コンビニパチンコは増えていくのか?
パチンコ市場規模・動向 2023/4/20
パチンコ業界で大きな注目を集めたスマート機専門店「スマートガーデン浦和」。
2022年11月に登場した「スマートパチスロ(スマスロ)」を導入し、極小規模の“コンビニパチンコ”として誕生しました。
メダル設備がいらないスマスロの登場は、手軽な出店が可能になることから小型店店舗の登場が予想されていましたが、登場から僅か数カ月で現れた“コンビニパチンコ店”は大きな注目を集めています。
1.コンビニの居抜きで出店
今年2月、埼玉県さいたま市のJR浦和駅西口に登場した“コンビニパチンコ”「スマートガーデン浦和」。同店は業界初となるスマスロ専門店で、首都圏を中心にパチンコホールを展開するガーデングループ(㈱遊楽)の店舗です。
同店は駅前ビルの元コンビニ店の跡地に入居しており、スペースはまさにコンビニ規模。そのため設置台数は69台と極小規模の店舗となっています。
設置機種数は昔のパチンコ店でも見られた数ですが、令和時代にあってはとても少ない規模と言えます。
そもそもスマート遊技機は補給などの設備が必要ないため、店舗スペースはもちろん出店費用も抑えることができます。
そのためスマート遊技機専門店なら従来より手軽に出店できるため、駅前や商業施設の一角などに小規模なパチンコ店が誕生することは予想されていました。
2.業界への大きなインパクト
しかし、その予想を上回るスピードとコンビニパチンコ店の登場は、業界に大きなインパクトを与えました。
店内には69台の機種が設置されており、6台島を斜めに配置するなど、スマスロのメリットを活かしたレイアウトになっています。
コンビニスペースにこれだけの機種数が設置できるのは、まさにスマート遊技機の大きな恩恵と言えます。
また運営面でも補給や玉詰まり、ホッパーエラーなどのトラブルがないスマート遊技機は小人数でのオペレーションを可能にしており、最小限のスタッフでもサービスを行うことができます。
同店は3月に早くもリニューアルされ、総設置台数が66台から69台と増台。
機種構成も人気機種を半数近く増台するなど拡大路線です。さらに同店の告知では「この増台はまだまだ続く!?」となっており、今後も設置台数は増えていくと予想されます。
パチンコ業界は市場規模の大幅な縮小が続いていますが、「コンビニパチンコ」は、こうした市場シュリンクに対応した一つの回答とも言える形態です。
元々パチンコの歴史を遡れば、発祥は商店の軒先での1、2台からであり、通路一本で10台に満たない店舗が普通だった時代もありました。
市場規模に連動した動きではありますが、こうした動きはある種の原点回帰と言えるかもしれません。
3.100店舗以下は増えている
現在、パチンコ業界の小規模店(100台以下)の店舗は令和3年(2021年)末で284店舗(警察庁発表数値)です。
前年比59店増となっており、実は100店舗以下の店舗だけが増加傾向にあります。
今回のコンビニパチンコと直結する動きではないですが、資本力のある企業が新規、既存両方で店舗の業態変更に乗り出すことは十分考えれます。
気軽に立ち寄れるコンビニ形態の店舗は、ライザップの“コンビニジム”「chocoZAP(チョコザップ)」が話題になったことは記憶に新しいですが、チョコザップは月額2980円(税別)のサブスクで24時間対応です。
パチンコではサブスクリプションや24時間対応は難しいですが、パチンコ業界でも店舗の新しい形として「コンビニパチンコ」は今後広がっていく余地は十分にあると言えます。
業界初の“コンビニパチンコ”「スマートガーデン浦和」の動向には、まだまだ目が離せない状況です。