ネットキャッシュでみるパチンコ業界関連企業
パチンコ市場規模・動向 2022/3/29
企業財務の強さや安全性を示す指標に「ネットキャッシュ」があります。
現預金と短期保有の有価証券の合計額から、有利子負債と前受金を差し引いて算出しますが、「東洋経済オンライン」ではこのほど、約3,700社以上の上場企業のネットキャッシュを割り出し、上位500社を発表しました。
パチンコ業界企業もランクインしているのでご紹介します。
TOP10を見ると錚々たる企業がランクインしています。上位企業のネットキャッシュ量を確認することで、ランクインしているパチンコ業界企業の財務の強さも量れそうです。
1.1位はソニーの約2兆6000億円
1位のソニーグループ。ネットキャッシュの額は2兆5965億円。
直近の2021年4~9月期連結決算は売上高が4兆6262億円、営業利益が5985億円と、中間決算として過去最高を記録しています。
2位は任天堂の1兆7423億円。
巣ごもり需要を追い風にニンテンドースイッチのソフト「あつまれ どうぶつの森」が大ヒットを記録、2021年3月期は最終利益が前年比85%増の4803億円で過去最高となりました。
3位は信越化学工業の1兆1251億円で、2021年3月期の営業利益は3922億円で前年比3.2%減でした。
以降も4位のキーエンス、5位の楽天グループ、6位のファーストリテイリング、10位のSUBARUと、日本を代表する有力企業が並んでいます。
【TOP10】
1位 | ソニーグループ | 25,965億円(以下同) |
2位 | 任天堂 | 17,423 |
3位 | 信越化学工業 | 11,251 |
4位 | キーエンス | 9,299 |
5位 | 楽天グループ | 8,090 |
6位 | ファーストリテイリング | 8,069 |
(ユニクロ) | ||
7位 | SMC | 6,297 |
8位 | ファナック | 5,867 |
9位 | セコム | 5,809 |
10位 | SUBARU | 5,734 |
2.パチンコ業界関連ではSANKYOがトップ
次に、パチンコ業界関連企業についてランキングとネットキャッシュを見ていきましょう。
32位 SANKYO 2,238億円
パチンコ業界関連を見てみると32位にSANKYOがランクインしました。
ネットキャッシュの額は2,238億円となっていますが、さらに注目は有利子負債が0となっている点。
同社は無借金経営で成長し続ける超の付く優良企業です。
43位 バンダイナムコホールディングス 1,840億円
43位にバンダイナムコホールディングスが入っています。
日経平均株価およびTOPIX Large70の構成銘柄の一つになっている同社は、ゲームや玩具を中心にエンターテインメント事業を展開していますが、そのメインIPの一つが「機動戦士ガンダム」であり、パチンコ業界でも多数商品化されていますね。
バンダイナムコグループの遊技関連事業は、これまでゲームやネットワーク関連のバンダイナムコエンターテインメントが担ってきましたが、2019年4月に遊技関連事業専門会社のバンダイナムコセブンズを設立して業容の拡大を図っています。
67位 コナミホールディングス 1,272憶円
次いで67位にはコナミホールディングスが登場。
同社はゲームソフトやアミューズメント機器、スポーツクラブなどを手掛けていますが、傘下のコナミアミューズメントではアーケードゲーム及びパチンコ・パチスロの製造を行っています。
パチスロは旧・高砂電器産業の流れを受け継いでおり、「KPE」と「コナミアミューズメント」の2ブランドを展開し、パチンコ機も製造・販売しています。
79位 セガサミーホールディングス 1,036億円
大手パチスロ・パチンコメーカーのサミーとゲームメーカーのセガ及び両社の関連会社の持株会社です。
2004年の経営統合以来、積極的な事業展開でその名を不動のものにしています。コンテンツ事業では「セガ」の他にも「アトラス」「トムス・エンタテイメント」など、遊技機事業では「サミー」のほか「タイヨーエレック」「ロデオ」「銀座」「サミーネットワークス」のブランドが知られています。
123位 カプコン 656億円
アーケードゲームやコンシューマーゲームの開発・販売を行っているゲームメーカー。
同社のメインIPはなんといっても「ストリートファイターII」「バイオハザードシリーズ」と言えるでしょう。
この他にも「デビルメイクライシリーズ」「鬼武者」「モンスターハンターシリーズ」などが知られており、傘下のエンターライズからパチスロ機が多数発売されています。
301位 サン電子 260億円
通信機器をはじめパチンコ関連機器・ゲームソフトなどの事業を行うパチンコ業界では知られた企業です。
特に「SUN TAC」ブランドの経営管理コンピュータは著名。
この他にも遊技台情報演出パネル、各台計数機、電子認証システムなどを発売しています。一般のお客の目に触れないところで活躍している企業ですね。
307位 ゲームカード・ジョイコホールディングス 258億円
企業名だけ聞くと「?」と思われるかもしれませんが、パチンコホールでは機種とともに最も身近な存在の企業です。
同社はパチンコ・パチスロ用プリペイドカードシステム機器事業を中核にしていますが、以前の磁気カード時代には「パニーカード」事業を行っていました。
関東方面の「パッキーカード」(旧・日本レジャーカード)も吸収して、現在はメーカー企業も出資する持株会社となっています。
328位 グローリー 243億円
同社は金銭機械の世界最大メーカー。知っている人も多いのではないでしょうか。
21カ国100ヶ所以上に拠点があり、顔認証を含む生体認証でもリーディングカンパニーとなっています。
パチンコ業界にも古くから参入しており、両替機などで同社のロゴを見かけた人も多いでしょう。
2008年にはパチンコ店向けプリペイドカード事業にも進出(グローリーナスカ)し、パチンコ店向けプリペイドカードシステムで2位のシェアとなっています。
この他にもパチンコ店向け金銭機械、液晶台ランプ、省力化機器事業などを行っています。
339位 マースグループホールディングス 235億円
パチンコ・パチスロ関連の周辺機器を取り扱うほか、RFIDやバーコードを活用した自動認識システムなどの事業を展開。
パチンコ店向けプリペイドカード事業のシェアは、日本ゲームカード、グローリーナスカに次ぐ業界第3位です。
また、近年では「各台計数機」でも大きくシェアを伸ばしており、「パーソナルシステム」は業界では著名なブランドとなっています。
405位 藤商事 187億円
近年はホラー系機種のメーカーとして知られるパチンコとパチスロ機の製造・販売会社。
「リング」「呪怨」や「貞子」などパチンコ、パチスロでヒットを連発しており、最新系では「Pとある科学の超電磁砲」と超人気コンテンツ機種も発表するなど、勢いのあるメーカーです。
429位 コーエーテクモホールディングス 172億円
同社は言わずと知れた人気ゲームコンテンツである「信長の野望」、「三國志」、「真・三國無双」を中心にしたエンタテイメント事業のほか、アミューズメント事業では自社IPを活用したパチンコ・パチスロ機への版権許諾、パチンコ・パチスロ機の液晶ソフトの企画・開発を行っています。
3.まとめ
上位500社中、パチンコ業界関連ではメーカー系5社、周辺機器4社、コンテンツ事業として2社の計11社がランクインしました。
ネットキャッシュは企業の実質的な手元資金であり、これが多いほど財務的な安全性が高いと言えます。
やはりどの企業も保有コンテンツやビジネススキームの強さが財務体質に現れています。
ランクインした企業は今後もパチンコ業界を牽引していく企業ともいえそうですね。