フレックスタイムのポイント
転職雑記 2022/5/26
転職先の条件の一つに、「フレックスタイム制の会社」を挙げる人がいますが、どんな制度かよくわかっていないという人も多いようです。
フレックスタイムは「自由な時間に出勤できる」というイメージがありますが、働く時間のすべてを自由に決められるわけではなく、一定のルールの上で運用されることを理解する必要があります。
1.フレックスタイムの基本
フレックスタイムとは、一定期間にあらかじめ決められた総労働時間の範囲内で、出勤時間や勤務時間、労働時間を労働者自らが決めることが可能な働き方です。
出社や退社の時間を従業員自身で決められるので労働時間の自由度が高く、その人の都合に合わせて働けるというメリットがあります。
プライベートと仕事のバランスが取りやすく、ワークライフバランスの向上を推進するための取り組みとしてフレックスタイム制を導入する企業は増えています。
2.フレックスタイムの特徴
フレックスタイムは労働時間の自由度が高まりますが、全てを自由に決められるのではなく、一定のルールの範囲内で働く時間を設定します。
・コアタイム
「コアタイム」とは、フレックスタイム制の勤務時間の中で、必ず勤務をしなければならない時間帯のことを言います。
フレックスタイムを実施すると、他の社員との時間が合わず、共同の仕事やミーティングの時間がとりづらいという弊害が発生します。
それに対してコアタイムを設定すれば、弊害を無くしてスムーズに業務を行えるようになります。
・フレキシブルタイム
「フレキシブルタイム」とは、フレックスタイムの中での労働者が決める勤務時間帯を指します。
基本的にはコアタイムを間に挟むように設定することが多く、労働者は自分が働きたい時間を決定します。
3.上限は3ヶ月「精算期間」の設定
フレックスタイムの導入にあたっては、「清算期間」を決めなければなりません。
従業員はこの清算期間の中で労働時間を設定します。
例えば、精算期間を「毎月1日から月末までの1ヶ月」と定めた場合、この清算期間の中で自身の労働時間をカウントします。
つまり、出社や退社などを自由に設定しつつも、この1ヶ月の間に必ず必要な労働時間を達成する必要があるのです。
以前は清算期間の上限は1ヶ月でしたが、2018年の「働き方改革関連法」の成立により、2019年4月から上限が3ヶ月間に拡大されました。
これにより、従業員はより長い期間内で労働時間を調整できるようになり、さらに柔軟な働き方が可能になりました。
4.フレックスタイムのメリットとは?
- メリット
・ワークライフバランスを取りやすい
・通勤ラッシュを避けることができる
・生産性や業務効率の向上が期待できる
メリットとしてまず挙げられるのが、「ワークライフバランス」の充実です。
フレックスタイム制は出社や退社の時間を自由に決められるので、プライベートの用事に合わせてスケジュールを組められるのが大きな特徴です。
例えば、子育て中であれば、保育園への送り迎えのために遅めに出社したり、早めに退社したりできます。急に子供の具合が悪くなっても病院に寄ってから出社しても問題ないのです。
また、資格のための専門学校や社会人大学に通うために早めに退社し、残りの曜日は多めに働くといったスケジュール調整も可能です。
週末に旅行する予定があるときは、「金曜は早く退社し、月曜は遅めに出社する」といったスケジュールを組むこともできます。
このようにプライベートが充実すれば、気力や体力が充実し、仕事にも良い影響をもたらすでしょう。
また、フレックスタイム制のメリットとしてよく挙げられるのが、通勤ラッシュを避けられるという点。
通勤時間のピーク時を避ければ、満員の電車やバスで窮屈な思いをすることなく、快適に通勤できます。余計な気力・体力を消耗することもないので、出社後も仕事に全力で取り組めます。
さらに、新型コロナウイルスやインフルエンザなど感染症が流行した場合も、できるだけ人の少ない時間帯を選んで感染リスクを下げられるメリットもあります。
- デメリット
・他者とのコミュニケーションが難しくなる
・職種によっては導入が難しい場合もある
自分が働く時間は自由に決められますが、他の従業員たちの勤務時間と合わない可能性が出てきます。
そうなるとコミュニケーションが取れる時間がコタタイムなど限られたものとなり、共同作業や関係者による会議などの設定が難しくなる場合があります。
当然、取引先など外部との調整はさらに難しくなるでしょう。
また、一般的にフレックスタイム制を導入する企業が多いのは、IT、通信、メディア業界などが挙げられます。
職種では企画職やデザイナー、エンジニアやプログラマーなどに適用されるケースが多いようです。
これらの特徴としては他者への依存度が低いため、自分のペースで業務を進めやすいことがあります。
こうした職種にはフレックスタイム制を適用しやすいと言えるでしょう。
逆に対面で行わなければならない仕事や、連携する社員や取引先が多い業務ほど、フレックスタイム制を導入するのは難しくなってきます。サービス業や営業、工場などが該当します。
なお、フレックスタイム制を導入している企業でも、制度が適用されるのは「全従業員」、あるいは「特定の部署」など様々です。
ですので「フレックスタイム制あり」の企業に入社しても、自分に必ず制度が適用されるとは限らないことに注意してください。
5.説明会や面接で企業に直接確認しよう
フレックスタイム制の規定は就業規則に明記することになっていますが、採用情報に関しては掲載の義務はありません。
そのため求人情報にはフレックスタイム制の掲載が無い場合もありますので、面接などで企業に聞く必要があります。
なお、その際には「自分で自由に出勤時間を決めたい」などと単刀直入に尋ねず、例えば「フレックスタイム制は採用していますか?」、あるいは、フレックスタイムの情報があれば「コアタイムはどのくらいですか?」など、スケジュールを確認するというスタンスで聞いてみるのがオススメです。
フレックスタイム制は柔軟な働き方を可能にし、ワークライフバランスを推進する制度です。
自分らしい働き方を手に入れるための選択肢として、制度の内容を十分に理解しておくと良いと思います。