みなし労働時間制とは
転職雑記 2023/5/2
求人の「勤務時間」の欄に、「みなし労働時間 ○○時間~」などと記載されていることがあります。
「みなし時間労働制」は、 実際に労働した時間に関わらず、所定労働時間分の働きをしたと“みなす”制度です。
実労働時間の算出が難しい業務や、労働時間によって賃金を決めることが難しい業務などによく採用されています。
今回は、知っているようであまりよく知らない「みなし労働時間制」について確認していきます。
1.みなし労働時間制の例
みなし労働時間制は、実際に働いた時間にかかわらず、1日の所定労働時間分働いたとみなす制度です。
例えば、所定労働時間が【8時間】の場合、実際は7時間しか働いていなくても、8時間働いたものとみなされます。
この場合、給与が1時間分減額されることはありません。
逆に、実際は9時間働いたとしても、8時間しか働いていないとみなされるため、超過した1時間分の残業代は発生しないことになります。
【みなし労働時間制の求人例】
「みなし労働時間制」を採用している企業の求人情報では、以下のような文言を見ることができます。
・専門業務型裁量労働制(1日みなし9時間)
・みなし労働時間/日:7時間30分
・事業場外みなし労働時間制 みなし労働時間/日:9時間20分
このような文言がある求人では、みなし労働時間制が採用されているということが分かります。
2.裁量労働制はみなし労働時間制に含まれる
似ている制度に「裁量労働制」がありますが、内容を混同してしまったり、詳細を知らなかったりする人も多いのではないでしょうか。
実は、この「裁量労働制」もみなし労働時間制に含まれます。
みなし労働時間制は裁量労働制を含む3つの制度を総称したものなのです。
裁量労働制は、仕事の進め方が労働者個人にゆだねられるような場合に適応されるもので、「専門業務型」「企画業務型」の2つに分けられます。
3.みなし労働時間制の種類
【事業場外みなし労働時間制】
訪問先などの社外(事業場外)で働く仕事で、労働時間の計算が難しい場合に適用されます。
具体的な職種としては、外回りをメインに行う営業職があります。なお、事業場外みなし労働時間制は下記の3つの条件に1つでも該当すると適用されません。
・事業場外労働のグループ内に労働時間の管理をする者がいる場合
・携帯電話などで随時使用者の指示を受けながら働く場合
・訪問先と帰社時刻等当日の業務の具体的な指示を受けたのち指示通り業務に従事し事業場に戻る場合
また、テレワーク(在宅勤務)では以下の要件をも満たす形態で行われるものについては、原則として、事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用されます(平成20年7月28日 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」)。
・当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
・当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
・当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
【専門業務型裁量労働制】
公認会計士、弁護士などのいわゆる「士業」やデザイナー、システムエンジニアなど特定の19の業務について、業務遂行の手段や時間配分などに関して会社が具体的な指示をしない場合に適用されます。
【企画業務型裁量労働制】
2000年(平成12年)の改正法施行により新設された制度で、企業の統括部門に勤務するホワイトカラー層への適用が想定されています。例としては、事業運営の企画、立案、調査及び分析などに携わる業務などです。
4.みなし労働時間制の導入条件
みなし労働時間制は、いついかなるケースでも適用されるとは限りません。みなし勤務が認められるのは、
・事業場外で業務に従事していること
・使用者の具体的な指揮監督が及ばないこと
・労働時間を算定することが困難な業務であること
という条件を満たしている場合に限ります。
5.みなし労働時間制でも残業代が支払われることがある
通常、みなし労働時間制では残業代は発生しませんが、以下の場合には残業代が発生する場合がありますので、覚えておくとよいでしょう。
・深夜や休日の労働が発生した場合
深夜労働となる22時~5時に労働をした場合、賃金は通常の125%以上で支払われます。
また、休日労働の場合、1時間の実労働でも所定労働時間働いたとみなし、割増されて支払われます。
・明らかに所定労働時間以上の作業時間を要する業務を課せられた場合
労働基準法38条2では、
『ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす』
とされており、残業代の支払いが認められます。
6.違法なみなし残業と感じたら
明らかに10時間かかる仕事に対し、みなし労働時間が8時間など不当に労働時間を短く設定されたり、残業代を支払わなかったりした場合は、労働基準法に違反している可能性が高いと考えられます。
パチンコ店勤務において労働基準監督署あるいは弁護士に相談することで解決されたケースはありますが、以降もその職場で働き続けた人は稀です。
そのような職場環境では人手不足が改善されず、営業面にも支障がでており、先行きが暗い。雇用側との信頼関係も崩壊していることから、早々に見切りをつけて転職されるケースがほとんどでした。