新機種の「型式名」と「販売名」後編
パチンコのユルイ雑学 2019/12/12
新機種の「型式名」と「販売名」について、もう少しだけお伝えします。
前回「型式名にはメーカーの思惑が見え隠れしています」と書きましたが、どんな所に思惑が見えるのかというと…
①同じ機種名で末尾の数字やアルファベットの違う機種が複数適合(合格)している
②新機種なのに、末尾の数字やアルファベットが1やAではない
③複数機種が適合しているのに、発売は1機種だけだった
のような所です。。
まず①ですが、これは前回でもご紹介した通り、メーカーが保通協(一般財団法人 保安通信協会)に新機種を持ち込む時に「同一機種名で複数機種を持ち込む」場合があり、便宜上、それぞれ機種名の末尾に数字やアルファベットを付加するということがまず挙げられます。また、一度試験を落ちた機種は同じ名称では持ち込めないために、再度申請しやすいように末尾変更で済ませる…等々の結果です。
しかし、これは敢えていえば「表の理由」。この複数機種の持ち込みには、時に違う意味を持つ場合があります。
それは、スペックに幅を持たせるため。
「スペックの幅」とは、もっとはっきり書くと「複数の出玉性能(出玉率)」というこです。例えば「○○パチンコA」なら出玉率が機械規則の上限ギリギリ、あるいは時には上限をオーバーするかも……的な機種。「○○パチンコB」なら上限に触れない位、そして「○○パチンコC」なら上限以下になる…のようよなイメージです。
これを理解するには保通協の試験内容を知らなければなりません。全部を知る必要はありませんが、その中で、機種にとって最も重要な「実射試験」というものがあります。
<ぱちんこ>(2018年2月より施行)
短時間 1時間 出玉率下限33% 出玉率上限220%
中時間 4時間 出玉率下限40% 出玉率上限150%
長時間 10時間 出玉率下限 50% 出玉率上限133%
出玉試験には短時間試験、中時間試験、長時間試験の3種類があり、いずれも出玉率の上限を超えると不適合になります。
これに対し「○○パチンコA、B、C」を当てはめると、予想される結果は、「○○パチンコAはその上限を突破してしまう可能性が高く不適合の可能性が高い。一方「○○パチンコB」や「C」なら多少出玉が“上振れ”したとしても上限を下回るので合格の可能性が高い…のうような内容が予想されるのです。
なお、BCはAがダメな時の保険的な機種でもあります。
そしてメーカーは「A」のような機種で「チャレンジ」する場合があるのです。
実射試験も「出る」時もあれば「出ない」時もあるのはホールで打つ事と変わりはありません。もし「A」が試験中に「下振れ」した場合、出玉率の上限を超える性能がありながら「適合」する場合があるということです。
ちなみに、2018年2月以前はの出玉試験の内容は…
<ぱちんこ旧基準>
短時間 1時間 出玉率下限なし 出玉率上限300%
長時間 10時間 出玉率下限50% 出玉率上限200%
でした…。
中間の中時間試験が増え、メーカーによる「チャレンジ」の余地も少なくなりました。しかし、いつでもメーカーは「チャンレジ」していると思われます。
もちろん保通協もその辺りは心得ているようで、チャンレンジスペックが通る確率は低くくなっています。しかし、これまでも強い出玉性能で大ヒットした機種の多くが、そうしたチャレンジタイプの機種が運よく試験をクリアした場合が多いのです。
こうした機種が②③にあたります。
その後、強い出玉性能を発揮した機種に対し、警察は慌ててそのタイプの機種が次は出せないように機械内規の変更をする、というのがパターン。
ちなみにABC全部が合格した場合、一番メーカーが売りたい「A」だけが発売になり、他2機種は「お蔵入り」(発売しない)か、「兄弟機」としてホール営業の都合に合わせた機種として発売する場合もあります。
また、「A」で保通協の“瀬踏み”(様子をうかがう)し、本命は「B」ないし「C」などというパターンもあるので、なかなか奥が深いものがります。
保通協の型式試験の結果は簡単に見ることができるので、皆さんもぜひ見てみてください。
想像が働いてしまう機種名を発見することができるかもしれませんよ。