パチンコ遊技人口の推移、減少要因は何か
パチンコ市場規模・動向 2018/4/4
2017年パチンコ業界は様々な出来事がありましたが、2018年2月いよいよ規則改正が施行されました。パチスロ(6号機)は緩和されましたが今後はたしてどうなっていくのでしょうか。過去から現在にいたるまで遊技人口は下落し続けており、パチンコ、パチスロファンとしては大変心配です・・・過去に遡り少し調べてみました。
1.過去20年の遊技人口と民間平均給与の推移から読み解く
過去20年に遡り、遊技人口と民間平均給与を見たところ2008年から2010年にかけて大きな動きがありました。
※日本遊技関連事業協会及び国税庁データより引用、算出、グラフ化
まず、民間平均給与と遊技人口に焦点をあててみました。民間平均給与の下落とともに遊技人口も下落傾向にあるように感じますが、矛盾するケースも見受けられます。特に2008年~2009年、民間平均給与は大幅に下落していますが、これは恐らく2008年におこった世界的金融危機が発生した事象、いわゆる「リーマン・ショック」の影響かと思います。それにもかかわらず遊技人口は回復していますが、パチンコ業界的にはパチンコ1円貸し営業やパチスロ10円貸し営業といった「低貸し営業」が普及した時期に該当します。ユーザーの懐事情は厳しくなったはずですが「貸し玉料金をバリエーション化、低コスト化」したことで「社会背景に適した娯楽性の提供に繋がり遊技人口の回復に寄与した」という見方はできそうです。しかし2011年に遊技人口は大幅に下落、以降民間平均給与は緩やかに回復傾向にあるものの遊技人口においては下落傾向にあります。一体何があったのでしょうか?
2.遊技人口の増減と売上貸し玉料の増減は反比例する傾向
こちらも過去20年に遡り見てみたところ表②、表③グラフのような動きでした。「卵が先か鶏が先か」即ち「遊技人口が減少したから一人あたりの負担が大きくなった」のか「一人あたりの負担が大きくなったから遊技人口が低下した」のか、いずれにしても売上貸し玉料の増減と遊技人口の増減は反比例する傾向にあります。
※日本遊技関連事業協会より引用、グラフ化
※日本遊技関連事業協会より引用、算出・グラフ化
表②、表③のように、遊技人口と一人あたりの売上貸し玉料をグラフ化してみると、それぞれの増減は「Aが増加するとBが下落する」という反比例する関係性でした。特に「表③」がわかりやすいかと思います。谷間が大きい時期をチェックしたところ、1997年は消費増税5%、業界的には社会的不適合機に該当した70万台の自主撤去。2003年は当時のパチスロ市場メイン機種が検定取り消し処分、AT機申請の厳格化。2008年、2009年ごろといえば先にも述べましたが、リーマン・ショックで民間平均給与が下落、業界的には「低貸し営業」が普及した時期。2011年は「東日本大震災」、業界的には「イベント広告規制」が厳しくなった時期で以降更に厳格化。またスマートホンの普及率(総務省)もチェックしたところ2011年ごろから20代を中心に普及し始めており2013年には全年代の約45%、2人に1人が所有していたということになります。
そして、スマートホン所有者の約6割(2015年時点)がアプリゲームで遊んでいるというデータからは暇つぶしや時間消費の手段がパチンコ、パチスロ遊技からとって代わっている可能性が容易に推測できます。このように社会背景が遊技人口に強く影響を与えていることはもちろん考えられますが、それらと重なるように業界環境も変化している点。たとえれば「弱り目に祟り目」、「泣きっ面に蜂」(要は外的マイナス要素が高まっているところに内的マイナス要素が加わった)で、遊技機性能や広告規制に対する営業施策が社会背景とマッチせず遊技人口のマイナスへ加速的に影響したという見方ができそうです。2011年以降においてユーザーが市場についていけない様子がなんとなく伺えます。
3.遊技人口は下落の一方「パチンコ、パチスロファン」は減っているのか
GoogleのWEB検索におけるトレンドを調べてみたところ、遊技人口が下落する一方でパチンコ、パチスロの検索トレンドは高まっていました。
2012年ごろからパチンコ、パチスロのビッグワードにおける検索トレンドは高まっていました。スマートホンの普及により利便性が高まったからという見方はできますが、少なくとも関心度は高まっていたといえるのではないでしょうか。
ただし、パチスロは上下しながらもジワジワと右肩下がりしているのがなんとなくわかるかと思います。ちょっと気になったので、パチスロにおける掛け合わせキーワードも調べたところ以下のようなトレンド推移でした。
パチスロ動画が伸びていました。一方で攻略とか解析といった、遊技に直結するような掛け合わせワードはみるみる下落していることがわかります。ファン、ユーザーの情報収集手法、メディア選択の変化が何となく見える気がしませんか。打てないから動画見て我慢しているという方もいるのかもしれませんよね。パチンコホールの広告戦略、ブランディングに動画を組み込むというのは一手かもしれないですね。
4.まとめ
○遊技人口の増減は一人あたりの売上貸し玉料の増減と反比例する関係性
○遊技人口の増減は社会背景と業界環境に強く影響している
○遊技人口の増減は社会背景に対して業界施策がマッチしないとマイナス傾向になる
○WEBにおいて「パチンコ」「パチスロ」の検索トレンドは上昇傾向
○WEBにおいて「パチスロ動画」の検索トレンドは圧倒的に高まっている
パチンコ、パチスロファンはまだまだいるはず
パチンコ業界のどの公開データでも遊技人口は減っていました。体感としてはホール現場にいる皆様が一番感じられているのではないでしょうか。ただ、WEB検索のトレンドでは上昇傾向にあるなど、ファンはまだまだいるものと感じます。パチンコ、パチスロファンの一人として申し上げれば「ホールで遊びたくても遊べない」というのが実情です。規制が厳しくなるほど投資額は増す一方、リターンは少なくリスクばかりが高まる。だから、ここ最近休みの日はゲームセンターでパチンコ、パチスロです。景品交換できないことは割り切って遊んでいます。朝からゲームセンターに長蛇の列・・・「パチンコ、パチスロは好きだけどホールに打ちにいかない」という人は結構いるのだと感じた次第です。
最後は愚痴っぽくなってしまいましたが、パチンコ、パチスロが「遊べる環境」になれば私はまた足を運ぶ予定です。パチンコ業界を取り巻く環境は大きく変わり、市場規模は縮小していますが一致団結した取り組みで再度パチンコ業界が盛り上がることを願っています。