カリギュラ効果はパチンコ店で使えない?|マーケティングに役立つ行動心理学
パチンコ店の仕事・スキル 2020/8/4
「カリギュラ効果」とは、ダメと言われると逆に興味を掻きたてられ、返ってその行為をしたくなる行動心理です。学術的には以前にご紹介した心理的リアクタンスとなります。
ちなみに「カリギュラ」とは、暴君として有名な古代ローマの皇帝・カリグラのこと。そしてこのローマ皇帝をモデルにした映画「カリギュラ」(1980米伊)が、その過激な内容のために一部で上映禁止になったものの逆にそれが話題を呼んで大ヒットしたことから、「カリギュラ効果」の言葉が生まれました。
このカリギュラ効果、実は日本でも古くから活用されています。
「鶴の恩返し」のストーリーなどが正にそれで、助けた娘に「機織りをしている間は決して部屋を覗かないでください」と言われたおじいさんが覗いてしまう・・・。
あるいは、竜宮城から帰った浦島太郎が、乙姫様から「決して開けてはなりませぬ」と言われて持たされた「玉手箱」を開けてしまう・・・。
興味や好奇心は人が持って生まれた基本的な心理なだけに、その衝動を抑えることはなかなか難しいのかもしれません。
また、CMでも様々な事例が挙げられるカリギュラ効果ですが、もっとも有名なキャッチコピーがあります。それは1977年のイタリアの恐怖映画「サスペリア」のもので「決してひとりでは見ないでください」はまさに定番中の定番と言えるコピーです。
恐怖心をあおり、怖いけど見たいという衝動をより駆り立てたわけですね。
その他にも、雑誌の「袋とじ」企画などはかなり強烈なカリギュラ効果を発揮した事例といえるでしょうか。見せないことで中身を妄想させ、見たいという衝動をより駆り立てる。
袋とじの中身が気になって購入、ドキドキしながら袋とじを開けるも期待外れな内容に「2度と買うか」と自身に言い聞かせながらも、次もやはり気になって買ってしまうという若き日の苦い思い出・・・ほんと、うまいですよね。
さて、パチンコ店にカリギュラ効果に該当しそうなことはあるのでしょうか?いくつか例をあげてみます。
まず、真っ先に頭に浮かぶのが「ハウスルール」の単発打ち禁止、止め打ち禁止、変則押し禁止などですが、これらの禁止事項はユーザーからすれば「マシンが本来持っている特性、遊技性をフル活用した遊び方」なわけで、「禁止されたことで遊技への欲求がさらに強まる」ということではなさそうですね。
むしろ反抗心をあおる内容で、遊技への欲求が低下する心理的リアクタンスを喚起させる内容といえるでしょう。
ルールを破れば最悪出入り禁止という罰則もあり人によっては店選びの選択肢から外れますが、店舗側としては「そのような属性のユーザーを除外したい」ということで、狙い通りなのだと思います。
次に、「シークレット系」のサービスはカリギュラ効果に該当しそうです。シークレットイベントは告知にサービスの詳細は載せず、来店してもらう流れを想定してキャッチコピー等で誘導します。
新台導入予定のPRで機種名を伏せたり、来店取材のゲスト名を伏せたりなどはまさに「見せない」ことを利用してカリギュラ効果を狙ったものです。なお手軽にできる方法として、店のHPやチラシの告知写真の一部に「モザイク」をかけるだけというやり方もあります。
「お店でご確認ください」のコピーを添えると同様の効果を発揮するでしょう。
また、カリギュラ効果をマーケティングに活用する際には「用途・目的・業種」によって適切なフレーズを使うということが大切です。
例えば、「旧イベント日」など集客力が高かった特定日にインパクトのあるフレーズを転用してみるとか。「けっして一人では来店しないでください」とか「友人知人を誘わないで来店してください」といった感じです。
現在、パチンコ店からの告知はメディアやSNS含めできない地域もあると思いますが、こういった表現方法なら活用できるのではないでしょうか。
カリギュラ効果は「効果を発揮したいターゲット」に簡単な障害条件を設定し、その先にあることを期待させること。要は「低いハードル」を設け衝動を駆り立てることがポイントになります。
うっかり高いハードルを設けると強烈な反発も招くという逆効果も発生するので注意が必要です。
あくまで禁止ではなく許可が前提であることを留意して利用すると、高いマーケティング効果がえられるでしょう。