増加するカスタマーハラスメント
転職雑記 2022/7/20
近年、接客シーンで「カスタマーハラスメント」(所謂、カスハラ)が増えています。これは、消費者や顧客の立場を利用して、企業や従業員などに理不尽な要求を強要することを言います。
特にコロナ禍にあってはマスクをしないで飛行機を下ろされたり、電車内でトラブルを起こしたりなど、全国的なニュースになる事案も増えています。
カスタマー(消費者=顧客)による従業員などへのハラスメント(いやがらせ)は、ここ数年激増して大きな社会問題になっているのです。
1.カスハラの状況と内容
厚生労働省が実施した「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間に顧客などからの著しい迷惑行為の相談があった企業の割合は19.5%。
また同調査の従業員に対する調査では、過去3年間に勤務先で顧客などからの著しい迷惑行為を一度以上経験したと回答した割合は15.0%となっており、カスハラに悩む企業、従業員は少なくありません。
具体的内容については挙げるときりがありませんが、取り上げられている事例を見てみると、
・従業員への暴言、命令、強要
・土下座の強要
・恐喝行為
・大声で怒鳴る
・不当な金銭や物品の要求
・理不尽な長時間対応
などがあります。
ほぼ犯罪行為に近い内容であり、それぞれ刑法の「脅迫罪」「強要罪」「恐喝罪」「威力業務妨害」「不退去罪」などに該当します。
こうしたカスハラに従業員は常に晒されています。特にパチンコ店スタッフはリアルな体験をしている人も多いのではないでしょうか。
カスハラは従業員にかかる負担も大きく、決して軽視してはならない問題といえます。
2.カスハラとクレームの違い
注意したいのは、「カスタマーハラスメント」はしばしば「クレーム」と混合されがちな点です。
カスハラとクレームは何が違うのでしょうか。
クレームは、サービスの向上や品質の改善についての「要求」や「提案」、「依頼」という内容になります。
顧客からの伝え方の問題はありますが、基本的には企業はクレームを通して改善点や反省点を発見できるというある種のメリットがあります。
一方、カスハラは単純な構造と言えます。それは「嫌がらせ」でありほぼ犯罪性があるということです。
カスハラとクレームは実はまったく違うものなのです。
3.カスハラへの基本的な対処
では、カスハラにはどのように対応したら良いのでしょうか。いくつかの基本的な考え方と対処法を挙げてみます。
初期の基本は、通常のクレーム対応となります。それでも収まらずエスカレートした場合、カスハラを意識することになりますが、基本的な対応として
1 ひとりで対応、判断しない
2 書類の作成・署名・捺印は絶対に応じない
3 解決を急がない
4 警察と連携を取る
5 裁判所に訴えることができる
などがあります。
企業や従業員が何とか妥協点を探したとしても、相手の興奮や要求がエスカレートして事態が改善しないことがありますが、カスハラに該当する状況になった場合には、カスハラはれっきとした犯罪だということを念頭に置いて、毅然とした態度で応対することが求められてきます。
しかしながら、実際にカスハラに遭遇すると、気が動転してしまってなかなかうまく対応できないこともあるかもしれません。
事前にカスハラへの対応方法を決めておき、マニュアルや教育プログラムの研修とともに、対応するスタッフはロールプレイングなどで練習しておくのも良いでしょう。
理不尽な要求に対応できるよう、日頃から準備しておくことがポイントになりそうです。