転職と住宅ローン
転職雑記 2025/3/11

転職を決める際、気になることの一つが「住宅ローン」です。
近年はキャリアアップなどポジティブなイメージで転職が語られることも増えましたが、住宅ローンの返済中やマイホームの購入を検討している場合には、その影響を気にする方も多いかもしれません。
この記事では、転職が住宅ローンの審査に与える影響や、返済中に転職した場合の手続きなどについて解説します。
1.住宅ローン審査における重要項目
転職による住宅ローン審査への影響を理解するために、まずは金融機関が重視する審査項目を確認しましょう。
国土交通省が令和5年度に実施した「民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、金融機関が審査で考慮する主な項目は以下のとおりです。
・ 完済時年齢(98.5%)
・健康状態(96.6%)
・借入時年齢(96.0%)
・年収(94.0%)
・勤続年数(93.6%)
・返済負担率(92.0%)
この中で転職の影響を特に受けやすいのが「勤続年数」です。
調査によれば、93.6%の金融機関が勤続年数を重視しています。
過去数年間のデータを見ても、この傾向は大きく変わっていません。
金融機関によって基準は異なりますが、「1年以上」を目安とするのが約61.2%と最も多く、「3年以上」を求める金融機関も約14.1%あります。
したがって、住宅ローン申請時においては、少なくとも1年以上、可能であれば3年以上の勤続年数が望ましいといえます。
また、「年収」も審査において重要な要素です。
前出の調査では94.0%の金融機関が年収を重視しており、基準としては以下のとおりです。
・年収100万円以上:29.9%
・年収150万円以上:41.2%
・年収200万円以上:8.8%
・年収250万円以上:2.1%
・その他:21.3%
住宅の価格にもよりますが、最低でも年収100万〜150万円程度は必要とされるケースが多いようです。
住宅ローンは20〜30年といった長期間の返済を前提とするため、将来的な安定収入が見込まれるかどうかも重要視されます。
転職を頻繁に繰り返していると、安定性に欠けると判断される可能性があります。
この観点からは、派遣社員や契約社員など雇用期間が定められている雇用形態も、マイナス評価を受けやすい点に注意が必要です。
2.住宅ローン返済中の転職における注意点
住宅ローンの返済中に転職をする場合には、いくつかの注意点があります。
① 収入の変動による返済計画の見直し
転職によって収入が増減した場合には、返済計画を見直すことが重要です。
収入が増えた場合、返済計画に余裕があれば特に変更は不要ですが、毎月の返済額を抑えたり、完済までの期間を短縮したい場合は、繰上げ返済を検討するのも一つの方法です。
一方、収入が下がった場合には、今後の返済が家計を圧迫する可能性があります。
そのような場合は、早めに金融機関に相談することをおすすめします。
返済条件の見直しや、一部繰延べといった選択肢が検討できることもあります。
② 金融機関への報告
住宅ローン返済中に勤務先が変更となった場合、金融機関に報告が必要なケースがあります。
これは契約時に締結した住宅ローンの契約約款に基づくもので、報告義務が明記されていることが一般的です。
したがって、転職後は契約内容を再確認し、必要に応じて速やかに報告を行いましょう。
3.住宅ローン控除の手続きも忘れずに
年の途中で転職し、その年の年末時点で新しい勤務先に在籍している場合、住宅ローン控除の適用手続きも必要になります。
住宅ローン控除の初年度は原則として「確定申告」によって申請します。
2年目以降は、年末調整で手続きできる場合もあります。
転職があった年については、転職前の勤務先から発行される「源泉徴収票」を転職先に提出する必要があります。
これにより、転職前後の所得が合算され、正しく所得税額が算出される仕組みです。
忘れずに必要書類を準備し、適切な手続きを行いましょう。
4.まとめ
住宅ローンの審査は、複数の項目を総合的に判断して行われます。
勤続年数や年収だけでなく、完済年齢や健康状態、返済負担率なども加味されるため、一概に結果を予測することはできません。
審査に備えるには、自身の返済能力が高いと評価されるよう、可能な限り準備を整えておくことが重要です。
なお、本記事の情報は令和5年度の調査結果等をもとに作成していますが、最新の制度や金融機関の基準は随時変更される可能性があるため、詳細は金融機関や専門家に直接確認するようにしましょう。












