会社の方向性に共感できなくなった転職
転職雑記 2018/5/29
「会社の方向性に共感できない」「職位がいつまでたっても変わらず、なかなか店長に昇進できない」「入社してから何年もたったのに給与が上がらない」「職場の人間関係にストレスを感じている」……など、転職を考えるきっかけというのは人それぞれです。そんな中でも転職理由として特に多いのが、「会社の考え方についていけなくなってしまった」というものです。
最初は「この会社の考えに同意できる」と思っていても、あるときを境に会社の方向性が大きく変わってしまうことがあります。入社するときには合致していた理念やビジョンと自分とが、月日の流れとともに乖離してしまうのです。
このようなケースは往々にしてあることであり、自分の意志とは関わらず起こることでもあります。今回は、このように「会社との考え方の違い」で転職活動を始めた転職希望者の例を見ていきたいと思います。
1.経営方針の転換
以前転職相談に来た転職希望者であるAさんは、今のパチンコホール企業に入社して 2年になり、店長を任されていました。無理な設備投資はせず、薄利多売をモットーに、地域のお客様——特に年配層の方々を大切にする営業方針を貫いていました。社長は、社員のことを家族のように大切にしており、社員は一丸となって、地域社会との共生に尽力していました。
しかし、この度経営者が変わり、会社のビジョンが一変しました。今後を見すえて、地元住民だけではなく広範囲からの集客を狙う戦略を打ち出すようになり、アルバイトを大量に起用して組織の合理化を図るようになったのです。その大きな変革にともない、それまで会社を支えてきた社員の多くが去っていくことになりました。Aさんは店長として働き続けることにしましたが、営業方針の転換を余儀なくされてしまったのです。Aさんはこれにとても大きなショックを受けて、転職を考え始めたとのことです。
2.転職に悩んだら
Aさんが今のパチンコホール企業へ入社を決めた理由は、まぎれもなく会社のビジョンや方向性に共感することができたからです。これまでそこでいろいろな経験を積み、スキルを身につけて順調にキャリアを重ねてきたパチンコホール企業を、経営者が変わったからといって本当に辞めていいのだろうかとAさん自身、相当悩んでいました。
もちろん、このような問いに正しい答えはありません。しかし、私はこれまでさまざまな転職希望者を支援する中で、このようなケースは何度も見てきました。その経験上から意見を述べさせていただくと、「転職した方がいい」と思っています。
3.入社の動機を見つめ直してみる
パチンコ業界が日々めまぐるしく流動しています。店舗の営業においてだけ見てみても、低玉貸営業の普及や各台計数の導入など、ここ数年で非常に大きな変化が起きています。しかし、そのような変化しやすい業界だからこそ、会社の経営理念やビジョンなどはぶれてはいけません。一貫性を持って経営していかないことには、社員たちは戸惑い、振り落とされてしまいます。
入社の動機は転職の動機にもつながります。つまり、「◯◯が良くて入社した」という場合、「◯◯が変わってしまったから転職する」ということになってしまいかねないのです。Aさんは、経営理念やビジョンに共感して入社をしています。しかし、経営者自体が変わってしまい、当時の状況とは根本的に異なる状態になってしまったことから、今後元に戻るという期待はあまりできないでしょう。
もし今回、転職を思い留まったとしても、のちのち「やっぱりこの経営方針ではついていけない」となってしまう可能性は大いにあるでしょう。店長としてのキャリアと転職市場を考えると、長く続けても良い方向には進まないことも考えられます。最終的にAさんは転職することを決めて、経営理念やビジョンにしっかりと共感できるパチンコホール企業に転職していきました。役職は店長からスタートというわけではないですが、店長候補としての採用となり、今は店長を目指して頑張っています。
4.まとめ
転職理由のひとつとして「会社の方向性に共感できなくなった」というものがあります。経営者が変わってしまったり、他社と吸収合併してしまったりして、それまでの方向性とはガラッと変わってしまうことがあるのです。それをきっかけに転職を考え始めた場合、その先の経営方針に戻ることはほとんどないならば、思い切って転職に踏み切ってしまった方がいいこともあります。今一度、働いている会社の入社動機を振り返り、見つめ直してみるようにしましょう。