急いでいるときにこそ、時間をかけるべし
転職雑記 2017/10/5
「急がば回れ」という言葉を知っていますか?
急がば回れとは、急いで物事を成し遂げようとするときは、危険がある近道を行くよりも、安全で確実な遠回りをした方が、かえって得策であるということを表したことわざです。転職活動において、実はこのことわざがとても当てはまります。
先日、転職希望者と面談をして、改めてそれを実感したので、ご紹介したいと思います。
1.勤続年数15年・Uさんのケース
その転職希望者・Uさんは、初めて入社したパチンコホール企業で、約15年間勤めていました。キャリアアップも順調にしていて、自社のパチンコホールの数店舗で店長として働いていました。その後、当時の直属の上司と関係がうまくいかず、退職をしたとのことでした。
長い間働いていたパチンコホール企業を急に退職することになり、「できるだけ早く転職をしたい」と思っていたところに、知人から、人を探しているパチンコホール企業の情報を知ったそうです。Uさんはすぐに、その話を受けて、選考を進めていくことに決めました。すぐに面接が行われて、結果、そのパチンコホール企業に転職することになりました。
しかし、内定が出たと喜んだのもつかの間、Uさんには、とても大変な運命が待ち受けていました。
2.想像以上に厳しい経営状況
Uさんは、転職後に、想像以上の厳しい環境を目の当たりにしたといいます。パチンコホール企業の経営状況が相当厳しく、給料は未払い。経営をしていくための予算が足りなくて、まさに自転車操縦でその日をどう乗り切るかという状況だったそうです。
結果として、Uさんは、1年も経たずに、退職を決意しました。話を聞く限りでは、Uさんは、決して、物事を簡単に諦めるタイプではありません。最初のパチンコホール企業に15年間いたことも、忍耐強さを物語っています。また、私の質問に対する返答もしっかりしており、パチンコ業界での経験やスキルもとても豊富でした。それでも、「このままこのパチンコホール企業で働き続けることは難しい」と判断して、退職を決めたのでした。
では、Uさんの失敗点はどこだったのでしょうか。
それは、「すぐに働きたい」と思うあまり、自分の希望条件や求人内容の詳細の確認を怠ってしまい、複数社の面接を受けるなどもせずに、転職活動を十分には行っていませんでした。Uさんは、焦って目先の転職先に飛びついてしまい、失敗してしまったのです。
2.転職活動を急ぐからこそ
このような話は、実はよくあります。求人企業の実際の状況は入社してみないと分からない部分が多くあり、入社前には自分ではなかなか知り得ないところでもあります。
Uさんの件でいえば、求人企業の実状をもっと調べていれば、転職後に給与が払われない……というパチンコホール企業に入社しようと決断はしなかったかもしれません。Uさんの目的が、「すぐにどこでもいいので入社したい」のならば、入社できる企業があればすぐに転職することは正しいことだったのかもしれません。しかし、Uさんの話を聞いていくうちに、実はそれだけではないことが分かりました。実際は、「できるだけ早く、自分の思いを叶えることができる求人企業に転職すること」が目的だったのです。そうなると、Uさんは、先を急いだあまり、自分自身が本当にしたかったことを叶えることができなかったことになります。
正直なところ、転職活動に正解というものはありません。1社だけ求人企業を受けて、そこに内定をもらった人で、「転職をして本当に良かった」と思っている人もたくさんいます。しかし、そのような転職希望者の人たちに共通するのは、企業情報などを事前に念入りに調べ、準備をしっかりとしていることです。
「急がば回れ」ではないですが、急いでいるからこそ、余計な回り道をすることがないように、求人企業をよく調べたり、事前準備をしっかりと行ったりする必要があるのです。それが、本当の意味で「急ぐこと」につながるのではないでしょうか。その手段として、転職支援サービスを利用するのもひとつの手です。情報収集などに役立ててもらえればと思っています。
3.まとめ
転職活動を早めに終わらせたいと思っている人はたくさんいます。そんな人が失敗しやすいのは、「目の前の転職先に飛びついてしまうこと」です。
しかし、しっかりと求人企業の情報を調べておかないと、大変な目に遭うことがあります。そうならないためには、急いでいるときにこそ、時間をかけて情報を集め、綿密に準備を重ねることです。そうすれば、転職後に「失敗した」と思わずに済むかもしれません。