷していることなどを背景に、主体的にキャリアを構築していく欧米型の働き方を目指す人が増えつつあります。
3.日本の『メンバーシップ型雇用』とは
日本の企業では、採用後に職務を割り当てる「メンバーシップ型雇用」が主流です。
戦後、大きく落ち込んだ日本経済を立て直すには、大量の人材を一括採用して育成し、長期的に貢献してもらうシステムが必要だったのでしょう。
人材の流動性や専門性がそれほど求められなかったことも、メンバーシップ型雇用の普及につながったといえそうです。
しかし、日本でも専門性の高い職種が増え、コロナ禍でリモートワークが普及したことなどから、近年は大企業を中心にジョブ型雇用の導入が進みつつあります。
4.ジョブ型雇用のメリット
・希望する仕事ができる
ジョブ型雇用の魅力は、自身が望む仕事ができる点です。
従来のメンバーシップ型の場合、転職で入社しても、所属が長くなるにつれて業務の変更や追加、異動で全く違う業務に就く場合があり得るため、大きな負担になる人も少なくありません。
・スキルアップできる
ジョブ型雇用は、自分が得意としている分野の業務に集中して取り組めるため、その分野に対する知識と経験をさらに深めることができます。
逆にいえば、より好条件の雇用契約を結びたい場合には、スキルアップやリスキリングが必要といえます。
・成果が明確になる
職務内容と役割、必要スキルなどが明確ですから、自分が何をすれば評価されるかがわかりやすい点もメリットです。
報酬への反映も明確でモチベーションを高める効果も期待できます。
5.ジョブ型雇用で心得ておくべきこと
・自己研鑽が必要
ジョブ型雇用では、キャリア形成は自己責任です。
企業側が従業員のスキルアップのために研修や教育を実施するケースは少ないので、ジョブ型雇用のスキルアップは、主に自己研鑽によるものとなります。
・会社都合で仕事が無くなることがある
企業の都合で業務や職務がなくなることがあります。そうした場合、不要な人材となり失職する恐れが生じます。
プロジェクト単位でジョブ型雇用が行われるケースでは、プロジェクトが終了して職務が不必要となった場合はどうなるのか、あらかじめ雇用契約を企業側と協議しておく必要があるでしょう。
少子高齢化が進む現在、特に専門職の人材不足は日本の大きな課題になっています。
ジョブ型雇用制度は、従来のメンバーシップ型雇用制度に比べ、技能や専門性の高い人材を採用しやすいという特徴があります。
また、テレワークや裁量労働・フレックスタイム制度といった柔軟な働き方とも親和性が高いため、導入を進める企業は今後も増加していくと考えられます。
今後もジョブ型雇用のニーズは拡大傾向が続いていきそうです。