転職は、「みなさん」が主役のドラマである
転職雑記 2017/5/25
「○○さん、内定!」
私が担当している転職希望者が受けた、求人企業からの採用合否に関する連絡……求人企業からの「内定」の連絡がきた瞬間は、とても嬉しくテンションが上がってしまいます。
私たちが、転職希望者に「内定」という結果を伝える時も、やはり同じようにテンションの上がった状態になっていると思います。
私たちは、転職希望者と、二人三脚で転職活動を行うので、自分のことのように嬉しい気持ちになります。内定の連絡がきたとき、思わず転職希望者と一緒に泣いてしまったこともあります。これは、そんなTさんとのエピソードです。
2. 「やっぱりもう一度働きたい」
Tさんは、関東で店舗展開をしているパチンコホール企業で、店長経験のある人でした。しかし、奥さんが子どもを妊娠した影響で体調が悪くなってしまい、誰かが付いていてあげなければならなくなりました。頼れる人はなかなか見つからず、結局、Tさんがその時働いていたパチンコホール企業を退職して、付きっきりで面倒を見ることになりました。
約半年の間に奥さんの体調も良くなり、無事にお子様をご出産することができました。奥さんの体調が一旦落ち着いたこともあり、Tさんは、「もう一度パチンコホール企業で働きたい」と思い、転職活動をスタートされたのでした。
しかし、店長経験があるとはいえ年齢は40歳になろうとしており、家族のことを考えて勤務エリアなどの条件も細かく希望があったので、求人企業をご紹介することがかなり厳しい状況でした。
しかし、何とか3社ほど、Tさんの希望に合うパチンコホール企業を見つけ、面接をセッティングしました。しかし、現実はそれほど甘いものではなく、紹介した求人企業のうち、2社が早々に見送りとなり、残る選考は、2週間後に控える1社のみ……という状況になりました。
2.最後までできること
まさに、「もう後がない」という状況。「どうしたら結果がでるか?」をTさんと一緒に悩んだ結果、10数店舗あるパチンコホール全てを見学し、レポートを書くことにしました。
もちろん、このようにパチンコホール企業側から課題が設定されていたわけではありません。
誤解のないように申し上げておくと、普段はこのように、求人企業から特別求められていない資料を作成して提出することはほとんどありません。それを私たちから強制することもありません。なぜなら、答えは単純。求人企業の各店舗パチンコホール視察レポートを提出したからといって、内定が出やすくなるわけはないからです。
それでも今回、このようなことをしたのは、転職者の魅力を、ひとつでも多く、求人企業に伝えたいと思ったからです。
3.最終面接、そして
それから、求人企業の面接当日。面接を終えたTさんから電話がありました。「ガチガチに緊張してしまい、何を話したのかまったく覚えてないんですが、とりあえず、やれるだけのことはやりました!」と、思ったよりも元気そうなTさんの声に、私はひとますホッとしたのでした。
そして、一週間後、求人企業からの合否連絡の日。
結果は、見事「内定」。
すぐにTさんに電話をして、名乗るのも忘れるくらいの勢いで、「おめでとうございます! 内定です!」と結果をお伝えしました。「絶対喜ぶだろうなぁ」と思っていたのに、Tさんの反応は……無言。「どうしたんだろう」と、それでもTさんの言葉を待っていると、電話口からは鼻をすする声が聞こえてきました。「あっ……!」と思った瞬間には、私も一緒に涙を流していました。
そして次の瞬間、泣いているのも隠さずに、「本当に、ありがとうございました……!」とTさんのひとこと。ふたりで泣きながら内定をお祝いしました。
4.まとめ
あれからもう3年近くが経っています。
今でもTさんは、その時内定が出たパチンコホール企業で、元気に店長として働いています。お子様も元気に健やかに育っているとのこと。本当に良かったです。転職活動のお手伝いをしていると、ドラマのような感動を味わうことが何度もあります。
ひとつひとつの出来事は「転職」という枠にくくられるものであっても、そこにある、それぞれの人の想いに、同じものは何ひとつとしてありません。この熱くなる気持ちが、私にとって仕事のやりがいのひとつになっているのかもしれません。