インクルージョンとは?
転職雑記 2023/7/4
ビジネスシーンで良く使われるようになった言葉に「インクルージョン」があります。
インクルージョンは、働く人が多様な属性に関わらず一緒に働いていくために必要な考え方です。これからの企業が成長していくために重要な考え方と言えるでしょう。
1.インクルージョン(inclusion)
日本語で「包括」「包摂」と訳される言葉で、ビジネスシーンにおいては、誰もが「国籍や性別、宗教、障がいなどの有無に関わらず、お互いを認め合って働ける環境」を指します。
もともと1980年代にヨーロッパで生まれた福祉政策上の概念で、やがて教育やビジネスにおいてダイバーシティ(多様性)を支える考え方として広がりました。
2.インクルージョンの登場
ヨーロッパでは1970〜80年代、「ソーシャル・エクスクルージョン」(社会的排除)が社会問題となっていました。
「誰もが受けられるはずのサービスや権利、機会が、差別や社会格差などにより一部の人が受けられない」という問題です。
当時のヨーロッパでは、産業構造の変化や移民の増加などを背景に失業や貧困が問題視されはじめていました。
この問題に対し、誰もが平等に社会参画できる「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」という考え方が登場したのです。
3.ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
ビジネスシーンにおけるインクルージョンとは、誰もが「国籍や性別、宗教、障がいなどの有無に関わらず、お互いを認め合って活躍できる環境」を指しますが、現在では「インクルージョン&ダイバーシティ」としてその概念が広まっています。
「ダイバーシティ」とは「多様性」と訳され、年齢や性別、人種などにかかわらず、様々な人々が社会や組織に参加する機会を得ることを目指そうという考え方です。
そのためダイバーシティは、個々の違いが尊重され能力が発揮できる状態であるインクルージョンの前提条件と言えるのです。
このように不可分な関係性であるインクルージョンとダイバーシティは、近年は「ダイバーシティ&インクルージョン」(D&I)として紹介されることも多くなっています。
日本の経済界を代表する団体である「経団連」(日本経済団体連合会)でも、発行する「企業行動憲章 実行の手引き(第9版)」の中で、『多様な人材の就労・活躍を促進する人事・処遇制度を構築・拡充し、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進する。』としており、大手企業においても「ダイバーシティ&インクルージョン」を進めている状況です。
4.インクルージョン推進のメリット
ビジネスシーンにおいて、インクルージョンの推進で期待できるメリットの代表的なものを挙げてみましょう。
①新規人材の確保
インクルージョンは人材確保の面で大きな優位性を生みます。特に多様な働き方が可能となれば、これまで採用できなかった属性の人たちからも注目を得ることができ、人材を確保しやすくなります。
②生産性の向上
会社における肯定感やエンゲージメント(会社への愛着、信頼)の高まりから従業員の力を発揮しやすくなり、生産性向上が期待できます。
③イノベーションの創出
多様な価値観を持った人が集まることで、これまで存在しなかった価値観が生まれやすくなります。
想定していなかった分野での新規事業のチャンスも生まれるでしょう。
既存事業の成長や新規事業の可能性の両面で、インクルージョンは重要な役割を果たすでしょう。
④離職率の改善
多様な価値観が認められることで、従業員の離職率を改善させる効果も期待できます。
従業員が自分の個性や働き方を認められ「ここで働いていきたい」と思えれば、離職率は自然と低下するでしょう。
⑤企業イメージの向上
多様な人が活躍できる職場環境は、会社のイメージ向上に大きく貢献します。
また、様々な属性を持った多くの人たちから注目を集めることになるでしょう。
5.まとめ
社会福祉の観点から生まれた「インクルージョン」は、社会福祉にととまらず教育やビジネスにまで広がり始めています。
ビジネスでは様々な価値観を会社に取り入れ、生産性の向上やイノベーションを狙うことができます。
ただし、インクルージョンの導入には従来の固定観念を根本から変える必要があります。
大きな組織を変えるには、会社全体での意識改革が必要となるでしょう。