パチンコ店の仕事はキツイのか?
パチンコ店の仕事・スキル 2020/2/6
パチンコ店の仕事って、世間的にはあまりイメージ良くないですよね。キツイとか汚いとか・・・。
いうなれば労務環境や仕事内容に関することをよく耳にしますが、そのイメージの実態は時代の移り変わりと共に変化してきたと感じています。
はじめに
私が子供のころ見たパチンコ店の風景。
昭和から平成初期にかけて、パチンコ店は世間が抱くイメージ通りだったかもしれません。風貌的に怖いと感じる人は結構いました・・・。
実際に話したりすると気さくな人は多かったですが、今思えば「お客様をもてなす姿、格好」とは程遠かったかと思います。
また、現在ではまず見かけませんが、営業時間中にホールスタッフがお客様のいる店内で喫煙している姿は「日常」のことで見慣れた風景でした。それが「普通」だったのだと思います。
時が過ぎ、私がパチンコ店で仕事をするようになった平成中期ごろには営業時間中、お客様のいる店内で喫煙するスタッフは流石に見たことはありません。
店舗によってコンセプト、スタッフの身なり、対応の仕方に大きく「差」が出始めていました。いうなれば時代背景を察知し変化していく企業とそうでない企業。
全国的なチェーン展開や等価営業が主流になる頃には、学生の新卒採用も活発化していき、その動きは中小にも波及する。「企業型経営」に変革していこうとするパチンコ企業と、「家業的経営」のままのパチンコ企業とで2分されるようになり、業界環境も相まって2極化が進みました。
変わろうとする企業と変わらない企業の大きな違いは、経営目的とヒトに対する価値観およびその方向性にあったのだと思います。
パチンコ店の仕事はキツイのか|働く環境編
私は3社のパチンコ企業で正社員として勤務しましたが、中には「ホール現場のスタッフを人としてみていない」というところもありました。経営層の本社勤務社員に対する扱いと店舗勤務社員に対する扱いの違いにビックリしたこともあります。
現在、存続するパチンコ企業のすべてが「働く環境が良い」とはいえませんが、業界の全体感でいえば、一昔前よりかなり改善されたとは思っています。
時代の移り変わり、業界を取り巻く環境変化と共に「変われないパチンコ企業、従業員を大切にしないパチンコ企業は淘汰されてきた」というのが現実でしょう。人材不足で出店を断念する、売却するというケースは実際にあります。
参考までに私が勤めていたパチンコ企業A社を例にすると・・・
≪約15年前の労務環境など≫
・公休は月4日~5日(週1回) 季節休暇などはなし 有給休暇は取ったことない
・毎日数時間の残業は普通でとにかく拘束時間が長い
・残業手当がつかない
・役職者(主任~店長クラス)は開店前から閉店後までほぼぶっ通しの勤務
・役職者は休日出勤も普通にある(主任の実際の休みは月2日程度)
・人事制度などはなく店長が昇進を決める
いやはや、本当にキツイかった・・・・
何人もの社員が、この過酷な労務環境に耐え切れず辞めていきましたが、私も主任昇格後、2年で限界を感じ、別のパチンコ企業に転職しています。
ちなみに、その時の店長は、私が在籍した3年間で休んだのは忌引きの数日のみ。当たり前のように毎日出社してましたが、愚痴を聞いたこともなく、まさに鉄人と呼ぶに相応しい方でした。
≪現在の労務環境など≫
・完全週休二日制 季節休暇あり 有給休暇もしっかり取れる
・福利厚生が充実 育児休暇、退職金など 各種制度が整備されている
・完全交代勤務制(実働8.0時間)
・サービス残業させない
・残業するには申請が必要(残業したら手当はしっかりつく)
・公正な人事制度が整備されており、A社が展開する別分野へのキャリアチェンジも可能
信じられないくらいの変わりようでした。
新卒採用を行うようになってから会社がどんどん変わり、長時間労働や休みが取れないといったことが原因の離職ケースは激減したようです。
働き方、環境を整備すると同時に、各階層において求めるスキルや評価指標も明らかになり、スキル習得度、目標達成度、業績貢献度など、フィードバック、フォローされる。モチベーションが高いスタッフほど順当にキャリアアップしているようです。
しかし、その反面、仕事に対するモチベーションが低い人、成長意思が弱い人は、この環境が苦痛に感じるらしく、ついていけずに離職するケースは一定数あるとか。
パチンコ店の仕事はキツイのか|仕事内容編
仕事の項目的には今も昔も大きな違いはないと思います。
≪ホール一般社員の例≫
・接客対応
(サービス案内、商品案内、玉箱交換、出玉運搬、機械トラブル対応、対人クレーム対応・・・など)
・店舗内外のクリンネス
・遊技台のクリンネス、メンテナンス
・店内設備のクリンネス、メンテナンス
・アルバイトスタッフのシフト調整管理
など
ホール巡回・接客対応が軸で、クリンネス、メンテナンスといった作業が主。勤務時間中はホール内を歩き回る立ち仕事ですから、それなりに体力は必要ですが、作業自体は複雑なことは少なく、誰にでもできる仕事といえます。
ただ、昔と違う点は、「パチンコは接客業である」、「パチンコはサービス業である」という意識と行動が強烈に求められることです。
マナー研修や女性スタッフのメイクアップ研修など、お客様を迎えるうえでの容姿や所作のレベルアップを図るために、費用を投じるホール企業も増えています。
お客様に呼ばれたら1秒でも早く対応するのはあたり前で、お客様の目線や仕草、遊技状況などから、呼ばれる前に察知して対応できるレベルを理想形とするところは多いです。
また、基本的なことですが、お客様はもちろん、店舗内のスタッフともかなりの頻度でコミュニケーションが発生します。
