心理的リアクタンス|マーケティングに役立つ行動心理学
パチンコ店の仕事・スキル 2020/6/9
某化粧品のCMで「申し訳ありませんが、〇〇〇は初めての方にはお売りできません。」とうのがありました。
CMなのに、いきなり「お売りできません」って、化粧品にまったく興味はなかったのですが「え~、じゃぁどうすりゃいいのさ」と気にはなりました。化粧をする人であればなおさら気になったかもしれませんね・・・これがきっかけで試した人もいるのではないでしょうか。
人は自由な行動を禁じられる命令には反発心を持つもの。これを「心理的リアクタンス」といいます。
リアクタンスとは、“反発・抵抗”という意味です。
「心理的リアクタンス」は、1966年にアメリカの心理学者ジャック・ ブレーム(Jack Brehm)が提唱した理論に由来するもので、人は自分の意思通りに判断したいという欲求を持っており、この欲求が阻害されると反発するというものです。
選択を自分ではない誰かに強制されたり、決めつけられたり、抑制されたりした時、違和感なり不快感を覚え、それとは真逆の行動をとってしまったことはありませんか?
例えば、あの「ロミオとジュリエット」がまさにそうで、別名「ロミオとジュリエット効果」とも言われています。 他にもイソップ童話「王様の耳はロバの耳」の理髪師の行動も心理的リアクタンスの効果が描かれています。
熱湯風呂を前にして「絶対に押すなよ」と言うダチョウ倶楽部のお決まりの展開は、もう様式美レベルといえるでしょう。
このように効果の例は、小説や童話、コントなどでも見受けられます。
パチンコ店の例でいえば、新型コロナウイルス緊急事態宣言の中、店名公表されたパチンコ店に多くのお客さんが押し寄せたことは記憶に新しいですが、この現象は「心理的リアクタンスが影響した」といえそうです。
全国パチンコ店の9割強が休業している中で、営業しているごく一部のパチンコ店はある意味希少性が高くなったといえます。そして、その店舗を公表するという事は「パチンコやパチスロで遊びたい」という欲求を持ちながらも「パチンコやパチスロで遊べない」というパチンコユーザーの状況に対し、非常に強い宣伝効果が発揮されたといえるでしょう。心理作用としても大変わかりやすい事例かと思います。
さて、心理的リアクタンスをベースとした見込み客へのアプローチはどんなものがあるかいくつか例を出してみましょう。
・会員限定
・期間限定
・現品限り
・限定●●個
など、宣伝広告を行う上で限定的な状況を創り出すことは王道です。希少性とも言い換えられます。つまり、限定的であるということによって、好きなモノを好きな時に好きなだけ買うという自由が脅かされ、リアクタンスが喚起し、失われそうな自由を確保するため購買欲求が高まるということです。
新台導入の際に「●●●(該当機種のコンテンツ名)を好きな人以外は遊ぶべからず」といったアプローチを見たことがあります。
「新台入替があたりまえ」となっている近年、希少性は失われ客付きは疎らです。ましてや中小メーカーやマイナー版権ではさらに分が悪い。あえて制限を設けるようなアプローチにすることでリアクタンスを喚起させ、原作を知らない人の興味関心度を高めようとしたのでしょう。
一方で、リアクタンス喚起が「買いたくない」という方向になることもあるので注意が必要です。「説得感が強い」、「買わせようという意思が強い」など、表現方法が露骨で圧力が大きいほど、意図している方向とは逆のリアクタンスを喚起させ、購買意欲を低下させるリスクが高まります。
また、「慣れさせない」ことも重要です。乱発すると希少性が薄くなり不信感に繋がるし、場合によっては利益にも影響します。
広告規制が厳しいパチンコ業界ですが、規制を意識したうえで、見込み客にどのようにアプローチしていくか。創意工夫してチャレンジしていきましょう。