ユニコーン企業って何?
転職雑記 2024/3/12
最近、経済ニュースなどで「ユニコーン企業」という言葉をよく耳にするようになりました。
あまり聞き慣れない言葉ですが、このユニコーン企業とはどんな企業なのでしょうか?
今回は、新しい企業概念として近年登場した「ユニコーン企業」について確認したいと思います。
1.「ユニコーン企業」の登場
ユニコーン企業とは、アメリカの投資会社「カウボーイ・ベンチャーズ」の創業者であるアイリーン・リーによって2013年に提唱された、とても新しい企業概念です。
言葉の由来は、投資家達に莫大な利益をもたらす可能性を秘めた「レアな存在」「めったに見れない存在」であることから、伝説の幻獣であるユニコーン(一角獣)になぞらえています。
2.ユニコーン企業の定義
めったに見ることが出来ないという意味で幻獣に例えられていますが、ユニコーン企業には具体的な4つの定義があるといいます。
①創業10年以内
②評価額10億ドル以上
③非上場
④テクノロジー企業(必須ではない)
①創業10年以内
なぜ10年なのかについては、10年で10億ドル以上の利益を投資家にもたらす企業がとても少なく希少であることと、設立10年以上経った企業は社会的な認知を受けており、「スタートアップ企業」とは呼べないなどが理由とされています。
②評価額10億ドル以上
評価額とは、一般的には株価をもとに評価額を決定します。
しかしユニコーン企業は非上場が条件のため簡単ではありません。
そのためユニコーン企業の評価額は、「同業種の上場企業の評価額」「企業の預金」を判断材料にしています。
③非上場
ユニコーン企業の定義にあった企業が上場した場合、ユニコーン企業から外れます。
④テクノロジー企業である
この要件は、ユニコーン企業の絶対的な定義ではありません。
しかしユニコーン企業の多くは新しい技術の開発を行っており、ITと既存事業のコラボレーションを実現したテクノロジー企業が多いという事実があります。
3.ユニコーン企業の類似語
ユニコーン企業には類似語があります。主な3つについて見ていきましょう。
①デカコーン企業
株式の時価総額が100億ドル以上と評価されている、創業10年以内の非上場のベンチャー企業のことです。
デカコーンの「Decacorn」は、10倍を意味する接頭語である「Deca」と伝説の一角獣である「Unicorn」とを組み合わせた造語です。
②ヘクトコーン企業
ユニコーン企業のうち企業評価額が1000億ドルを超えた企業のことです。
「ヘクト(hecto)」は100倍の意味がある接頭辞です。「ただ一つ」を意味するユニコーンの「ユニ」にかけ、100倍にされました。
③ゼブラ企業
「SDGs」や「サステナビリティ」を企業理念に掲げ、よりよい社会の実現を重視する企業のことです。
ゼブラとはシマウマのことですが、そのシマウマの白と黒を、「企業の利益」と「社会貢献」という二律背反とも言える理念を両立しようとする考にたとえているのです。
また、ゼブラ企業はライバルである他社とも共存しながら社会貢献を行っていくという特徴を持っており、シマウマの集団で生活する習性と共存性を目指す姿勢に重ね合わせています。
近年高まっている新資本主義への批判から、ゼブラ企業はユニコーン企業の対極的存在として注目されているのです。
4.日本のユニコーン企業
日本の主なユニコーン企業をご紹介しましょう。
●Preffered Networks
株式会社Preferred Networksは、主に人工知能(AI)開発を手がけるベンチャー企業です。
ディープラーニングやロボティクスなどの最先端技術の実用化によりイノベーションの実現を目指してAI製品・サービスを開発しています。
●スマートニュース
スマートニュース株式会社は、スマートフォン向けニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」を運営している企業です。
●SmartHR
SmartHR株式会社は、人事労務を効率化するクラウドサービスを提供しています。
働き方が多様化する中で、労務管理を通した従業員データの分析、人事評価、社会保険の書類作成など、労務関係の事務処理の効率化をサポートします。
●Spiber
Spiber(スパイバー)株式会社は、微生物発酵(ブリューイング)プロセスによりつくられる人工タンパク質素材「ブリュードプロテイン(BREWED PROTEIN)」を製造しています。
●ADVASA
株式会社ADVASAは、勤怠管理システムと連携し、従業員への資金提供、決済までワンストップで提供可能な福利厚生ペイメントシステムのOEM提供を主要事業としています。
●GVE
GVE株式会社は、法定通貨のデジタル化プラットフォーム「CBDCプラットフォーム」を開発。
中央銀行が発行するデジタル通貨に安全性の高い技術を使ったキャッシュレス決済のシステムを提供しています。
日本のユニコーン企業数は海外と比べてまだまだ少ないですが、政府もスタートアップ企業やベンチャー企業を支援する取り組みに力を入れていることから、今後日本でもユニコーン企業が増えていくと予想されています。