転職時に焦る年金手帳の行方
転職雑記 2022/8/23
転職が決まった時、転職先の企業から年金手帳の提出を求められることがあります。
健康保険や厚生年金保険の加入手続きに、手帳に記載されている「基礎根金番号」が必要だからです。
ところが、いざ年金手帳をと探してみると“どこにあるか分からない”という場合もあるのではないでしょうか。自身の年金手帳がどこにあるかすぐに思い出せますか?
今回は、入社手続きに必要な「年金手帳」を紛失したり、所在が分からなくなったりした時の対応についてお伝えします。
1.年金手帳は令和4年4月1日から廃止
いきなりですが、年金手帳は令和4年4月1日から廃止されました。
あまり知られていませんが、2020年6月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布され、2022年(令和4年)4月1日より施行されました。
それにともない、年金に関するさまざまな改正が行われましたが、その中の一つに年金手帳の廃止も含まれていました。
現在は、年金手帳の代わりとなる「基礎年金番号通知書」への切り替えがスタートしています。
2.「基礎年金番号通知書」の発行
2022年4月以降に国民年金・厚生年金に加入した人には、これまでの年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」が配布されます。
そのため2022年4月以降に国民年金・厚生年金に加入した人は年金手帳を持たないことになります。
なお、すでに年金手帳を持っている人は逆に「基礎年金番号通知書」は発行されません。
2022年3月以前に国民年金・厚生年金に加入した人は、引き続き年金手帳を使用することができます。
3.以前は就職で年金手帳が発行された
これまでは、通常は社会人となり就職した時に会社の手続きにより年金手帳が発行されていました。
20歳を迎えた人も国民年金へ加入した際に年金手帳を受け取っていますから、転職時に国民年金に加入していても自分で切り替え手続きする必要はなく、入社時に基礎年金番号が記載された年金手帳の実物やコピーを提出するように言われることが一般的でした。
4.年金手帳を紛失・所在不明の人は…
年金手帳を紛失したり所在が分からなくなった人は、以前は年金手帳の「再発行」手続きをしましたが、現在は年金手帳の廃止により再発行はできなくなっています。
その代わりに「基礎年金番号通知書」を発行することが可能で、住んでいる地域の役所・総合支所担当課または住所地を管轄する年金事務所で手続きすることで後日郵送されます。
手続きに必要なのものは免許証や保険証など本人の確認できるものと年金番号のわかるものです。
厚生年金保険の被保険者、国民年金第3号被保険者(厚生年金加入者に扶養されている方)は、勤務する会社(または配偶者の勤務する会社)経由、または直接、会社の所在地を管轄する年金事務所で手続きすることができます。
5.年金手帳は大切に!
年金手帳は廃止になりましたが、「持っている年金手帳はいらないだろう」と考える人がいたら、それはちょっと待ったほうが無難です。
なぜなら…
・年金手帳を持っている人には基礎年金番号通知書が発行されない
・年金手帳は基礎年金番号を確認するのに必要
・年金手帳再交付の廃止により、紛失しても年金手帳は手に入らない
という理由があるためです。
現在年金手帳を持っている人には、基礎年金番号通知書が発行されません。
法改正により基礎年金番号通知書が新たに発行されるのは、2022年4月以降に国民年金・厚生年金に加入した人が対象だからです。
そして年金の手続きには「年金基礎番号」が必要ですが、手帳には「年金基礎番号」が記載されているので、手帳は廃止になったとしても重要な書類であることに変わりはないのです。
また、年金手帳再交付の廃止により紛失しても年金手帳は手に入りません。紛失等で再発行の手続きをしたとしても、届くのは年金手帳ではなく基礎年金番号通知書です。
したがって、年金手帳は2度と手に入らないものでもあるのです。
いずれにせよ、年金手帳を持っている人は大切に保管するようにしましょう。