賃金形態を理解しよう
転職雑記 2022/3/8
求人表の「給与」は、金額や手当の内容などは書かれていますが、どのような形で支払われるのかが分からない場合があります。
何となくイメージしているかもしれませんが、どんな種類があるのかよく分からない人もいるのではないでしょうか。
「月給」と書かれていれば「毎月支払われる」と分かりますが、その「支払われ方」には種類があり、これを「賃金形態」と言います。
賃金形態の種類によっては、同じような働き方をしたとしても支払われる金額が異なるケースもあるのです。
今回は、賃金形態にはどんな種類があるのかについて解説します。
1.賃金形態の種類
賃金の支払い形態は「月給」や「年俸制」など知られているものの他に、実は様々なものがあります。似ていても内容が違うものもあるので、ここで確認しておきましょう。
なお、労働法には賃金形態に関する記載はありませんが、労働契約上は定着した慣行用語と位置付けられています。
ですので、以下の項目はいずれも一般論として定義されているものになります。
2.「月給制」は3種類!
①完全月給制
“完全”がつく「月給制」は、その言葉通り定められた月給が全額支給される形式です。
労働者にとっては一番条件の良い賃金形態だと言われていますが、この方式を採用している企業は少ないのが実情です。後述の「月給日給制」とよく勘違いされやすいので注意する必要があります。
「完全月給制」のポイントは、遅刻、早退、欠勤があっても減額されることなく支払われること。この点が次の「月給日給制」と大きく違う点です。
②月給日給制
「月給日給制」は、「月給」が月単位で決定していますが、欠勤や遅刻、早退などの場合、その日数に応じて控除(引かれる)されるタイプです。
多くの企業では、この「月給日給制」を月給として採用しています。
なお、残業代や各種手当てに関しては控除対象にはなりません。また、遅刻や欠勤が無ければ完全月給制と変わりはありません。
③日給月給制
一日いくらという「日給月給制」は、毎月1回の給料日にまとめて支払われます。
日給の積み重ねを給料日にまとめて支払われるため、当然、労働日数が多い月は給料が増え、労働日数が少ない月は給料が減ることになります。
3.その他の賃金形態
④時給制
1時間を単位として賃金額が決定され、労働時間分が支給されます。
支払いのスパンは月給タイプもあれば週払い、日払いなど様々です。
⑤日給制
日給は1日単位で賃金が決定され、労働日数分が支給されるタイプです。
早く仕事が終わったとしても全額保障している企業もありますが、減額される場合もあります。
これも月給タイプもあれば週払い、日払いもあります。
⑥週給制
1週間ごとに給与が決まるタイプです。多くの場合、支払いも週ごとに行われます。
⑦出来高制(歩合制)
自分の仕事の成果(出来高)によって賃金が変わる制度です。
出来高が大きく影響すますが、「最低賃金」が設定されており、それに成果の分だけ給与が上乗せされる形です。
そのため最低賃金分は支払われますが、出来高がなければ最低賃金のままとなります。営業職などでよく採用される賃金形態です。
⑧完全出来高制(完全歩合制)
固定された給与がありません。仕事の成果や実績に応じて給与が支払われます。
個人の能力が給与に反映される給与形態のメリットは、成果が多ければ高収入。相反して成果がなければ収入は見込めないというデメリットと背中合です。
※出来高制と完全出来高制には明確な区別がなく、法律上も正式に制度として分かれているわけではないので、企業ごとに契約内容は異なります。
「出来高制」「完全出来高制」のどちらが記載されている場合でも、必ず直接会社に確認したほうが良いでしょう。
⑨年俸制
年間の賃金総額が1年を単位として決定されます。ただし、賃金支払いの原則から月給として毎月支払われます。
毎月支給される給与は、あらかじめ設定されている年間総額の12分の1です。
メリットは1年間の総額が決まっているため、年収額が保証されている点。デメリットとしては大きな成果を出したとしても追加で賃金が支払われることはなく、またサービス残業になりやすい傾向があります。
最後に、賃金は様々な法令の改正があるたびに、その影響を直接受けます。
残業の割増率が変更されたり、各種社会保険料率も毎年のように改正されていますので、給与計算を正しく理解するためにも、法改正情報にはしっかりアンテナを張っておくことが大切です。
賃金形態にはそれぞれ長所と短所があるので、転職に際してはご自身の生活環境やライフプランを念頭に、確認されることをオススメします。