パチンコ店の倒産状況と今後の予想
パチンコ市場規模・動向 2022/6/28
2020年より2年以上続いているコロナ禍によって、社会全体が深刻な経済危機に直面しています。
特に影響が大きかった業界として飲食店やホテル・旅館、旅行業界などが取り上げられていますが、パチンコ業界もまたコロナ対策の実績があるにも関わらず風評被害が広がるなど、事業環境が悪化したことは記憶に新しいところです。
それにともない2021年には閉店や休業が増加しホール軒数は減少、有力ホール企業によるM&Aの加速やメーカー、関連企業の売上ダウン、リストラなど影響が広がっています。
1.2020年の倒産件数は17件
2020年のホール企業の倒産数(法的整理のみ)は17件で、2019年より3割ほど減少しましたが、負債総額は173億円から87.4億円に半減。
コロナ禍にあっては飲食店を中心に旅行代理店やホテル・旅館など一般消費者サービス系の業種で新型コロナ関連の倒産が多く発生していますが、パチンコ業界の倒産数は比較的抑えられていた、という見方もできます。
しかし、パチンコ店舗数で見ると2020年末で9035店舗と2019年より604店舗減少し、2021年末では8458店で前年比マイナス577店と減少が続いています。
特に中小ホール企業など厳しい運営状況の店舗は、事業転換や大手、有力ホール企業に身売りするなど倒産前撤退や不採算店舗の整理が激増しており、こうした実情は倒産件数に反映されていない点には注意する必要があります。
2.負債額はピーク時より少ないが
また、2020年のパチンコホール倒産における負債総額は87億3,800万円で、最大の倒産は都内企業で負債額は約37億円でした。
なお、2000年以降のホール経営企業の倒産件数ピークは、2007年および2008年の72件で、負債総額は2007年が1,722億6,200万円、2008年が625億4,400万円となっています。
これらについて2008年リーマンショック以前ということなりますが、パチンコ業界にとってはリーマンショック級とも言える2007年の4号機完全撤去と1997年から続く社会的不適合機撤去の最終段階である2006年の「みなし機撤去」が大きく影響しています。
みなし機撤去や5号機の入れ替えに伴う資金負担に耐えられなかったホール経営企業が撤退していったのです。
ちなみに歴代の大型倒産トップは、2006年に会社更生法を適用した(株)高山物産(京都府)の718億4800万円、次いで2007年に民事再生となった(株)ダイエー(福島県)の636億円となっています。現在よりも大きな負債総額となっており、当時のホール企業の置かれた厳しい状況が伺われる数値です。
3.パチンコホールが公的融資の対象業種に
新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言も発令、外出自粛の影響で飲食店やホテル・旅館、旅行業界、小売業は大打撃を受け、コロナ関連倒産や休業が相次ぎました。
全業種では2021年6月末までに1,676件の新型コロナウイルス関連倒産が発生。
一方で、ホール業界の倒産件数は2020年末で17件、2021年7月末では6件と前年を下回っていたことがわかっていますが、この背景には、新規則機の完全移行期限が延長されたことや政府系金融機関・信用保証協会の融資や保証の対象外となっている業種の見直しよって、パチンコホールも対象となったことが倒産件数の歯止め、延命に影響したと考えられます。
4.2022年以降はどうなっていくか
現在も2018年から登場した6号機の導入が続いていますが、その出玉性能からファンの支持を得られているとは言い難い状況です。
新型コロナによる1年の延長期間が終わった2022年2月以降は営業を支えていた旧要件のパチンコや5号機が完全撤去となったため、今後の倒産増加が懸念されています。
一方で「世界的な半導体不足」による遊技機製造への影響は大きく、ホールへの供給不足の懸念はもちろん、ホール、メーカー問わず大手・中小のさらなる2極化に発展し、シュリンクしていく可能性も否めません。
ウクライナ危機による物価上昇は消費活動に影響することは容易に想像できますが、このことが遊技頻度の低下に繋がる可能性も踏まえると「業界縮小が下げ止まる気配はいまだ見えてこない」というのが率直な感想です。
明るい材料が少ないですが、コンプリート機能などの遊技機新規則やスマートパチンコ、スマートパチスロ開発は「希望の光」となるのか、引き続きチェックしていきたいと思います。