複数企業の面接を並行して受けるのはアリかナシか
転職雑記 2017/4/4
パチンコ業界で転職支援をしていると、転職希望者から「1社ずつ順に面接を受けたい」と言われることがあります。先日、「なぜ、そうしたいと思ったのか」と聞いたら、「一度にたくさんの面接を受けるのは求人企業に対して失礼だから」という答えが返ってきました。
確かに、複数の企業を天秤にかけることに良くないイメージを抱く人もいるでしょう。また、複数の企業から内定をもらった場合は、お断りの連絡を入れなければいけない企業が必ず出てきます。そうした心苦しさや手間を考えれば、「1社ずつ」というやり方も理解できないわけではありません。
しかし、「転職活動」「求人活動」に時間をかけすぎることのデメリットを見ると、「1社ずつ面接を受けること」が転職希望者と求人企業側の両方にとってプラスにならないのが分かるはずです。
1.主任・Aさんのケース
中規模のパチンコホール企業で働いている20代のAさんは、業界歴5年の主任。そんなAさんも弊社のパチンコキャリアに登録する際は「1社ずつ面接を受けていきたい」と考えていた1人です。こちらから紹介した複数の求人企業に優先順位をつけ、実際に上位から1社ずつ面接を受けていくという方法をとりました。その結果は以下の通り。
1社目は1次・2次の面接を含めて2週間ほど時間をかけましたが、求人企業側が主任として求めるレベルに達していないということで不採用。2社目は1次・2次の面接を含めて10日間ほど時間をかけ、主任として内定をもらったものの、Aさんが納得するほどの条件を提示されなかったため、返事を保留。
つまり、約1ヶ月の時間をかけながら、面接を受けたのはたったの2社。しかも、転職先は決まらず、内定をもらった2社目にしても、Aさんの返事をいつまでも待ってくれるわけではありません。
優先順位の高い企業から面接を受けていけば、不採用になったり、返事を保留したりしているうちに、面接に臨む企業はAさんの希望条件からどんどん離れていくことになります。これでは時間をかければかけるほど、不満足な結果になってしまう可能性が高いと言ってもいいでしょう。
2.求人企業は多くの転職希望者と会うことを望む
では逆に、企業側から見た求人活動とはどのようなものなのでしょうか。求人企業は採用人数が多くても少なくても、たくさんの転職希望者と会い、経験やスキル、人間性などを相対評価した上で「ぜひ我が社に欲しい」と感じた人を採用します。
求人活動の際に、「不採用の場合、それを伝えるのがかわいそうだから」という理由で、1人ずつ採用・不採用を見極め、順に転職希望者を面接するということはありません。転職希望者が多ければ多いほど、その中に「光る人材」が含まれている可能性も高くなるため、応募者が多いことは歓迎されるはず。実際、転職アドバイザーは求人内容に合った転職希望者をより多く紹介することが求人企業に喜ばれることだと考えて取り組んでいます。
ですから、転職希望者も心が引かれた企業の面接を同期間にたくさん受けて、相対評価をしてみるべきだと思います。いざ面接を受けてみれば、求人情報や企業ホームページでは分からなかったことも知ることができて、企業に対する印象が大きく変わることもあります。そうして「自分に合った企業」「希望に合致した企業」を見つけることが大事なのです。
3.Aさんのその後……
ちなみに、転職活動期間が2ヶ月目に差しかかったあたりでAさんに前述の話をしたところ、「このままではいけない」と感じたようで、以降は複数企業の面接を並行して受けるようになりました。その結果、1週間で5社の面接を受けて、3社から内定をもらうことができました。
その3社を比べた末、もっとも希望に近い企業に入ることを決めたAさん。もし、以前のように1社ずつ面接を受けていたら、その企業に入るチャンスを逃すことになっていたかもしれません。
4.まとめ
誰かに対して「迷惑をかけたくない」「相手が気分を害する恐れのあることはしたくない」と考えるのはとても良いことです。しかし、Aさんがはじめにしていた配慮は、決して自分のためにも、求人企業のためにもなりません。どうしても「企業側に申し訳ない」という気持ちが消えない人は、今回のコラムを読み返してみて下さい。
あなたという素晴らしい人材が面接のタイミングを逃してしまうことは、あなたを採用する好機を失うという意味で求人企業側にとっても大きな損失なのです。