【最新】パチンコ店舗数と就業人口の推移
パチンコ市場規模・動向 2022/11/24
新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言の解除以降、事業再開後も軌道に乗らなかった業界は多く、特に小売業、飲食業、旅行業は大きな影響をうけました。
帝国データバンクや東京商工リサーチによると、ホテルや旅館などの倒産件数は41社となり負債総額も828億円にのぼっていました(2020年6月30日時点)。
旅行業に関連してANAホールディングスでは2021年度の新規採用の中止や、エールフランスでの7,500人余りの人員削減など有名企業のニュースをご存知の方も多いでしょう。
この他の業界でも、採用活動を一時休止または大幅縮小したところが多かったように思います。
パチンコホール業界はどうなっているのか?というと、個人的に観測しているデータでは2022年11月18日時点において2021年を上回るスピードで店舗数が減少しており、とうとう8,000店舗を割って7843店舗まで落ち込んでいました。
閉店率は8.3%で、2007年(パチスロ5号機問題)以上の落ち込み幅です。
表①【パチンコ店舗数の推移とパチンコ就業人口の推移】
※特定サービス産業動態統計調査(経産省)および全国遊技場店舗数および機械台数(警察庁)より算出
2002年時点のパチンコ店舗数は約16,5000店舗で就業人口は約35万人。
コロナ禍直前、2019年時点のパチンコ店舗数は約9,600店舗で就業人口は約21万人。
2021年時点のパチンコ店舗数は約8400店舗で就業人口は約16万人となっていました。
新型コロナの影響による来店者数の低下、消費行動の変化、半導体不足による遊技機製造販売台数への影響、集客力低下、業績悪化などから2極化と淘汰はますます加速したように感じます。
表②【パチンコ就業人口の増減率の推移】
※特定サービス産業動態統計調査(経産省)および全国遊技場店舗数および機械台数(警察庁)より算出
パチンコ店の就業人口も大幅に下落していることがわかります。
コロナ禍の2020年~2021年の2年間で約5万人もの従業員が「パチンコホール業界から離脱した」ともいえるでしょう。
総従業員数の増減率をみると2020年0.87、2021年0.88となっていますが、過去20年間で0.9を下回ったのはこの2年だけとなっていました。
なお、「閉店率より総従業員数下落率が5%以上マイナスだった年」は2010年、2011年、2012年、2020年、2021年となっており「増員を積極的に行わなかった」または「増員を図るも思うように行かなかった」ことが可能性として挙げられます。
2020年~2021年の2年間は新型コロナによる先行き不透明感から人員削減するケースや増員せずにギリギリの人数でオペレーションを回すケースは増えたように感じます。
2009年から2012年にかけては特に非正規社員の下落が顕著で、これはリーマンショックと東日本大震災の影響が考えられます。
当時の有効求人倍率は2009年で0.45倍(過去最低)、そこから徐々に上昇するも2012年時点で0.82倍と採用市場は買手優位の状態にありました。
しかし、この間には広告規制など業界を取り巻く環境も大きく変化し、予算やコストの見直し、人員整理が進んだものと思われます。
また、各台計数機の普及により業務量が軽減され、必要人数を抑えられたことも要因として考えられそうです。
【表③パチンコ店舗あたり台数の推移とパチンコ店舗あたり従業員数の推移】
※特定サービス産業動態統計調査(経産省)および全国遊技場店舗数および機械台数(警察庁)より算出
店舗あたりの総従業員数では、2021年ついに20人を下回る19.4人となっていました。
過去20年に遡っても店舗あたりの総従業員数が20人を割ったのは2021年のみですが、2022年11月時点での店舗数、閉店率や採用(売手優位)市況感を踏まえると、さらに減少する可能性は否定できません。
注目する点として、パチンコ店舗数が減少していく一方で、店舗あたりの台数は増加し続けており、それに伴い、従業員ひとりあたりの台数も増加傾向にあるということです。
要はひとりあたりの管理台数、対応台数が増えています。
2012年以降から2019年までは大きな変動もなく推移していましたが、コロナ禍となる2020年からさらに、ひとりあたり台数は増加。
セルフPOS、各台計数機、紙幣搬送システムなど省力化を実現させる機器の導入により業務負担も軽減できたとは思いますが、適正人員に満たない状況が続くと遊技環境整備や顧客対応に影響をおよぼす恐れがあります。
人手不足を実感してから増員を図るのでは遅く、求職者動向やトレンドを踏まえて、先手で動いていくことが大切です。