男性の育休取得状況の公表が義務化
転職雑記 2024/3/26
仕事と育児を両立できる社会の実現を目指して、2022年4月より段階的に施行されている改正育児・介護休業法ですが、2023年4月1日より大企業に対して育児休業取得状況の公表が義務化されました。
1.育児休業等取得状況の公表義務化とは
常時雇用する労働者が1,000人を超える「大企業」は、育児休業等の取得状況を年に1回公表することが義務付けられました。
ここで言う「常時雇用する労働者」とは、雇用形態を問わず事実上期間の定めなく雇用されている労働者のことです。
公表すべき内容は、「男性の育児休業等の取得率(割合)」もしくは「育児休業等と育児目的休暇の取得率(割合)」です。
2.育児休業と定義
育児休業等とは、育児・介護休業法に規定する以下の休業のことです。
・法第2条第1号に規定する育児休業(出生時育児休業(産後パパ育休)を含む)
・法第23条第2項(所定労働時間の短縮の代替措置として3歳未満の子を育てる労働者対象)
又は第24条第1項(小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置を講じた場合は、その措置に基づく休業
3.義務化の目的は男性の育休取得促進
厚生労働省の「2021年度雇用均等基本調査」によると、育児休業制度の利用状況は女性が89.5%、男性が18.9%とされています。
男女とも2020年度から数値は上昇していますが、依然として男性の育休取得率は圧倒的に低い状況が続いています。
育児休業は「子を養育するための休業」であり、男女がともに育児に主体的に取り組むために、労働者が希望するとおりの期間の休業を申出・取得できるよう、事業主は上司・同僚の理解も含めて育児休業を取得しやすい雇用環境を整備することが重要です。
男女ともに、育児休業を取得しやすい雇用環境を整備する必要があります。
4.育児休業取得状況の公表の決まり
育児休業取得状況の公表の決まりとしては、主に「公表する情報」「公表する方法」「公表期限の目安」があります。
①公表する情報
「男性の育児休業等の取得率」または「男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率」
②公表方法
・自社のホームページ
・「両立支援のひろば」(厚生労働省が運営するウェブサイト)に登録する
・その他、適切な方法 など
③公表期限の目安
公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度終了後、おおむね3か月以内
男性の育休取得率等は一般の人が閲覧できる方法で公表しなければなりません。
具体的には、自社のホームページに記載する、または厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表するなどの方法です。
公表の時期は公表前事業年度終了後、おおむね3ヶ月以内に行うように定められています。
なお、「両立支援のひろば」には、仕事と家庭の両立の取組に関する事業主向けのQ&Aや、企業の取組事例など役立つ情報が多数記載されています。
5.公表しないことでの罰則は?
公表しないことでの明確な罰則はありません。
しかし、育児・介護休業法違反に該当し厚生労働大臣から勧告を受けることになります。
勧告後に改善が見られない場合は、企業名が開示される可能性もあります(育児・介護休業法の第56条の2)。
企業名が公表されると企業のイメージダウンは免れず、求職者数の低下や取引先への悪影響が起こりかねません。
対象企業は男性の育休取得率等の公表を実施する必要があります。
6.まとめ
現代の日本において男性の育児休業の取得状況は、女性と比較して大幅に低い状況です。
男性が育児休業を取得しやすくするために、雇用環境を整備する必要があります。
男性育児休業の取得状況の公表義務化はあくまできっかけであり、取得率のみにとらわれず雇用環境整備全般に目を向けることが大切です。
男女ともに育児休業を取得しやすく、働きやすい雇用環境の実現が求められています。