パチスロリール図柄のルーツ
パチンコのユルイ雑学 2022/3/3
パチスロのリールに描かれている様々な図柄。機種モチーフの図柄をはじめ色々な図柄が採用されていますが、どの機種でも採用されている定番図柄があります。
代表的な図柄と言えば「7」や「BAR」ですが、それ以外にも「チェリー」「ベル」「スイカ」などがあります。こうしたパチスロの定番図柄はどこで生まれたのでしょうか?
今回は、勝敗のカギを握る時もあるリール図柄について調べてみました。
1.パチスロは1リールに最大21コマ
パチスロのリールは3つが一般的で、1リールが最大21コマに区切られています。つまり最大21個の図柄が掲載されています。
法的に1リール最大21コマと数が決まっていて、現在の機種も21コマないし20コマの機種が主流です。
そして図柄の種類についても4号機までは最大7種類、5号機以降は最大10種類まで使用することが可能になっています。
現行機での図柄は8、9種類が多いようです。
その図柄の中で、定番の図柄としては「7」「BAR」「チェリー」「ベル」「スイカ」などがよく採用されています。
調べてみると、定番図柄の由来はスロットマシン初期に遡るようです。
2.最初の図柄は6種類!
そもそもパチスロは、元をたどれば海外カジノの「スロットマシン」に行き当たります。
その初期の機械は「リールマシン」と呼ばれ、1890年代初頭からポーカーをモチーフにした機械が登場していました。
しかし、それらはゲーム結果の判定と払い出しを自動的に行うメカニズムを備えておらず、当たりの目が出た場合は係員が景品を手渡しするというものでした。
そして1898年、現在のスロットマシンやパチスロの元になった、「3つのリールを搭載し、かつゲーム結果の判定と賞金の払い出しを自動的に行う」機能を備えた初めてのリールマシン「カード・ベル」が1898年に登場します。
アメリカのチャールズ・フェイが開発したもので、翌年には市場投入機として「リバティ・ベル」がサンフランシスコのサルーン(酒場。遊技施設も併設されていた。サロン)に設置され人気を集めました。
この機械は3つのベルが揃うと50セントを支払うというものでした。
ちなみに、自動支払い機能を備えた最初のマシンは、1893年にフェイの仲間グスタフ・フリードリッヒ・ウィルヘルム・シュルツが開発した「ホースシュースロットマシン」が最初と言われています。
これを発展させたのがフェイの「リバティ・ベル」でした。
「リバティ・ベル」で採用されていた図柄ですが、これは「シンボル」と呼ばれており、「ベル」「星」「ハート」「スペード」「ダイヤモンド」「蹄鉄」の6種類がありました。
「ベル」は自由の鐘、星は州(星条旗の星は各州を表しています。
なお星図柄が六突起のヘキサグラムで穴が開いているため、カウボーイの「拍車」という説も)、「蹄鉄」は馬(蹄鉄は魔除けの意味もあります)、トランプ図柄は「ポーカー」を表しており、いずれもアメリカ文化の象徴ばかりです。
この時点では、まだ現在の定番図柄とは少し違いがありますね。しかし、その後に登場した、当時のスロットマシンメーカー最大手であるミルズ社の「リバティベル・ガム・フルーツ」という機械で採用された図柄が大きな影響を残すことになります。
3.ミルズ社のフルーツ図柄
ギャンブルゲーム全体で見られる「フルーツシンボル」が登場したのは、1910年にミルズ社が開発した「リバティベル・ガム・フルーツ」からと言われています。
この機械で登場したフルーツシンボルは、当初この機械が“ギャンブル機”のイメージを避けるため、機械の横に付けられたガムの自動販売機に因んだものでした。
その時の図柄は「ベル」「ガムの商標」「プラム」「オレンジ」「レモン」「スペアミント」の6種類。
さらに同社は自販機が付かない「オペレーターズベル」を開発し、その際にスペアミントシンボルはチェリーシンボルに差し替えられたのです。
これらフルーツシンボルはその後もリールマシンの標準的なシンボルとして使用され続け、ガムの商標はBARシンボルに変化して現代まで受け継がれています。
さらに1980年代の中頃からはフルーツシンボルの他にもダブルバー(「BAR」を上下に二つ重ねた図柄)、トリプルバー(同じく三つ重ねた図柄)などのバリエーションや「7(セブン)」シンボルなど、より分かり易いシンボルも登場するようになりました。
昔からどの国でもギャンブルへの風当たりは強く、それを避けるためにイメージチェンジした「フルーツ図柄」が、パチスロ定番図柄の由来になったのですね。
なお、パチスロのBAR図柄ですが、現在は機種モチーフのロゴなど長方形の形を生かしてデザイン化されているもが主流になっています。
余談ですが、初期リールマシンを開発したフェイは機械を販売しなかったため(サルーンでの設置は今で言うリースの形)、そのメカニズムの秘密は長い間明らかにされませんでした。
しかし、1905年、あるサルーンに設置されていたリバティ・ベル機が何者かによって盗み出される事件が発生し、その後、フェイの機械とそっくりの「ミルズ・リバティ・ベル」が登場したのです。
フルーツ図柄採用の「リバティベル・ガム・フルーツ」はその後継機にあたります。
パチスロのチェリーやプラムの歴史は、リールマシンの初期から120年も歴史があったのですね。