残業代の割増率を知ろう
転職雑記 2024/3/5
残業代(時間外労働の賃金)の割増の仕組について、何となく知っている人はいても詳細については把握していない人が多いようです。
具体的な残業代の算出方法を理解していないと、事業主が間違ったりした時に正確な残業代を伝えることができず損をする可能性があります。
今回は、残業代について通常時からどれだけ割増されているのか、について確認していきましょう。
1.残業にあたる時間とは
まず、残業にあたる時間と残業に関する内容を確認しておきましょう。
「残業代=時間外労働の賃金」となりますが、残業代を理解するには、まず所定労働時間と法定労働時間の違いを理解することが大切です。
【所定労働時間】
所定労働時間とは、就業規則で定められた勤務時間を指します。
通常であれば労働基準法第32条に明示されている1日あたり8時間と定めている企業が一般的ですが、各企業が独自の労働時間を設けている場合も多く7時間などもあります。
【法定労働時間】
法定労働時間は、労働基準法第32条で定められている労働時間を指し、原則1日8時間、週40時間勤務の労働時間が設定されています。
割増賃金による支払い義務がある残業=時間外労働は、法定労働時間を超えて従業員を働かせた時間のことです。
例えば、1日に9時間労働した場合、法定労働時間の8時間よりも多く労働した1時間分は割増賃金を上乗せして給与を支払う義務があります。
なお、所定労働時間が7時間の場合、ある1日に9時間労働したときは、法定労働時間の8時間に達するまでの1時間は「法定内残業」とされ、割増賃金を支払う必要はありません。
2.残業による割増率の考え方
割増賃金とは、「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」があった際に、通常の賃金よりも割増して給与を支払うこと指します。
【残業にかかる割増率】
①「時間外労働(残業)のうち月60時間までの分」は通常時の25%以上
1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える労働に対しては、正社員やパート・アルバイトといった雇用形態に関係なく通常時の賃金の25%以上で割増賃金を支払う必要があります。
②「休日労働」は通常時の35%以上
法定休日に労働をした場合は、35%以上で割増賃金を支払う必要があります。
③「深夜労働」は通常時の25%以上
「深夜労働時間」である22時~翌5時に働いた場合は25%以上の割増賃金となります。
④「1ヵ月の時間外労働(残業)が60時間を超える分」の割増率は50%以上
1ヵ月の時間外労働が60時間を超えたら、60時間を超えた分の残業時間に対しては50%以上の割増率で賃金を支払わなければなりません。
⑤「深夜残業」は通常時の50%以上
「深夜労働時間」である22時~翌5時に「残業(時間外労働)」が発生した場合は、時間外労働による割増率25%に加え、深夜労働による割増率25%を上乗せする必要があります。
そのため、夜勤で深夜残業をおこなった場合は、通常の給与の1.5倍以上で賃金を支払う必要があります。
⑥「深夜時間の休日労働」は通常時の60%以上
もし法定休日での労働が深夜に及んだ場合は、休日労働の35%と深夜労働の25%を足して60%以上で賃金を支払う必要があります。
⑦「1ヵ月の時間外労働(残業)が60時間を超え、深夜労働があった分」は通常の75%以上
③と④の合わせ技となり、通常の75%以上の割増賃金を支払う必要あります。
3.割増率を理解して損をしないように
残業代の支払いに関してミスがあると、故意ではない場合でも自身が損をするだけでなく、後々大きな労働問題になる可能性も少なからずあるわけです。
割増率を理解していれば損をせず、トラブルを未然に防ぐことにも繋がりますよ。