転職活動で使える有効求人倍率とは?
転職雑記 2022/11/15
転職情報などでよく目にする文言に、「有効求人倍率」というものがあります。
景気や経済の動向を表す指標でもある「有効求人倍率」について、転職活動にどのように活かせば良いのか、確認していきましょう。
1.有効求人倍率とは何か
有効求人倍率とは、企業からの求人数を、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者(有効求職者数)で割った値のことで、雇用状況から景気を知らせるために厚生労働省が毎月発表している統計資料の一つです。
分かりやすくいえば「求職者1人に対してどれくらい求人があるか」を示すもので、ニュースや新聞などメディアでもよく報じられ、経済指標としても重要なものとなっています。
数値の見方も簡単です。
求職者よりも求人数が多い場合には有効求人倍率は「1」を上回り、逆に求人数が少ないと「1」を下回ります。
例えば、求人数50件に対して求職者が100人だった場合、有効求人倍率を求めると「50÷100=0.5」となり、有効求人倍率は「0.5」になります。
この例では数値が1.0倍に達しないため、求職者数に対して求人数が少なく、職に就きにくい状況ということになります。
反対に1.0倍以上であれば、求職者数より求人数が多いこととなるので職につきやすい状況ということになります。
2.有効求人倍率は転職活動の参考になるのか?
一般的に公表される有効求人倍率はパートタイムを含む全数で、景気動向を読むには参考となりますが「正社員としての就業を求める転職活動ではピンとこない」というのが個人的な感想で、参考にすべきは「パートタイムを含まない都道府県別の有効求人倍率」です。
ただし、これは算出していく必要があります。
使うデータは以下。
A:都道府県(受理地)別 正社員有効求人数(実数)
B:都道府県(受理地)別 雇用形態別 有効求職者数(実数)(パートタイムを除く常用)
A/B=正社員(契約・派遣社員含む)の有効求人倍率
例えば、2019年~2022年の9月全国の正社員有効求人倍率はこんな感じになります。
さらに、都道府県別の実数から算出すれば希望エリアの転職市況感をなんとなく読むことが出来てきます。是非お試しください。
なお、この式で算出した正社員有効求人倍率の2019年9月以降の推移をみると、1回目の緊急事態宣言があった2020年4月に平均値1.0を下回る0.92を皮切りに、2022年7月までの約2年と3カ月もの間、平均値割れが続いていました。
2022年8月に1.0となり9月1.02と続いています。
コロナ感染に対する国民の慣れ、行政も徐々に経済優先にするのと並行し、有効求人数は確かに伸び始めましたが、「正社員の転職市況感」でいえば「ようやく平均値に戻った」ということがわかってきます。
ただし、正社員の中に派遣、契約社員が含まれていることを踏まえると、正社員の転職は現実としてはもう少し低い水準にあるということが想定され、いまだ平均値を割っている可能性も否めません。
3.職業別の有効求人倍率は参考になるのか?
職業別有効求人倍率(パートタイムを除く常用)で、それぞれの職業における正社員有効求人倍率が確認できます。
まず、自分のつきたい職が「これらに掲載されるどの職業に該当するのか」あたりをつける必要があります。
「これかな」と感じる職業にあてこんでみて、平均値1.0より高い(求職者優位)、低い(採用企業優位)ということは把握できると思います。
ちなみに【一般事務】の2022年9月正社員有効倍率は0.31・・・。今も昔も変わらず激低です。
自分のつきたい職の有効求人倍率が低い(採用企業優位)から、他の職にシフトするのか?それとも、狭き門をかいくぐるための対策を練ってチャレンジするのか?両取りするのか?転職活動を行うご本人の状況によっても変わってくるとは思いますが、「今後の転職活動の方向性を模索する材料」にはなり得ますね。
4.まとめ
ここまで、つらつらと有効求人倍率について述べてきましたが、「有効求人倍率」は市況感なり景気動向を表すもので、転職活動においてはあくまでも参考程度に捉えるべきでしょう。
大事なことはご自身が今後どうされたいか、その目指す道を進むためには何が必要なのか、妥協できないことは何か、妥協できることは何かを定め、「機」を見て動くこと。
どのような市況感であっても案件ベースで「絶好のタイミング」を逃さずミートできれば、おのずと結果はついてくるものです。