OFF-JTって何?
転職雑記 2025/1/21
「OFF-JT」とは(Off-the-job-training)の略称です。通常の業務を行うなかで教育を行うOJT(On-the-Job-Training)に対し、通常業務から離れて実施する人材教育がOFF-JTです。
OFF-JTは一般的に対象者を1カ所に集めた対面での集合形式、またはオンライン形式で業務に関する教育を行います。
教育は主に社外の講師など専門家が行い、受講者は理論を学習したり、模擬的な実習やロール・プレイなど実践的な内容を学んだりする場となっています。
1.OJTとの違い
OJTは、通常業務の中で上司や先輩社員が新人社員と一緒に仕事をしながら必要な知識やスキルを教える人材育成方法です。
そのまま実務に活かせる能力が身につく反面、各場面での教育になるため体系的な知識を学びにくい、結果に個人差が出てしまうなどの問題があります。
一方、OFF-JTは専門家が作成したカリキュラムを元に座学を中心に講義形式などで行われます。
このカリキュラムは受講者が基礎知識を体系的に、かつ参加者が均一に身に着けられるように設計されています。
2.OFF-JTが必要な理由
通常業務のブラッシュアップも大切ですが、新たな知識の学習も重要です。
OFF-JTでは、専門性の高い外部講師を招くことで、業務上必要な知識のアップデートを図ることができます。
業務に関する基礎力が身についたり、新しい知識を得られたりするので、そこで学んだことを活かして行動できる社員になる可能性が高まるでしょう。
3.OFF-JTの実情
令和5年度に厚生労働省が行った「能力開発基本調査」の調査では、OFF-JTを実施した事業所は72.6%で、労働者一人当たり平均額は1.5万円でした。
また、正社員に対する今後3年間のOFF-JTに関する支出見込みでは「増加させる予定」が37.5%、「減少させる予定」が1.0%で、増加する予定が大幅に上回る一方、「実施しない予定」も36.9%あり、行わない企業も少なくありません。
OFF-JTを実施した事業所の割合を産業別にみると、正社員については「複合サービス事業」(93.1%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(92.6%)、「金融業,保険業」(91.6%)で高く、「生活関連サービス業,娯楽業」(48.4%)、「教育,学習支援業」(55.8%)では低くなっています。
4.OFF-JTのメリット・デメリット
OFF-JTのメリットは大きく分けて4つあります。
【メリット】
①体系的に学べる
OFF-JTでは業務に必要な知識や考え方などを、専門家から短期間に系統立てて学ぶことができます。
②知識の標準化
必要な基礎知識を一度に教育でき、参加者は新たな知識やスキルをバラつきなく標準化することができます。
③新たな関係性の構築
研修施設などで部署をまたいで集合して学ぶため、横の繋がりによる新たなコミュニケーションが生まれます。
研修後もその関係性が活かされるシーンが多くなることが予想されるのです。
④新たな知識の獲得
研修を通じて、自社では学べない新たな知識を得たり、社外の人脈を広げたりもできます。
【デメリット】
①コストがかかる
お金を払って外部講師を招くため「経済的な負担」がデメリットになることもあります。
実施する前には必要かどうかを十分検討をするべきでしょう。
②業務外の負担増
OFF-JTの場合は通常業務とは別に教育の機会を設けるため。
業務外の時間が増えて本業への影響や残業の増加などの可能性があります。
③学習内容が活かせない
将来的には役立つ知識や考え方の基本は学べたものの、それを実践で活用する機会がなく、コストと時間が無駄になる場合もあります。
④モチベーションの低下
参加者の中には、自分の業務と関係のない場合、学習内容に興味や関心がないとモチベーションの低下につながってしまう場合もあります。
5.まとめ
OFF-JTとは、日常の業務から離れて行う座学などの集合研修などのことです。
現在は集合型研修のほか集合eラーニングの方法も増えています。
基礎知識の強化や新たな知識の獲得など、社員の教育には必要不可欠な手法ではありますが、活用方法を間違ったまま取り入れてしまうと効果が得られず、コストと時間を無駄する可能性があります。
現代は先の予測が困難である「VUCA時代」とされています。
企業が時代の変化に対応できなければ、大きな打撃を受けるだけでなく存続の危機が訪れるかもしれません。
こういった危機に備えるためにも、会社という組織はもちろん、従業員ひとり一人に対してもOFF-JTによる対応力の強化やスキルアップが必要と言えるのです。