特に営業時間中は瞬時の判断、対応が求められるわけで、各スタッフ・上司への報連相はめまぐるしく行き交いますから、
コミュニケーションが苦手という人にはかなりキツイかもしれません。
また、ホール内の作業を滞りなくこなせればよし、とはされず、企業や店舗によって「行動指針」や「求めるパフォーマンス」が明確になっています。この点は中堅・大手パチンコ企業はかなり整備されているのではないでしょうか。
あたり前ですが常に考えて、行動、判断できなければなりません。マネジメントスキル、ビジネススキルを一般社員のうちから学び、ホール現場で実践していきます。
これらについては、企業によって研修制度や教育制度が整備されているところも多く、個人の行動計画、目標管理などを取り入れ成長をサポートしているところもあります。
~パチンコ店の仕事あるある・・・「音」に関すること~
台数や稼働状況(客付き)にもよりますが、遊技機の演出、大当たりBGMなど、確かにかなりの音量です。今も昔も難聴になるリスクがあることに変わりはありません。
特に現代のパチンコ、パチスロにとって「音」は遊技機特性ともいえ、魅力を引き出す味付けのひとつでもありますから、各遊技機で音量調整が可能とはいえ、お客様から希望がない限り、あえて小さくすることはほとんどありません。
どのような仕事でも、職業特徴はポジティブなものもあればネガティブなものもあるわけで「取捨選択」するしかない。
「音がうるさい、うるさくない」ということが、あなたの職業選択において重視することなのであれば、パチンコ店で無理に仕事をする必要はないと思います。例えば、「ライブハウスは音がうるさい、だからこの仕事はしない」、「建設現場は音がうるさい、だからこの仕事はしない」ということと同じで、人それぞれです。
~パチンコ店の仕事あるある・・・「におい」に関すること~
パチンコ店は現代の禁煙社会にあって、気軽に喫煙できる数少ないスポットなので、遊技せずとも来店する喫煙者がいるくらいです。
たばこの煙やにおいは言わずもがな・・・。店内をどんなに消臭・ケアしても、非喫煙者からすれば間違いなく「たばこくさい」と感じます。これもパチンコ店の仕事のネガティブな職業特徴といえるでしょう。
副流煙で健康に害を及ぼす懸念があることから、パチンコ店の仕事を敬遠する人もいると思います。2020年4月よりパチンコ店内は禁煙(厳密には喫煙所の設置はある)になるので、いずれ解消されていくかとは思いますが、長年の喫煙で染みついたものですから、相応に時間はかかると思います。
一方で、このようなネガティブな特徴に対し、非喫煙者に手当をつけたり、禁煙する人に手当をつけるなど、従業員の健康面に気を使ったり、社会情勢に歩み寄る努力も見受けられるようになりました。
また、「喫煙者を採用しない」パチンコ企業もありますが、これは、「におい」に対する施策というよりも「仕事の生産性を意識した労務環境づくり」という意味合いが強いです。
~パチンコ店の仕事あるある・・・「腰を痛める」に関すること~
パチンコ=出玉運び・・・出玉運びで腰を痛める。という、イメージが先行しがちです。しかし、イメージではなく実際に、「重いものを運ぶ=腰を痛めるリスク」はそもそもあるのです。
パチンコ店はもちろん、引っ越し、土木、建設、ドライバーや事務員とか座りっぱなしの仕事も腰を痛めるリスクはあります。
パチンコ店でいえば、近年はパーソナルシステムという各台で出玉を計測するシステムを導入している店舗が増えています。この場合、出玉を運ぶ必要はないので、腰を痛める心配はないでしょう。
また、仮に、玉箱の店舗だったとしても運び方を工夫すれば腰を痛めることはないはずです。
実際、私はホール現場で10年近く、お客様の出玉運びをしましたが、「腹にのせる感覚」で一度も腰を痛めたことはありません。それと出玉を運ぶ台車があるのであれば、無理せず台車で運べば腰を痛めることもありません。
仕事の仕方、工夫で回避できるリスクだと思います。
まとめ
・労務環境はよくなってきている
・接客業、サービス業であるという意識が高い
・頻繁にコミュニケーションが発生する
・ビジネススキル、マネジメントスキルを習得する必要がある
・研修制度や教育制度、評価制度が整っている
・「音」や「におい」は避けようのないネガティブな職業特徴
パチンコ店の仕事を昔と今で表現するとしたら、昔が「作業をこなす」で、今は「業務を遂行する」という表現が個人的にはしっくりきます。
非常に感覚的ですが、一昔前は、いわれたことや決められたことをただやっているだけでも高い給与をもらえた。
極端にいえば、長時間勤務が美徳とされ、過酷な労務環境に耐えられる忍耐力や精神力がそれなりにあれば高く評価された。体力・精神の限界はありますが、このような環境をキツイと感じる人もいれば、そうでもないと感じる人もいるわけです。
私は「成長を求められることなく、劣悪な環境に多少耐えるだけで高い給与がもらえるのであれば、こんなに楽なことはない」と、正直、思っていました。まぁ、長くは続かず、苦しくなり辞めましたが。
近年は人事制度や評価制度が充実しているパチンコ企業は増えており、目標の達成度合い、習得スキルなどに応じてキャリアや給与は決まっていきます。
要は「課したミッションを遂行できなければ得られるキャリアや給与は大きく変わらない」ということです。
これは業種問わず、同じことが言えるかと思います。
キツイと感じるかどうかは、その「業種特性」と「企業体質」に影響されますが、最終的には個人の価値観、状況、仕事の目的、目指すキャリアによって大きく変わってくるのです。