パチンコ店同様に減少しているゲームセンター
パチンコ市場規模・動向 2022/6/7
パチンコ店を経営する企業によっては、パチンコ以外にも様々な事業を展開しています。
特に複合型タイプの施設ではパチンコ店のほかに飲食店やフードコート、映画館やスポーツ関連施設、入浴施設などが多く見られますが、「ゲームセンター」も定番施設の一つでした。
同じ「風俗営業」であるゲームセンターはアミューズメントとしてパチンコとも親和性があり、併設も多いものでしたが、パチンコ業界と同様店舗数を減らしています。
1.「許可営業」の店舗数は3,882軒
「ゲームセンター」には様々な「アミューズメントマシン」が設置されていますが、営業にあたっては基本的に行政の許可を必要としません。
しかし、「事業所の床面積に対し機器の設置面積の占める割合が10%以上」になった場合はパチンコ店と同様「遊技場」扱いになるため、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法/風適法)が適用され、所在地を管轄する警察の営業許可が必要になります。
ですので「許可営業」のゲームセンターは風俗営業に含まれ、かつては7号営業がパチンコ店、8号営業がゲームセンターと認知されていました。
現在は2015年の法改正により(施行2016年6月)風俗営業は第1号から第5号までの5区分に分類されており、パチンコ店は4号、ゲームセンターは5号となっています。
なお、2021年時点で許可を受けているゲームセンターの営業所数は3,882軒で、この10年間で約4割も減少しています。
2.「シングルロケ」店舗数は約8,000軒
その一方、ゲームセンターには許可を必要としない店舗の方が多いという状況があります。「シングルロケ」と呼ばれる店舗数がその店舗数です。
「シングルロケ」は古くからあるゲーム業界用語ですが、意味的には「ゲーム専業店ではない」という程度で、明確な定義は存在していません。
イメージとしては他業種とアミューズメントマシンの「併設店」や小売店の一部にゲーム機器が置かれているような店舗になります。
例えば1~数台規模の駄菓子屋や飲食店からデパート、スーパーマーケット、ボウリング場などの中規模以上の店舗の他、カラオケ店、ホテル、自動販売機コーナーやフェリー内などに設けられているゲーム施設も含まれています。
店舗数は「日本アミューズメント協会(JAIA)」が公開しており、最新の2019年では全国で12,212店舗が営業しています。
なお、この数値は設置台数を基準に集計しているため「許可営業店」も含まれています。
ですのでアミューズメントマシンを設置している店舗のうち約4割が許可営業店舗ということになるでしょう。
ちなみに、ゲームセンターもパチンコ店と同様1986年の2万6,573軒をピークに、1993年を除き毎年減少を続けています。
3.店舗の大型化と売上の上昇
売上高もソーシャルゲームの影響から減少しており、2006年の7,029億円をピークとして2019年には5,408億円と12年で約23%減となっています。
しかし、2015年以降5年連続で売上が前年を上回って回復傾向が見られます。
これは2017年6月に施行された改正風営法による、保護者同伴の未成年者に対する立入時間規制の緩和や、「オンラインクレーンゲーム」の人気上昇などプライズゲームが市場全体を牽引したこともあって売上を伸ばしています。
さらに、2019年を境に「設置台数による規模別店舗数状況」に大きな変動が見られ、21~50台規模の店舗が約6割も減少したのに対し、101~200台規模の店舗が約2倍、71~100台で約1.6倍、51~70台が約2割増しと店舗の大型化が顕著で、1店舗当たりの売上高も上昇しており、その影響が全体の売上上昇に影響を与えています。
パチンコ店も同様に中小規模の店舗はM&Aにより大型チェーン店へ吸収される流れが強くなっており、こうした再編の動きはアミューズメント業界周辺で続くと予想されています。
先頃、老舗ゲームセンターとして知られる「SEGA」について、セガサミーグループは全株式をアミューズメント事業を展開するGENDA(ジェンダ)に譲渡して、ゲームセンターの経営から撤退しました(アーケードゲームの開発は継続)。
GENDAではこれを機に店舗名を自社で展開するゲームセンター「GiGO(ギーゴ)」に統一するとのことで、これまで親しまれてきた「SEGA」は姿を消すことなになりました。
パチンコ業界でも知られるセガサミーの撤退は、パチンコ業界とゲーム業界の関係を象徴する出来事と言えるかもしれません。