パチスロで遊ばなくなった背景
パチンコ市場規模・動向 2022/12/13
2022年のパチスロ市場は、旧基準機の撤去や6号機の低迷、そしてスマスロの登場と大きな転換期を迎えていますが、低迷する状況が続いています。
今回は、日遊協の広報調査委員会が毎年実施している「パチスロプレイヤー調査2021」(協力:日電協、日工組回胴部会)のデータの中から、「パチスロで遊ばなくなった理由」をピックアップしてお伝えいたします。
1.2021年の参加人口は約708万人
パチスロプレイヤー調査2021によると、パチスロ参加人口は前年比約8万人減の約708万人で、年代別では40代が約26万人増加した一方、60代以上は約23万人減少しました。
参加率では50代以上は減少する一方で、40代以下は上昇しており、若・中年層で回復が見られる状況です。
また休止者層の深堀分析によると、休止直前の遊技頻度について「年に1回以下」が4割以上と低頻度からの自然離脱が多くみられましたが、「週1回以上」で約2割、「月1回以上」で4割弱と定期的に遊ぶ層からの離脱も一定数ありました。
「前よりも遊ぶ回数が減った理由」について聞いてみると、全体では「勝ちにくい」が最も高く約4割あり、2番目に「おもしろい機種がない」が高く、遊技機に関する要因が上位となっています。
なお2020年の調査では、遊技頻度の減少理由として新型コロナの影響が大きかったのですが、2021年は新型コロナの感染拡大が落ち着きを見せた時期があったことや、パチンコ店でクラスターが出ていないこともあって、「新型コロナ感染が気になる」「新型コロナでパチンコ店のイメージ低下」の回答は前年から低下しました。
さらに、コロナ禍の影響を受けたと思われる「うしろめたさ」や「周囲のすすめ」も低下していました。
2.パチスロで遊ばなくなった理由
パチスロで遊ばなくなった理由は、男女とも「勝ちにくい」が7割以上と最も多い理由でした。
次いで「面白い機種がなくなった」や「以前よりも遊ぶのにお金がかかるようになった」などが理由の上位に入っています。
パチスロ人気低迷の要因ともなっている6号機に関しては、6号機ATの「遊技経験」は前年から大きな変化はなく8割以上が経験ありという結果で、6号機のプレイ体験は一巡した状況であることが分かります。
そうした状況で「継続意向率」はやや上昇して8割台半ばとなっており、旧基準機が撤去されても、6号機ATで遊んだことのある層には一定の支持があることが示唆されました。
その一方、6号機で「今後遊ばないと思う理由」の質問には、「一撃の獲得枚数が期待できない」「勝ちにくい」「通常中が面白くない」が上位になっていました。
「勝ちにくい」は前年から低下する一方で、有利区間の仕組みやコイン持ち、ゲーム性などが上昇しています。
5号機AT/ART機ユーザー層は「一撃の獲得枚数」「連荘」「高純増」に期待できない割合が全体よりも高かったことから、旧基準機がすべて撤去された後の6号機の課題が浮き彫りとなった結果と言えるでしょう。
3.気になるスマスロの動向
近年のパチスロ参加人口の減少はコロナ禍の影響もありますが、旧基準機の撤去の影響も大きく、特に5号機をメインに遊技している層は6号機の「ゲーム性」「出玉性能」に不満を抱いていることから、パチスロ参加人口の低迷は容易に想定できます。
まずは11月に登場した「スマスロ」(スマートスロット)のゲーム性が受け入れられるか、支持されるか気になるところですが、導入からの初動はコンプリート(19,000枚)するケースが散見されるなど、パチスロ4号機並みの瞬発力、出玉感で、スマスロ自体の稼働も良い印象を受けました。
が、某業界データでは「20円貸しパチスロ」の稼働状況は導入前週比、昨対同時期比で「ほぼ変わっておらず(微増程度)」、「4円パチンコの稼働が低下している」ことから【既存ユーザーがスマスロに移動しているだけ】と捉えられ、少なくとも2022年11月時点においてスマスロが「パチンコ、パチスロ遊技を辞めた休眠ユーザーの掘起し」や「新規ユーザーの獲得」に、大いに貢献しているとは言えなそうです。
業界関係者および既存ヘビーユーザーの期待値は大きく、賑わってはいるものの、あくまでも内々での賑わいに留まっている状況なのかもしれません。
「スマスロ(スマートスロット)とは何ぞや」を、ライト層や休眠層に向けて、わかりやすく継続的にPRしていくことが強く求められてくるのではないでしょうか。