「パチンコ業界の入替自粛」2019年はどうなるか
パチンコ市場規模・動向 2019/3/19
2月半ば、とある遊技業組合で新台入替および広告の自粛が決議された。
理由は「天皇陛下即退位 及び 依存症啓発週間」のためだ。
※依存症啓発週間は、昨年可決されたギャンブル等依存症対策基本法にともなうもの
ここで言う「自粛」とは、新機種や中古台などの機種入替と、店舗や機械などの広告宣伝を自粛するというもの。現時点(3月初旬)では、この自粛が全国的なものになるのか不明だが、前例からするとその可能性は多いに考えられる。
近年の主な「自粛」を挙げてみると…
2008年 「北海道洞爺湖サミット」(第34回主要国首脳会議)開催に伴う遊技機入替自粛(全国)
2010年 「APEC首脳会議」開催に伴う遊技機入替自粛(全国)
2016年 「伊勢志摩サミット」開催に伴う遊技機入替自粛(全国)
2018年 「広告宣伝」に関する自主規制
2019年 「天皇陛下即退位 及び 依存症啓発週間」に伴う遊技機入れ替えおよび広告自粛(K県)
「ラグビーワールドカップ2019」※自粛予想
2020年 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」※自粛予想
全国的な遊技機の入替自粛は、上記以前にも2000年の「九州・沖縄サミット」、2002年の「日韓ワールドカップ」(2002 FIFAワールドカップ)開催時にも実施されおり、地域単位では皇族の出席行事前に県警などの要望を受けて入替自粛を行うケースもあった。
この他にも、地域以外では知られていない自粛はまだまだある。
2015年 「第30回国民文化祭・かごしま2015」開催に伴う遊技機入替自粛(鹿児島県)
2018年 「第69回全国植樹祭ふくしま2018」開催に伴う遊技機入替自粛(福島県)
2019年 「国民体育大会」「全国障害者スポーツ大会」開催に伴う遊技機入替自粛(福井県)
「えひめ国体」「G20大阪サミット」「労働雇用大臣会合」開催に伴う遊技機入替自粛案を発表(愛媛県)
「国民体育大会(国体)」は、その開催中は地域ホールでは自粛になる場合が多い。しかも国体は本大会と冬季大会という2つを都道府県の持ち回りで開催しているので、毎年全国のどこかで自粛が発生することになる。この他にも、皇族が出席する行事や地域の公式行事に協力するため、多くの自粛が存在しているのだ。
しかし、冷静に考えるとその自粛理由は微妙だ。
通常の企業活動において、新機種入替だけとはいえ、これほど制限する(される)業界は少ないだろう。これはひとえに「バッシング」を受けやすい業界だからに他ならない。
今風に書けば極めて「炎上」しやすいためだ。「ギャンブルだから」、「不要不急だから」、「電気をたくさん使っているから」などなど、厳しい眼を向けられる業界だけに常に外からの視線を意識して活動しなければならない。そして、自粛で協力することで「業界イメージの向上」を図るとういわけである。
ただ、サミットにしろ地域の行事にしろ、「警察の業務に支障が出る云々は警察の問題であって、パチンコ業界の問題ではないのでは?」という意見もある。
「治安維持や警備は警察行政の根幹なのだから、警察が責任を持って遂行すべきではないか」ということだ。
各パチンコホール企業の理念や何を重視するかという価値観、経営状況によって受け取り方や判断は様変わりするわけだが、各規制やIRリゾートの進捗、依存症対応など厳しい環境下にあるパチンコ業界だけに、防衛本能が働くのは当然だろう。
しかし、今年や来年の自粛から受けるダメージはこれまでよりも大きくマイナスになりそうなのだ。何でも「自粛」ではなく、そろそろ是々非々の行動を考えても良いのかもしれない。