新機種の「型式名」と「販売名」前編
パチンコのユルイ雑学 2019/12/10
業界人なら多くの方がご存知のように、パチンコ、パチスロの新機種は、通称「保通協」(一般財団法人 保安通信協会)に各メーカーが新機種を持ち込み「型式試験」を受け、適合(合格)して初めて販売できるようになります。厳密にはその後も都道府県公安委員会の検定を受けたり、所轄の検査などがあるものの、業界的には保通協通過=「販売可能」という認識になります。
なお、型式試験を通過しても販売されない機種(お蔵入り)もありますが、それはまた別の話。
さて、新機種における「型式名」と「販売名」ですが、その保通協へ申請する時に付けられる機種名が「型式名」(かたしきめい。「けいしきめい」とは言いません)です。
これが新機種における「正式名称」となります。
では「販売名」とは何? となりますが、これは発売が決まってメーカーから発表される際、あるいはホールに導入される時の便宜上の機種名になります。
機種名におけるこの2つの名称ですが、こうした背景を知らないと「2機種ある?」と勘違いする人もいるようです。さすがに業界人なら間違えないかもしれませんが、一般ファンだと混乱する場合もあるようです。
例えば、ホールによっては新機種を告知する時にうっかり「型式名」をそのまま告知したり、「ウワサの新機種」とか「フライング新機種情報」的な情報サイトでは、勢い新機種は「型式名」となり、実際に発表、発売された時には、一般ファンの感覚ではいきなり「販売名」を目にすることになるのです。
平成も半ば以降はその「型式名」と「販売名」の“差”は少なくなりましたが、2000年代前半までは結構な差がありました。特に顕著な例はパチスロに多く、有名なのが大都技研の「押忍!番長」。押忍番は「販売名」で、型式名は「デンセツノオトコD」です。なんとなくノリは同じかなと感じますが、名称は全く違いますね。さらに銀座から発売された初代「爆走鬼浜愚連隊」(販売名)は「GNZ02」、ロデオ「俺の空」(販売名)に至っては「R-F」ですから、なんだかもう分かりません。
最新機種(11月初旬現在)を眺めてみると、ビスティの「P新世紀エヴァンゲリオン~シト、新生~」(販売名)は「P新世紀エヴァンゲリヲン シト、新生G」(型式名)、メーシーの「Pバジリスク~甲賀忍法帖~2」(販売名)は「Pバジリスク2MA」(型式名)などがあります。
ここ4カ月の新機種の型式名を一部見てみると…。
Pほのかとクールポコと、ときどき武藤敬司Y3F 豊丸産業
P貞子vs伽椰子 頂上決戦FUZ 藤商事
Pバジリスク2MA メーシー
P13日の金曜日ZB ソフィア
Sトータル・イクリプス2R SANKYO
Sルパン三世イタリアの夢H5 平和
………などなど。
ちなみに、保通協への新機種の持ち込みは一機種ということは少なく、また、一度保通協審査で不合格になると、再提出には機種名を変更しなければならないので、現在では機種名の末尾に数字やアルファベットが付加されている機種がほとんどです。
もしあなたがホールにお勤めなら、店長さんクラスの話の中に新機種の「型式名」がチラホラと混じる場合あるので、実際にホール導入時にその差を実感することがあるかもしれません。ホールの実務は遊技機の入れ替えや変更申請など全て「型式名」で行うので当然そうなるのです。
さらに、この型式名にはメーカーの思惑が見え隠れしています。前述の「P新世紀エヴァンゲリオン~シト、新生~」ですが、保通協適合時の型式名は「P新世紀エヴァンゲリヲン シト、新生G」です。しかし、実はそれ以前に型式名「P新世紀エヴァンゲリヲン シト、新生S」が別に適合しています。「G」と「S」の差とは一体? またその理由は? 発売はどうなるのか? などなど疑問が出てきますが、それは次回に